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第三章 世界に降りかかる受難

第591話

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 刀雲とヘラ母さんにダブルで説教を食らいました。
 えっちゃん酷い。

 本日は説教で心が傷付いちゃったので、朝食を食べ終えて皆を送り出したのち、家出しました。
 プンプン、今日はもう帰ってあげないのよ。

「おうおチビちゃんがこんな所にいるぜぇ」
「うへへへ」

 えっちゃんを振り切って適当に転移したらどこかの国のスラムだった。
 みんな人相が悪い、歯が抜けてたり、片目がなかったりしてます。こいつら子分にして闇ギルドその2でも結成しちゃおっかなぁ!!

「家出した!」
「お、おぅ、威勢がいいな」
「今日はもう帰ってあげないの! おっちゃんたち匿って!」
「え、えぇ……」
「何でこんなに上から目線なのこの子」
「でも兄貴、着ている服はいいものっぽいですよ、保護しますか? それとも売ります?」
「俺の直感が関わるなと言っている」
「ついてく」
「逃げられる気がしねぇなー」

 もし僕に背を向けてみろ、涼玉みたいにそのズボンに飛びついてずり落とす!

「食い物奢ってやるから帰らないか?」
「家出した!」

 大事なことなのでもう一回主張したら、僕に背を向けてごにょごにょ相談を始めました。
 逃がさない、走り出した瞬間に足にしがみついてどこまでも付いていく。

「迷子扱いで警備兵に引き渡し、とか」
「それ俺らが捕まる可能性高いですぜ」
「ギルドとかどうです、俺らが近付いても不審がられないはず」
「じゃあそれで」

 相談が終わったようだ。
 一番体が大きいおっちゃんが膝をついて僕に視線を合わせてきた。
 幼児に目線を合わせるとか、実はいい人なんじゃないかなぁ?

「俺らはこれから飯を食いに行く、一緒に行くか?」
「カレー食べてもいい?」
「いきなり高級品指定してきた」
「見た目通りやっぱりいい所のボンボンなんじゃ……」
「早く引き渡しましょう」

 朝ごはん食べたばっかりだけど、転移で魔力を消費したのでカレーで補給します。
 何て思っていたら後ろからいきなり持ち上げられた。

「ははっ、綺麗な服着た坊やじゃねぇか、お前らが売らねぇなら俺らが売ってやるよ!」
「ぎゃははっ! 今夜は祝杯だな!」
「おいお前らその手を――」
「兄貴、逃げていいですか!」
「逃げたら死ぬぞ! 直感的なあれだけど!」
「あたりー」

 ポンチョのフードを掴んで僕を持ち上げた人の霊圧がふっと消えました。
 一度言ってみたかったんだよね、霊圧が消えた。っていうセリフ。あ、でも声に出してないからノーカウントでお願いします。

「な、なんだ、あの闇」
「逃げるな、動いてもいいけど逃げるな」
「腰抜けて動けねぇよ」
「漏らしたか?」
「俺セーフ」

 僕に危害を加えようとしたのはスラムに暮らす他の悪者だろう、えっちゃんがぶわーってなって飲み込んじゃいました。
 まぁ僕の影を拠点としているえっちゃんを振り切れる訳がないのです。

「おっちゃん、カレー食べに行こう」
「解放してくんねぇかな?」
「やーよ」

 ギルドでカレーを食べるまでは意地でも離れない。

「出来ればご当地カレーがあるともっといい」
「よし、さっさと連れて行こう、もうそれしかねぇ」
「兄貴だけ行ってきて」
「俺まだ歩けない」
「着替えにアジトに帰りたい」
「漏らしたのお前かよっ!」

 約一名、えっちゃんに驚いてちびってしまったようです。
 えっちゃんにお願いしてクリーンをかけてもらいました。これで解決、じゃあ行こうか。
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