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第3章 翡翠の剣姫
4.求める結果がそれだけだとは限らない!③
顔が近づく。
自然に目が閉じ………
「やはり、我慢ならん!!聖下に私を誤解させたままなど、あってたまるか!!」
かけたが、バタンッと勢いよく開いた扉からシャイアが乱入し、近付いた俺とカイザーの顔が、同じく勢いよく離れた。
「シャイア様!だから、駄ァ目ですって!!」
必死に止めようとしてから、キリアンも慌てて入ってきた。
「キリアン………」
「いや!いやいやいや!!いやいやいやいやいや!!!隊長、俺、止めましたよ⁈止めたんスよ⁈」
地を這うようなカイザーの声に、キリアンが慌てふためいて言い訳する。
完全、八つ当たりだ。
言い繕うキリアンを押し退け、シャイアがズイと前に出た。
「カイザー!私も話させろ!!そもそもは、お前が聖下と恋仲であると、聖下の為に王権を復活させたと、きちんと説明するべきであったのだ!」
腰に手を当て、フン!と踏ん反り返り、シャイアがプンスコ怒りだす。
え~、っと……話が見えん。
「シャイア様。色々省き過ぎっスよ?それじゃ、分かんないですって!」
俺の?顔を見てとってか、キリアンが代弁してくれた。
「シャイア様。隊長にお任せいたしましょ?キリアン。部下である私たちが口を挟む立場にありませんわ。私も下がりますから、あなたも下がってくださいませ」
ジディが進み出て、シャイアを促す。
出来るお姉さんみたいですげぇ格好いい!
「悪いな、ジディ」
「いいえ。2人掛かりでお止め出来ず、申し訳ありません」
「シャイア。居るのはいいが少し黙れ!お前が今口を挟むとややこしい事になる!」
ジディが渋るシャイアを宥めて下がった。
一旦、甘くなりかけた空気ブチ壊されて、めちゃくちゃ気不味いけど…まぁ、それでも話さないわけにはいかない。
たとえ、どんなに嫌な話でも、受け止めないわけにはいかない。
ついつい、甘ったるい空気に、自分を誤魔化そうとしたけど、しっかりしなきゃな……
「覚悟は、、、できてる。シャイアと婚約すんのは……嫌だけど、しようがない。聖獣妃でも、俺、は、男だし。家を継ぐこと考え、たら……」
声が震える。
情けないが、毅然と答えるなんかできない。
世の中には、恋人や奥さんがたくさん居るのが当たり前な風習はある。この世界ではそうなんだろうし、俺のいた世界でも、、、
簡単に受け入れられるかって言われたら、無理だ。
でも、無理でも受け入れるしかない。
だって、俺がカイザーを………
「婚約はしない」
「そっか………そうだよな。婚約しない………………
は?????」
聞き間違いだろうか?
婚約しないって、、聞こえたんだが?
「え?だって、、でも、えぇ??」
「俺にはお前だけだ」
「そ………な、、、ぃ、、、ぅ」
ま、マズい。頭がパニック起こして、言葉らしい言葉が出てこん。
「そもそも。俺はお前と心が通った時点でそのつもりだ。だから、生涯、手にするつもりもなかったものを復権させた」
「な、にを?」
ああ、本当にヤバい。頭がグラグラぐるぐるする。
ソファに促され座った。カイザーも隣に座り、向かいの席にシャイアが座る。
「王権。王位継承権……王族になったんだ」
「……………………」
ピンとこないんですけど?
王権?王位継承権?王族?
それが俺との関係性になんの関わりが?
「元々、王権を持っていたのは、俺の祖父だ。だが、俺の家名ユグドラジェルは代々軍人家系で、王位になんの興味もなく、祖父は王権を捨てた。が、さすがに放棄はできても、完全に捨てさることはできんと大臣どもにこっぴどく叱られて、渋々凍結させたんだ。それを復権させた」
「何で、そんな事……」
「聖下を得る為だな」
「シャイア!黙ってろと、、、」
「必要以上には喋らん!私も関わり、聖下を誤解させてしまったのだ。それに、聖下に嫌われたくないからな。私は私のために話に参加する!」
フン!と鼻で吐き捨てるシャイアに、カイザーが苦虫を噛み潰したような渋面で唸り、やがて、諦めたように溜め息をついた。
まぁ、シャイアを黙らせんのは無理だろう。
「……聖獣妃を得ても文句を言われない強固足るモノを用意しなきゃならなかったんだ。近衛騎士隊長では立場が弱すぎる。貴族でもまだ足りない。だから…」
「朝早くからリステアに用があったのはそれで……」
リステアの言ってた『カイザーならいい』の意味が分かった。
「復権させ、王族にはなったが、継承権はかなり低い。聖獣妃を得るのにギリギリ文句を言われないくらいまで、皇太子殿下に低めて頂いた」
王族の面倒ごとまで得るのは真っ平だと、カイザーがなにやらブツブツ……
まぁ、カイザーが王族になったらしいってのは分かった。それが、俺の為だったってのは……
ヤバい。
嬉しいやら、恥ずかしいやらで顔が上げらんない。
あれ?でも、そうしたらシャイアは………
「聖下とカイザーがそうであったと教えてくれたなら、私とて、あんな態度には出なかったぞ?」
「見たら分かるだろうが!」
「大事にしているのは分かった!が、護衛の近衛騎士としては、聖下への距離が近過ぎる!馴れ馴れし過ぎると思ったのだ!」
ムスッとして言うシャイアに、カイザーが苛々と返す。
うん??
「え~、、、??ん~?ど、いう事だ?」
「私が話す!構わんな?カイザー」
「……………………勝手にしろ!どうせ、駄目だと言っても、お前は聞かん!!」
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