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いつか国のお外にほっぽりだされる、というのなら…。
04
しおりを挟むそれは十年ほど前。
七歳にして過去を思い出したディアーナは。
まあ、正直話した。
いつか自分が国外追放されると。
そこは一応よく考えて、予知夢的な? そんなのを見ましたと。
この世界、摩訶不思議はあり。
そもそも砂漠を泳ぐ不思議な生き物も以外も、まだまだいたりして。
まさに異世界転生なら予知夢の方が話し通じるんじゃないかしらぁ……と。
それはディアーナの予想や想像以上に。
うちの姫になにすんじゃあ!
まだ何も起こっていないというのに、父も兄も、叔父さんたちも大叔父さんたちも怒髪天に。
母たちは美しい微笑みに上品に青筋をたてていた。
予知夢、この世界では感の良い子供は割と見るらしいと、後に知ったディアーナだった。
グッジョブ自分。
まあまだ起きていないし、ただの悪夢な可能性はあるけれど。
そういうことなら手を打ちましょう。
まず祖母は仲の良い兄に手紙を書いた。
「砂漠、うちが手を出すからね?」
この近隣諸国最強のお国に許可もらい。
旅好きだった大叔父が、かねてから砂漠の民たちにご縁があり。爵位放り投げて伝説の冒険者とか何それなひとだった。おかげで敵意なくと砂漠に受け入れられて。
地質学やそうした方面の研究者だった叔父が土地を調べまくり。砂地の岩棚で鉱物資源まで見つかったのは運が良すぎて怖くなるほど。
もうひとりの叔父は父とアルテール家の独立か隣国併合を考え動き出し。
母のご実家の商会の物流が良い働きを。
もちろん、兄達も。各自良い働きを。
ディアーナも生前聞いた井戸掘りの話をそれとなく、また学者の叔父に話をしたり。あんまり詳しくは話せかなったことにより――覚えていなかったともいう――それはディアーナの思いつきのように捉えられ。
「ディアーナは天才か……!」
褒められたし、同じく井戸掘りに協力してくれていた砂漠の民たちに「もしや、女神の化身」と崇められかけて焦ったり。それは本当は誰かの苦労話だったから。
あら、前世チート、ちょっと出来た? ありがとう、おじさん。お酒気をつけてね。
それから十年ほどして。
砂漠にぽつんとディアーナが立ってから、三年。
ぽかんと、ヒューバートは口を開けていた。
「あ、あれは……」
玉座に座る男。
この国の王だというのは。
「アルテール家の三男じゃないか!?」
付随してきた側近たちもぽかんと。
それはディアーナの兄のひとり。
彼は妹の追放先になるというこの砂漠をどうにかしようと、何度も訪れて。
大叔父や叔父の手伝いを。
上の兄たちはアルテール家の跡取りとその補佐として、国に残り頑張ってくれている。
いやまず水の確保と。
そして、彼はこの国の民たちと一緒に井戸掘りをするうちに。
かつて滅んだ王家の末裔。
その姫と――恋に落ちた。
後にこの砂漠で一大叙事詩となる恋物語で、新たな王国の王と王妃の始まりであった。
北の隣国――この国ともお隣になる――も、王女の孫が新たな国の王となるのは後押しのしがいがあると腕を鳴らし。
他の国々も砂漠の中に現れた都に、その価値に。
次々とよしみを結んだ。
新たな交易ルートでもある。
実は、南の小さな島国の向こうに、また別な大陸があり。
砂漠を通れればかなりのショートカットができるわけで。
砂漠の端に港街も計画中と聞けばなおさらに。
わざわざヒューバートの国を目指さなくても良くなった。
そうして、ヒューバートたちが知らない間に、世界は彼の国をはぶいて進んでいた。
ぽかんとしている彼らは、やがて気がついた。
王の近くに。
まるで月の女神のような美しい女性がいることを。
彼女を護るのは、王妃となるかつての王朝の末裔――その弟と先ほど祭典中に紹介のあった美しくも凛々しい青年である。
彼が三年前にディアーナを迎えにいったことも。誰にもその役目は譲らなかったことも。まあ確かに白砂イルカを操ることにかけて彼ほどの名手はいなかったのだが。
トゥールは今やこの国の若き騎士団長だという。過酷な砂漠の世界で一族を引き連れて生きてきた彼はまた、強く。
白砂イルカを駆り、砂漠の警護を。
その逞しく強くも美しい姿から、後の世に砂漠の旅人たちの守護神とも謳われ。
また三才年下ながらも、ディアーナに恋して懸命に口説いていることはこの国では有名で。
そうして月の女神を自ら手放した国は、やがて北の国にすべて――と、後の世の歌にあり。
そう、後の世には――。
砂の国の月の女神の夫は、砂漠の旅の守護神であるとも謳われ――。
終。
――――
いつか国のお外にほっぽりだされる、というのなら――そこに住まいを作っておこう、でしたとさ。
ディアーナさんが国の王だったり王妃さまだったり…なんてエンディングを思われましたか?(ΦωΦ)フフフ…
ディアーナさん。前世不運。けれども転生に気がついたけど、作品はあまり詳しくなかったのが逆に。不運の揺り返し。なんだかんだ周りが強キャラ。そういうひとたちにきちんと甘えられたのが良かった。真面目な性格だから、もしも婚約破棄されなかったらきちんと王妃にはなるつもりだった。そういう計画だった。
…でも、彼女によって砂漠の民たちは滅亡から救われて。
トゥールくん。姉さん女房に大満足。滅びる運命だった一族を助けてくれたアルテール家の皆さまに大感謝。お嫁さんに出会えたことに大大大感謝。実は、幼少期出会った時点でめちゃんこ強かった。砂漠の巨大獣を狩って生きていたリアルハンター。彼を王様になお話しあったけど、統治は姉の方が向いていた。お姉さんは一族の巫女みたいな位置にもいたので。よってこの国は後々は女統王朝になっていくんじゃないかな。
ヒューバートはシオシオになって帰国。自らやらかしたことにようやく。まぁ、彼の親たちも悪いんだが。行く末はお察し。
ソレイユは同じく転生な感じだったけど…間違えたひと。いろいろと。彼女も幸せになる道だってあったはず。だからフェードアウト。
(シンデレラも何代もやったら大変だと思ったのがこの話)
砂漠は、イメージはモン◯ンとか、ティ◯キンの砂漠を思い浮かべていただけたら…私の貧弱な想像力では精一杯。
国々の位置の把握が難しかったらすみません。今後の反省点。
あと、ほっぽりだすてもしかしたら方言だったかな。響き好きです。
…モ◯ハンやりたぁい…PS5持ってなぁい…。その勢いで、つい…書いた…。
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