上 下
42 / 381

45話

しおりを挟む
「ん…」

目が覚めて自分が何処にいるのか一瞬わからなくなる。
そして此処は何処か理解してから辺りを見回して俺は悲鳴を上げそうになった!
口許を両手で抑えると、うぐっと変な声が出てしまうが、悲鳴じゃなかったから許して欲しい。

全裸!

リルもレヴィも昨夜一緒に寝たときのように獣化した姿ではなく人型…
眠る前は獣体だったため、俺が眠っている間に戻ったのだろう。
うわ、うわわ。
見ちゃいけないのに、視線が外せない。
顔を両手で覆うが、その指の隙間からどうしてもちらちらと見てしまうのだ。
だって、其処には完璧な肉体美!
みっちりとした首から胸への盛り上がりとか…腕とか。
6つに割れた腹筋とかさ!
流石にそれから下は見れなくて、そっとふたりに毛布を掛ける。
見てないからねっ。

「……っ」

マットレスが軽く沈んだリルの寝返りに漸く我にかえると、慌てて毛布を掴んで隠れるように被る。
どうしよう!どうしよう!

「ん?リクト?起きたか?」
「う、うん…起きた…けどさ、全裸って駄目って言ったよねぇ!」

ちらりと毛布から顔を出すが、俺はまた顔を引っ込めてしまう。
何でふたりは大丈夫なの?
鍛えていて自分の身体に自信があるから?
見ていて眼福だけどさ。
流石に全裸ってどうなの?

たぶん俺は耳まで赤くなっている。

「悪い悪い、レヴィ起きろ…服着るぞ?」
「んん…もうちょっと…」

ぎゃっ!レヴィさん俺の毛布の中に入ってくるのやめてよ!

「え、狡い…俺も一緒に寝たい…」

毛布の上からぎゅうぎゅうと抱き締めてくるのはリルさんだよねっ!
苦しいよ!?

ぷはっと顔を出すと、満足げなリルと視線が交わる。

「もうっ!ふたりとも朝御飯なしだからねっ!」

伝家の宝刀『朝食抜き』を振りかざすと、ふたりはガバッと起き上がりいそいそと服を着だす。
やればできるじゃん!
俺はぶつぶつと呟きながら毛布の中にくるまった。
ふたりが着替えるまでは出ないからねっ!
そしてふたりから着替えたぞと申告があるまで毛布を握り締めていたのだった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

推しの幼なじみになったら、いつの間にか巻き込まれていた

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:784

【完結】どうして殺されたのですか?貴方達の愛はもう要りません  

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,249pt お気に入り:4,677

ド陰キャが海外スパダリに溺愛される話

BL / 連載中 24h.ポイント:8,365pt お気に入り:295

処理中です...