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12話 離婚しましょう、私達
しおりを挟む私は、普通に恋愛して、普通に結婚して、幸せになりたいの。
私だけじゃない、フェルナンド様だって、本当に好きな人と結ばれるのが、一番良いに決まってる。こんなの、誰も幸せになれない。
だから私は、今度こそ、フェルナンド様にちゃんと伝えなきゃ。
「離婚しましょう、私達」
フェルナンド様の目を見て、ハッキリと伝える。
(リーゼの我儘で、結婚までさせてしまってごめんなさい。これで私から、フェルナンド様を解放してあげれる)
「――正気ですか?」
「はい、今まで沢山ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。今後は、絶対に旦那様に会いませんし、つきまとったりもしないので安心して下さい」
「…………」
この結婚に愛は無い。フェルナンド様のためも、別れた方がお互いのため。
フェルナンド様はきっとすぐに頷いてくれると思っていたのに、長い沈黙の後から聞こえた台詞は、信じられないものだった。
「いいえ、離婚はしません」
「――え? 何で?」
喜んで離婚に応じてくれると思ったフェルナンド様からは、まさかの拒絶。
「話はそれだけですか?」
「ええ!? ちょっ、ちょっと待って下さい……! 私、こんなの初めてで……」
話が終わったとばかりに服の中に手を伸ばす旦那様を必死に止める。
「おかしなことを言いますね、跡継ぎを残すためにと、もう何度もしてるじゃないですか」
「それは、その……んっ」
手を押さえつけられ、強引に唇を塞がれる。
(私だけど、違うの! 私は、この体の持ち主に転生しちゃっただけなのに……!)
こんなことになるなら、さっさと離婚しておけば良かった。パーティーが終わるまで離婚を待った自分を、心底後悔した――
◇◇◇
結婚生活一か月と一日――
「お早うございますリーゼ様、昨晩は楽しまれましたか?」
「…………お早う」
朝起きて、いつものように朝食を食べにダイニングルームに降りると、笑顔でそう、私に尋ねるアルルがいた。
(アルルは知ってて、私を送り出したのよね)
昨晩のことを知られていると思うと、顔から火が出そうなくらい恥ずかしくて、こうなると知っていたなら教えて欲しかったけど、私の事情を何一つ知らないのだから、教えてくれなくても仕方ない。
(いや、逃げましたけどね!? なんとか理由をあれやこれやつけて、寸前、逃げ出してきましたけどね!?)
だけど、昨日の光景を思い出すだけで、頭が回る、体が熱い。
(私、キスだって初めてだったのに……!)
「リーゼ……様、お早うございます」
「ティア」
ダイニングルームで一人悶絶しながら食事をしていると、ティアがダイニングルームに入ってきた。
「あの、朝食をご一緒してもいいですか?」
「勿論! って、いつもより遅い時間だけど、まだ食べてなかったの?」
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「あ……私、リーゼ様と一緒にご飯を食べたくて……」
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隣の椅子を引き、こっちにおいでと手招きすると、ティアは嬉しそうに駆け寄った。この一挙手一投足が、可愛くて仕方ない!
アルルと親しくなったと言っても、彼女は使用人。
仕事もあるし、本邸のダイニングルームで私と一緒に食事なんてとれるはずもなく、いつも広いテーブルに一人ぼっちだったけど、大切な客人として招かれているティアなら、私と食事を取っても誰も文句は言えない。
「私、こんなに美味しいご飯を食べたの初めてなんです。貴族の皆さんの食事って、やっぱり凄いんですね」
「そうよね、分かる分かる! ビックリするよね」
「分かる……? リーゼ様は、ここに嫁いでこられる前も貴族令嬢だったとお伺いしたのですが……?」
「あ、ああ。えっと、その、実家のご飯も美味しいけど、ここも最高ってこと!」
「そうなんですね」
平民であるティアとの会話は気も合うし、とても楽しい。だって私も、元はド平民ですもん。
「私……リーゼ様とお友達になれて、良かった……」
(可愛すぎか! 天使か! ヒロインか!)
慕ってくれるティアにもうメロメロで、私も、ティアと友達になれて心から嬉しい。
(……うん、やっぱり、フェルナンド様と離婚しなきゃ!)
結局、昨日は離婚の話どころじゃなくなって逃げ出してしまったけど、リーゼ様のためにも、フェルナンド様のためにも、離婚しないと!
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