貴方の子を産み育ててますが、結婚はお断りします

鳴宮鶉子

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求めていた理想の家族

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「うわぁっ……やらかしたわ!!」

“ちゃら”クリスマスゲリラライブYouTubo投稿と、日曜日のクリスマスなのに、ヤホトピのトップ記事に掲載されてた。
Twitt orでも動画投稿してすぐに話題に上がり、短時間でトレンドとホットワードランキングが1位になっていた。

朝の8時、ドアベルが鳴り、放置していたらドアをドンドンと叩かれる。

翔兄にフライパンを渡し、鍵を開け、そっとドアを開けて貰った。

「……相葉社長。朝っぱらから、何しに来たんですか!!」

開けたらそこに、相葉社長がいた。

不審者が命を狙ってきた、もしくは報道リポータが突撃取材に来たのかもしれないと、110番をすぐ押せるようiPhoneを手に持ってた。

「YouTuboの急上昇で“ちゃら”のクリスマスライブの動画上がってたの見た、瀬川翔真と凛花ちゃん、頼翔くんと楽しそうにやっててズルい!!俺も混ぜて!!」

招かざる客だから、110番押そうかと頭によぎる。

「あっ、相葉社長だ!!一緒に遊ぼう!!」

不機嫌オーラを放ち、相葉社長を追い返そうとしたら、頼翔がリビングから走ってきて、相葉社長に抱きつく。

「相葉社長、幼稚園で動画作成教室の先生をしてるんだよ!ピカキンや尾張社長も連れて来てくれるの。後、パソコンでスクラッツやワルクラのプログラミング教室の講師もしてる」

相葉社長はプログラミング教育の講師として幼稚園に出入りをし、頼翔に近づき、懐かせてた。

「相葉社長、放課後保育の時間に僕にボーカロ教えてくれるの!!」

頼翔がボーカロにハマるきっかけを作ったのは相葉社長。

「ママ、相葉社長も一緒にクリスマスパーティーしていい?」

「……どうぞ」

頼翔にお願いされたらダメとは言えず、相葉社長を家の中に招き入れた。


相葉社長の手を引き自分の部屋に連れて行った頼翔は、自作の楽曲を聞いて貰い、誉められ、頭を撫でられ喜んでる。

「相葉社長とコラボでYouTuboに楽曲動画投稿する!!」

頼翔の部屋でパソコンをいじっている相葉社長。
過去に私が作成していたアニキャラCGの中から自分に似たキャラクターを選び、それと昨日頼翔のために作ったアニキャラCGを使って動画を作成し、2人で歌を吹き込み、勝手にYouTuboに動画を投稿する。

「相葉社長、歌上手いんだな!!」

頼翔の部屋の入り口で2人の様子をイライラしながら見ている私に、翔兄が話しかけてきた。

「相葉社長、頼翔くんのことが相当可愛いんだね。なんか、こう見ると、2人、よく似てる気がする」

認めたく無いけど、頼翔は相葉社長の血を引いてる。

父の浮気が原因で両親が離婚し、母に引き取られるも、母は私を置いて自殺した。
両親の代わりに母方の祖父母が私を育ててくれたけど、高校生の時に2人とも病気で亡くなり、私は1人になった。

私が孤独なのは、父のせい。
私は男を愛するという感情が欠如してる。
家族が欲しく、ボーカロ仲間にコンパを開いて貰い、一夜限りの関係を持つ男を見つけ、行為をし、頼翔を授かり、産んだ。

私にとって父が浮気相手としていた行為はトラウマで、だから、あの日の夜の記憶は自己防衛で消去されてる。

クリスマスパーティは、夜中の2時にお開きに。
翔真と相葉社長が意気投合し、相葉社長が持参したブランデーを飲みながら語り合っていて、料理もたんまり残ったから食べて貰った方が出すから、放置した。

さすがに次の日仕事のはずだから、運転代行サービスに電話をかけ、お土産に余った料理を使い捨てのフードパックに詰め込み押し付け、家から追い出す。

凛花ちゃんも隣の部屋に帰り、夜中の3時半にシャワーを浴びて、布団の中に入る。

ホームパーティーのホスト側は、料理の準備や片付けをしないといけないから、楽しいけど、疲れる。

記憶喪失している頼翔を授かったコンパの夜にあった事を、怖いけれど、思い出したい。

相葉社長の事は苦手だ。
人たらしでチャラく、馴れ馴れしい。
性格がふざけてる。

あの夜、私は、なんで子供を授かるための一夜限りの相手に、相葉社長なんかを選んだのだろう。

一夜限りの相手が、ーー翔兄だったら良かった。
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