35 / 53
35
しおりを挟む
◇
昨日の希輝の発言を思い返しながら、ニコニコと自分の席に鞄を置く。
ずっと俺を待っていたのか、やけにソワソワとした友樹が俺の元に駆けてきたから、戻らなくなった笑みを向けた。
ご機嫌な俺を一瞬だけ不気味そうに見たけど、すぐにどうでも良くなったのか、友樹の顔もニヤニヤとした表情になる。
「紡久! 聞いてくれ。俺に彼女が出来た」
「え?」
戻らなくなった筈の笑顔が、戸惑いで一瞬にして真顔に戻った。
俺の予想では、友樹の運命の相手は校舎の外にいるから、高校生の間は彼女が出来ないと思っていたのに。
確認のために友樹の左手の小指を見るも、やっぱり赤い糸の先は外に向かって揺らいでいた。
「その、彼女って……?」
「昨日帰ろうとしたら、下駄箱で話しかけられてさ」
他校の相手ならとも思ったけど、下駄箱で話しかけられたのなら、十中八九で在校生だろう。
「俺のことがずっと好きだったんだって! また紡久にも紹介するから……」
「友樹! お前に客がきてるぞ」
友樹を呼ぶクラスメイトの声に視線を向ければ、廊下から小柄な少女が顔を覗かせていた。
そのふっくらとした頬は薄っすらと赤く染まっており、友樹の存在しか視界に入っていないように見える。
俺とは何の縁もないからか、彼女の赤い糸は見えなかったけど、友樹と繋がってないことだけは確かだった。
昨日の希輝の発言を思い返しながら、ニコニコと自分の席に鞄を置く。
ずっと俺を待っていたのか、やけにソワソワとした友樹が俺の元に駆けてきたから、戻らなくなった笑みを向けた。
ご機嫌な俺を一瞬だけ不気味そうに見たけど、すぐにどうでも良くなったのか、友樹の顔もニヤニヤとした表情になる。
「紡久! 聞いてくれ。俺に彼女が出来た」
「え?」
戻らなくなった筈の笑顔が、戸惑いで一瞬にして真顔に戻った。
俺の予想では、友樹の運命の相手は校舎の外にいるから、高校生の間は彼女が出来ないと思っていたのに。
確認のために友樹の左手の小指を見るも、やっぱり赤い糸の先は外に向かって揺らいでいた。
「その、彼女って……?」
「昨日帰ろうとしたら、下駄箱で話しかけられてさ」
他校の相手ならとも思ったけど、下駄箱で話しかけられたのなら、十中八九で在校生だろう。
「俺のことがずっと好きだったんだって! また紡久にも紹介するから……」
「友樹! お前に客がきてるぞ」
友樹を呼ぶクラスメイトの声に視線を向ければ、廊下から小柄な少女が顔を覗かせていた。
そのふっくらとした頬は薄っすらと赤く染まっており、友樹の存在しか視界に入っていないように見える。
俺とは何の縁もないからか、彼女の赤い糸は見えなかったけど、友樹と繋がってないことだけは確かだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
36
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる