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第二章 聖杯にまつわるお話

第250話

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 人材を探す言ったな、あれは嘘だ!

「見つけてきたんよ」
「夢と希望だけしかない一文無しです」
「元の場所に戻して来なさい」

 翌日の穏やかな午後の時間、縁側で騎士様に膝枕をしていたらネヴォラとイネスがパンツ一丁の男性を連れてきた。
 号泣してるんだけど……シャムスの教育に悪いので服を着せなさい、服を。

「いやだ俺は働かない! 今日こそは樹とほのぼの休日を――」
「ライスバーガーのお店!!」
「店長は私のお店でバイトしてた子です! お金を貯めて自分のお店やりたがっていたから押し付けました!」
「コイツはバイト」
『下働きよ』
「いーやーだー」

 子供のように駄々をこねて抵抗する騎士様、早く屋台を開店させたい子供たち。
 庭で日向ぼっこしていたもふもふズが寄ってきて、子供たちと一緒に騎士様をふんふん嗅いだり舐めたりして圧をかけております。
 短いお休みでしたね。

「そんなに急いで開店しなくてもいいよね!?」
「いやだ」
「いやです」
『善はいしょげ』
「稼がせないとコイツがずっとパンツ一丁のままだぞ!」
「そこは服を貸してあげて」

 涼玉の脅しに思わずツッコミを入れてしまった。

「騎士様、ゆっくりするには望みを叶えるしかないですよ」
「俺の休日!」
「そもそも騎士様が甘やかした結果なので諦めてください」

 可愛いおねだりや、可愛い脅迫に負けてホイホイお願い叶えたらこうなると、刀雲からも何度か言われていたのに、子供達の可愛らしさに抗えずに招いたのが現状です。
 まぁここで抗い切れてもアー君が学園から帰ったら押し通されちゃうんですけどね。

 子供達に背中を物理的に押された騎士様は、泣く泣く開店準備の為に出かけて行きました。
 見送った後、座敷に戻ったらネヴォラがパンツの人の前でソロバンを弾いていました。

「服はレンタルにしてやんよ、一日このぐらいな」
「鬼!!」
「鬼じゃないんよ」
「悪魔!」
「わたしダークエルフ」

 パンツ一丁で嘆かれても変態としか思えない、仕方ないので口添えをしてあげよう。

「ネヴォラ、天引きにしてあげて」
「分かった」

 パンツの人は天引きの意味が分からなかったのかポカンとしている。
 誰も意味を教えない中、イネスが「そのお洋服は貴方のものですから大事にね」と優しい声で囁いた。
 感動に目を潤ませているけど、購入代金は自分で払うんですよ。騙されてる、騙されてる。

 とりあえずイネスが常備しているズボンとシャツを与え、ショタに囲まれた状況でパンツ一丁という変態状態から脱却した。
 なんでそんなにたくさん持っているかと聞いたら、ネヴォラと一緒に付与魔術を練習するために使っているものと教えてくれました。
 成功したらお店でオークションにかけたり、従業員には社員割引で売ったしてるようです。

 パンツの人に渡したのは付与前の既製品、それでも質はいいので普通のシャツよりお値段高めだって。
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