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書き換え屋の見習い
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「暇だ…。」
テーブルに顔を突っ伏してつぶやく。琥珀堂の書き換え屋見習いとなって一ヶ月が過ぎた。はっきり言って退屈だった。縁が来るのは時間がある時でいいって言うから学校終わりにちょくちょく通っているのだが、肝心の書き換えの依頼が来ないのだ。どうやら琥珀堂は書き換え屋の他に雑貨や古本を扱っているらしく、基本的にお客さんはそれらの品を求めてやってきていた。そのため、栞の仕事は本の整頓や商品の補充、縁の手伝いがほとんどであった。
「まぁまぁ、そんなにくさくさしなくてもそのうち来ますよ。」
縁が向かい側の席でコーヒーを飲みながら言った。この一ヶ月でだいぶ気軽に話せるようになったと思う。
「私にも教えてくださいよー、あの本の中に入り込む魔法!」
「早すぎますよ」
あまりにも依頼が来ないので『ジャックと豆の木』のあの魔法は夢だったのではないかと思えてきてしまうが、こういう風に返されると、どうやらちゃんと存在しているらしい。
その時、扉が開く音がした。今度のお客さんは書き換え志望でありますように…。
僅かに期待を込めながら栞は立ち上がった。
テーブルに顔を突っ伏してつぶやく。琥珀堂の書き換え屋見習いとなって一ヶ月が過ぎた。はっきり言って退屈だった。縁が来るのは時間がある時でいいって言うから学校終わりにちょくちょく通っているのだが、肝心の書き換えの依頼が来ないのだ。どうやら琥珀堂は書き換え屋の他に雑貨や古本を扱っているらしく、基本的にお客さんはそれらの品を求めてやってきていた。そのため、栞の仕事は本の整頓や商品の補充、縁の手伝いがほとんどであった。
「まぁまぁ、そんなにくさくさしなくてもそのうち来ますよ。」
縁が向かい側の席でコーヒーを飲みながら言った。この一ヶ月でだいぶ気軽に話せるようになったと思う。
「私にも教えてくださいよー、あの本の中に入り込む魔法!」
「早すぎますよ」
あまりにも依頼が来ないので『ジャックと豆の木』のあの魔法は夢だったのではないかと思えてきてしまうが、こういう風に返されると、どうやらちゃんと存在しているらしい。
その時、扉が開く音がした。今度のお客さんは書き換え志望でありますように…。
僅かに期待を込めながら栞は立ち上がった。
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