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除け者
#6
しおりを挟む一人の生徒が言った言葉に、三尋は首を傾げた。
入りたい、ってどういう意味だろう。普通にトイレに入って用は足したいけど、個室は空いてるし。
しかし彼の言ってる意味はそんなものじゃないとすぐに気付いた。二人はキスをやめると三尋に近付き、無理やり壁に押し付ける。
「このトイレは放課後、皆のハッテン場だよ。知らないで入って来たわけじゃないよね」
「ハッ……!?」
それって、まさか男同士でヤる為の場所か……前になづながそんなことを言ってた。
「いやいや、知らないで入りました! すみません、俺転校生なんで!」
「あ、そうなの。でもいいじゃん、君かなり顔いいし。ちょっと遊んでってよ」
「はい!?」
驚くことに一人は三尋のシャツのボタンを外し、もう一人は股間をダイレクトに触ってきた。
「おい! ふざけんな、やめろよ!」
怒りと羞恥で声を荒らげる。しかし口を手で塞がれ、両手もやはり押さえつけられた。
抵抗できない。その焦りと恐怖に身震いする。
「そんな怖がんないでよ。あの生贄ゲームとかと違って、俺らはただ気持ちよくしてあげるだけだから」
「そーそー、無理やりっつってもあんな輪姦とは違うからね」
彼らは好き勝手言い、三尋のベルトに手をかける。蹴り飛ばしてやろうと考えたが、その脚も押さえられてしまった。
「んん……っ!」
ベルトを外される。本当にまずい。
誰か───!
心の中で助けを呼んだ。直後、何かの衝撃音が響く。
「な、何?」
二人は驚いて手を止めた。三尋も分からなくて顔を上げる。すると、一人の生徒が壁に手をついていた。
見覚えがある。確か以前、校門のところで目が合った眼鏡の少年だ。
彼はこちらへ早足で来ると、三尋に手を出している少年の襟を掴んで床に押し倒した。
「いって! てめぇ、何すんだよっ」
「こっちのセリフなんだけど。何してんだよ、お前ら」
少年は抑揚のない声で、三尋を庇うように前に立った。
「どう考えても無理やり。……あれを全クラスに見せたら、皆お前らがゲームの首謀者だと思い込むだろうな。そしたら全クラスからレイプされるぞ」
「はあ!? ち、ちげーよ! 俺らはアレと何も関係ねえって! おい、行こうぜ」
「あぁ! 俺らはマジで関係ないからな!」
二人は一目散に逃げていった。
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