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初夜 2 ※R15 ノーマル
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強く引き寄せられた翡翠の身体の下の方を、何か固いものがかすめた。
途端に久遠は、慌てて翡翠を胸から押しやってしまう。
「今夜はもう休もう。・・・翡翠。」
「兄様・・・・・・。」
俯き、何かを必死で耐えているように見えた久遠は、すかさず部屋中の明かりを消してしまった。
吐き出された声は、かろうじて冷静なものだったが、明らかに様子がおかしい。
彼の行動に首をかしげながら、翡翠は久遠がこれほどまでに取り乱した物の正体を確かめたくて、暗がりの中、手を伸ばす。
「翡翠っ!」
衣ごしに翡翠の指がそれに触れた瞬間、久遠は聞いたことがないほどうろたえた声を上げ、翡翠の腕を掴んだ。
その様子に、翡翠はようやく、自分が触れたものが何であるかに思い至り、顔に一気に熱が上がった。
暗闇で見えないが、恐らくその顔は血が噴き出しそうなほど、真っ赤に染まっているに違いなかった。
だが、翡翠の顔が深紅に染まったのは、羞恥のためだけではない。
久遠が、一人の女として、たぎるほど強く自分を求めてくれているのだと知り、これ以上ないほどの喜びが全身を駆け巡っていたためだ。
久遠は重く掠れた声で消え入るような言葉を吐き出す。
「・・・触れるな・・・。私は、大人びてなどいない。・・・すまない。・・・辛いんだ。」
「どうして?」
「翡翠?」
翡翠は空いている方の手を、久遠の身体の中心をかすめながら、先ほど触れた彼の高まりへ、ためらいがちに、ぎこちなく滑らせていく。
久遠は今度はそれを止めたりすることはしなかった。
翡翠の手が衣越しに彼の熱の柱に触れ、そこで動きを止めた時、一度だけぴくりと身体を震わせた。
翡翠は昂る熱の塊にそっと触れたまま、噛みしめるように言葉を紡ぐ。
「辛いのに、我慢なんてしなくていい。・・・久遠を欲しいと思っているは、私の方なのだから。」
翡翠が言い終わらないうちに、彼女の口は噛みつくような久遠の唇にふさがれていた。
吐息も、肌も、激しく降りそそぐ口づけの合間にのぞく瞳の閃きも・・・・・・翡翠の身の内を灼熱で焦がし尽くしていく。
たちまち乱れ切っていく呼吸と、こぼれそうになる甘い声を必死で抑える翡翠の耳元で、久遠が低い声で囁く。
「翡翠・・・声を抑えるな。」
翡翠の柔らかく白い耳たぶに噛みつき、首筋に唇を滑らせていく久遠からは、いつもの大人びた余裕など一切感じられない。
ぎらぎらと野生を映す瞳の奥に強烈な熱情を感じた翡翠の身体は、甘く痺れたように小刻みに震える。
濃厚な色の気配にぞくりとうずきを覚え、翡翠は無意識のうちに腿の内側にぐっと力を込めた。
途端に久遠は、慌てて翡翠を胸から押しやってしまう。
「今夜はもう休もう。・・・翡翠。」
「兄様・・・・・・。」
俯き、何かを必死で耐えているように見えた久遠は、すかさず部屋中の明かりを消してしまった。
吐き出された声は、かろうじて冷静なものだったが、明らかに様子がおかしい。
彼の行動に首をかしげながら、翡翠は久遠がこれほどまでに取り乱した物の正体を確かめたくて、暗がりの中、手を伸ばす。
「翡翠っ!」
衣ごしに翡翠の指がそれに触れた瞬間、久遠は聞いたことがないほどうろたえた声を上げ、翡翠の腕を掴んだ。
その様子に、翡翠はようやく、自分が触れたものが何であるかに思い至り、顔に一気に熱が上がった。
暗闇で見えないが、恐らくその顔は血が噴き出しそうなほど、真っ赤に染まっているに違いなかった。
だが、翡翠の顔が深紅に染まったのは、羞恥のためだけではない。
久遠が、一人の女として、たぎるほど強く自分を求めてくれているのだと知り、これ以上ないほどの喜びが全身を駆け巡っていたためだ。
久遠は重く掠れた声で消え入るような言葉を吐き出す。
「・・・触れるな・・・。私は、大人びてなどいない。・・・すまない。・・・辛いんだ。」
「どうして?」
「翡翠?」
翡翠は空いている方の手を、久遠の身体の中心をかすめながら、先ほど触れた彼の高まりへ、ためらいがちに、ぎこちなく滑らせていく。
久遠は今度はそれを止めたりすることはしなかった。
翡翠の手が衣越しに彼の熱の柱に触れ、そこで動きを止めた時、一度だけぴくりと身体を震わせた。
翡翠は昂る熱の塊にそっと触れたまま、噛みしめるように言葉を紡ぐ。
「辛いのに、我慢なんてしなくていい。・・・久遠を欲しいと思っているは、私の方なのだから。」
翡翠が言い終わらないうちに、彼女の口は噛みつくような久遠の唇にふさがれていた。
吐息も、肌も、激しく降りそそぐ口づけの合間にのぞく瞳の閃きも・・・・・・翡翠の身の内を灼熱で焦がし尽くしていく。
たちまち乱れ切っていく呼吸と、こぼれそうになる甘い声を必死で抑える翡翠の耳元で、久遠が低い声で囁く。
「翡翠・・・声を抑えるな。」
翡翠の柔らかく白い耳たぶに噛みつき、首筋に唇を滑らせていく久遠からは、いつもの大人びた余裕など一切感じられない。
ぎらぎらと野生を映す瞳の奥に強烈な熱情を感じた翡翠の身体は、甘く痺れたように小刻みに震える。
濃厚な色の気配にぞくりとうずきを覚え、翡翠は無意識のうちに腿の内側にぐっと力を込めた。
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