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第一章 かずま
第8話 南中サッカー部
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次の日から練習に参加した僕は、他の一年生とともに自己紹介をした。萌絵様に名前のことを尋ねたら、「男同士で会話するならどっちの名前でもいいわ」と言われたので、
「桜川主馬です。カズって呼んでください」と言った。
サッカー部に入った一年生は八人で、部員数の合計は十八名になったそうだ。
初日からハードな練習が続き、初めのフットワークだけで倒れそうになる一年生もいた。
そんな中、フットワークを軽くこなした僕に、部長の明日香さんが声を掛けてくれた。
「ナイスファイト! カズ」
身長が百八十は超えていそうなカッコいい人で、ポジションはキーパー、もちろん部員全員から慕われていた。
初日は流石に、一年生は実践練習には参加させてもらえなかったが、最後のシュート練習だけは、特別にボールを触ることを許された。
僕は、久しぶりにゴールに向かってシュートできることに幸せを感じつつ、一球一球丁寧に、コーナーを狙って蹴った。そしてついに明日香さん相手に、一本決めることができた。
「やったあ」
ところが喜んだのは僕一人で、ナイシューの一言も聞こえてはこなかった。キーパーの明日香さんは青ざめているように見えた。
その時ホイッスルがなり、全員がベンチにいる義貴さんの周りに、集められた。義貴さんの表情は険しく、怒っているように見えた。
「まだまだ、集中力が足りないよ。全員ダッシュでコート周り十周して帰りな。それとデク、お前はその後残れ」
明日香さんは、「はい」と返事をして、頭を下げた。僕がまだ7周しかしていない頃、明日香さんはダッシュを終えて、義貴さんの前で正座をさせられていた。遠目で見ても、何か叱られている。ということは分かった。
僕が八周目に入った時、明日香さんが立ち上がり、何度も義貴さんに頭を下げるのが見えた。
「おい、あまり見るなよ」
横を走る二年生が、耳元で呟いた。それもそうだと僕は見るのをやめた。
帰り際、萌絵様が教えてくれた。
「ビッツの最後のシュート良かったよ。でもあれを見た義貴さん、怒っちゃったけどね」
原因が僕のシュートだと知って、罪悪感を覚えた。
「えっ? 罪悪感感じてるの? ダメダメ! サッカーって、そういうものでしょう? やられた相手気遣ってたら、強くなれないぞ」
慰めてくれているのか、なんだかよく分からない萌絵様の励ましに、一層複雑な思いを持ちながら、その日は家に帰った。
「桜川主馬です。カズって呼んでください」と言った。
サッカー部に入った一年生は八人で、部員数の合計は十八名になったそうだ。
初日からハードな練習が続き、初めのフットワークだけで倒れそうになる一年生もいた。
そんな中、フットワークを軽くこなした僕に、部長の明日香さんが声を掛けてくれた。
「ナイスファイト! カズ」
身長が百八十は超えていそうなカッコいい人で、ポジションはキーパー、もちろん部員全員から慕われていた。
初日は流石に、一年生は実践練習には参加させてもらえなかったが、最後のシュート練習だけは、特別にボールを触ることを許された。
僕は、久しぶりにゴールに向かってシュートできることに幸せを感じつつ、一球一球丁寧に、コーナーを狙って蹴った。そしてついに明日香さん相手に、一本決めることができた。
「やったあ」
ところが喜んだのは僕一人で、ナイシューの一言も聞こえてはこなかった。キーパーの明日香さんは青ざめているように見えた。
その時ホイッスルがなり、全員がベンチにいる義貴さんの周りに、集められた。義貴さんの表情は険しく、怒っているように見えた。
「まだまだ、集中力が足りないよ。全員ダッシュでコート周り十周して帰りな。それとデク、お前はその後残れ」
明日香さんは、「はい」と返事をして、頭を下げた。僕がまだ7周しかしていない頃、明日香さんはダッシュを終えて、義貴さんの前で正座をさせられていた。遠目で見ても、何か叱られている。ということは分かった。
僕が八周目に入った時、明日香さんが立ち上がり、何度も義貴さんに頭を下げるのが見えた。
「おい、あまり見るなよ」
横を走る二年生が、耳元で呟いた。それもそうだと僕は見るのをやめた。
帰り際、萌絵様が教えてくれた。
「ビッツの最後のシュート良かったよ。でもあれを見た義貴さん、怒っちゃったけどね」
原因が僕のシュートだと知って、罪悪感を覚えた。
「えっ? 罪悪感感じてるの? ダメダメ! サッカーって、そういうものでしょう? やられた相手気遣ってたら、強くなれないぞ」
慰めてくれているのか、なんだかよく分からない萌絵様の励ましに、一層複雑な思いを持ちながら、その日は家に帰った。
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