森のカフェしっぽっぽ

五十代後半の初老――サトルが営むのは、就労支援B型事業所を兼ねた猫カフェ「森のカフェしっぽっぽ」。

一階には利用者が作った木工小物や布雑貨が並び、
猫たち(イチ・きな・トラ・チビ・そして極度の臆病猫ジル)が自由気ままに接客(?)をしている。

しかしこの店には、誰も知らない“もう一つの顔”があった。

地下の倉庫兼店舗は異世界と繋がっている。
ただし、異世界人は地球には来られない。
行き来できるのはサトルだけ。

向こう側には|蜥蜴人族≪リザードマン≫の商人、
頑固な|鉱人族≪ドワーフ≫の職人、
静かな|森人族≪エルフ≫たちがいて、
サトルは彼らから“ちょっとだけ現実を楽にする品”を仕入れている。

仕事に疲れた会社員。
将来に迷う若者。
自信をなくした人。

サトルは客の空気を読み、異世界の商品をさりげなく勧める。

そして、棚の影で震えるジル。

怖がりで、音にびくつき、すぐ隠れる。
それでも店からは逃げない。

その姿が、なぜか人の心を少しだけ軽くする。

これは――
福祉と商売と猫と異世界が、ゆるく混ざり合う物語。

震えながらでも前に立つ者が、
今日も小さく世界をつなぐ。
24h.ポイント 263pt
381
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