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第十四章
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上野駅に着いて桜のマンションへ向かうまでの道のり、速足で歩いていた歩幅はいつのまにか走り出していた。
何だか嫌な予感がする。
普段はそんなもの信じないのに。
途中、こちらへ向かって走ってきた若い男性とドンッとぶつかってしまい、咄嗟に忠臣が「すみません!」と謝る。
「……」
「!?」
男性は酷い顔色で、それでもギロリと忠臣を睨んでまた走ってゆく。
忠臣の鼻を濃厚な甘い匂いが掠めて、それが彼を混乱させた。
これは桜の匂いの筈だ。
いつもふわりと優しく香るあの匂いが、こんな甘い毒薬の様な匂いで他の男から香るだなんて。
不思議に思いながら、忠臣も桜のマンションへの道を急いだ。
スニーカーを履いた足が、やけに重い。
何だか嫌な予感がする。
普段はそんなもの信じないのに。
途中、こちらへ向かって走ってきた若い男性とドンッとぶつかってしまい、咄嗟に忠臣が「すみません!」と謝る。
「……」
「!?」
男性は酷い顔色で、それでもギロリと忠臣を睨んでまた走ってゆく。
忠臣の鼻を濃厚な甘い匂いが掠めて、それが彼を混乱させた。
これは桜の匂いの筈だ。
いつもふわりと優しく香るあの匂いが、こんな甘い毒薬の様な匂いで他の男から香るだなんて。
不思議に思いながら、忠臣も桜のマンションへの道を急いだ。
スニーカーを履いた足が、やけに重い。
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