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63話

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「み~つ~な~り~。」

ツンツンと小西は三成の顔をつつく。

「行長様。こういう時はですな…。ふん!!!!」

「うぐ!!!」

津久見はまたも体をくの字に曲げながら悶絶した。

「わ!!大丈夫なのか!!?」

小西は左近を見ながら三成を案じる・

「はい。これで…。」

と、三成を見ると既に三成は起き上がり冷たい目線で左近を睨んでいた。

「乱暴なのやめてくれる。」

左近に冷たく言い放つ。

しかし左近はどこ行く風

「ほら大丈夫でございましょう。ささ。」

と無理やり三成を立ち上げる。

「ちょちょちょ、聞いてる~。」

「おお。治部よ大丈夫か?」

小西が尋ねる。

「あ、えっと~小西さん?」

「ん?」

「あ、大丈夫です。慣れっこです。」

と左近を横目で睨みながら言いながら小西に向け話始めた。

「小西さん…お会いしたかったです。」

「ん?治部??どうゆうことじゃ?」

「あ、いや、その…。」

と、津久見は濁す。

心中では

(この人もそうだ。あの合戦で負けて三成と一緒に六条河原で首を刎ねられるはずだった…。それがこうして…。)

「どうした?治部?そんな神妙な顔をして」

と、三成を不思議そうな顔で見る。

「いや、なんか。その。…。生きててくれてありがとうございます。」

津久見は自然とそんな言葉を発した。

小西は暫く呆然としていたが、何か不思議と今三成に言われたことがしっくりきたという表情で言う。

「…。そうやねん。何かわしも不思議やねん。何か先《さき》の戦から生きてるのか死んでるのか…。せやさかいお主の言う事も何となく分かるねん。」

小西はどこか自分の体を眺めている。

「そうですか。…。いや、生きてます!それに今後のこの世に必要だから生かされてるんです!」

「??どういう事や?」

「小西さん。それはそうと。そこで、一つご相談が…。」

と言うと三成は周りを気にしながら、小西を屋敷の廊下の隅に連れ込む。

「な、なんや治部。」

困惑する小西を尻目に津久見は真剣な目で小西の目を見ながら

「時間が無いんで単刀直入に言います。」

「ん?」

不思議がりながらも小西は真剣な目で三成の次の言葉を待った。

「小西さんの肥後20万石を豊臣家に返還して頂きたい。」

「なに???」

小西は突拍子もない三成の言葉に驚いた。

「もちろん、見返りはあります。」

「いや、治部。急すぎて頭が混乱しておる…。」

と小西は頭を抱えてたが、呼吸を整え言う。

「ほんで見返りとは?」

「堺の統治。」

「!!!!!!」

小西は腰が砕ける程驚いた。

堺と言えば商人の街、その金銭の流れもこの日の本一。だが、そこには根強い会合衆の存在がある。そんな者達を抑えて自分が統治とは…。

「それは、あかん。できひん。」

小西は冷静に答えた。

「ダメです。これしか無いんです!」

実際には今後の世の中を作る上にはこの一手が無ければ実現できない。と、までしか考えれていない状況であった。だか、津久見はこの案が、今は一番の得策と考えていた。

津久見は続ける。

「これからは商業と農業、それに流通の時代になります!いや、して行きます!誰も死ななせない、皆が笑顔の世の中です!」

津久見は真剣に続ける。

「それには堺が絶対必要なんです。それにそこを統治に最も適した人間こそ…。」

と言いかけると小西が言った

「まぁ、わししかおらんわな。」

津久見は小西の少し前向きな答えに驚いた。

「はい、堺出身で商業の何たらかを知るあなたこそまさに適任。だから…。どうか…。」

津久見はもう懇願の思いだ。

…。

少しの間沈黙が流れる。

小西の頭はフル回転しているのであるう。

そして言った。

「ええで。」

「!!ホントですか!!」

「あぁ。ただ条件が2つ。1つは堺統治を確実にすること。2つ目はキリシタンの擁護じゃ。」

と小西は言う。

「堺の統治はどうにか絶対にしてみせます。キリシタン擁護は…。」

と、津久見は口が止まる。

(全然良い。でもそれは現代の話だ。この時代はもっと複雑だ…。)

「どうや、治部?譲れへんでこれは。」

「良いでしょう。」

「まことか??」

「はい。何らかの規制はあるかもしれませんが、追放等は絶対にしません。そもそも人の死なない世の中の為ですから…。」

「そっか。ほんならええで。さっきも言ったけどわしは何か生かされてる身の様な気がしてならん。お前の言うその人の死なない世の中、なんだかおもろそやしな。任せとき。」

「では、この会議でその旨発表させて頂きます。」

「え?ちょ、まだ統治も何の確約も…。」

津久見は歩き出していたかま足を止め振り返り言う。

「諸大名を押さえ込む一手なんです。通らせて頂きます!」

と押し切られる。

「み、三成…。」

そこに小さな太鼓の音が聞こえて来た。

「ご入場~ご入場~を~」

小姓が数人早歩きで叫ぶ。

「さあ行きましょうか。」

と津久見は小西の背中を叩いた。

いよいよ大阪会議が始まる。

小西への提案 完
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