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第一章
第8話
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学園祭当日。
麗美は放課後あまりクラスの手伝いができなかったからという理由で、ずっと縁日の当番をさせられていた。
本人も自ら、申し訳ないから私が当番やりますと係をかって出た。
女子から嫌味を言われるのは分かっているから、面倒だけど麗美はやるらしい。
その辺彼女は男気がある。というか、ことを荒立てたくないんだろう。
うちの学校は進学校だから塾で早く帰ってしまう子も多かった。特に問題はないかと思うけど、麗美の場合は何かと目を付けられる。
可愛らしい見た目が嫌がらせのターゲットになるのは世の常だ。おとなしく控えめな性格も、かえって女子から反感をかってしまう。
馬鹿らしいけどそういうもの。
その辺、上手く立ち回らなければならないということも、麗美は賢いからわかっている。
「じゃ、後は、佐々木君よろしくね」
そう言うと明里はボーリング係をバトンタッチし、出し物を見に行った。
ひとりは寂しいからその辺のグループに混ざり適当に時間を潰す。
体育倉庫の前でラグビー部が女装して踊っていた。
人気なのか、たくさんの観客がいた。女子高生たちの前で、ミニスカートのすね毛たちが足を上げて流行りのダンスを踊っていた。
なんとなく大門君を探すと、ひとりだけ何故かゴリラの着ぐるみで、首から『イケメン』と書いた札を下げて踊らされていた。
女子がゴリラに一緒に写真を撮って欲しいと列をなしている。
ゴリラ、人気なのか。と思いながらそこを後にした。
「そう言えば、明里。ひったくり犯を大門君と一緒に捕まえたんだよね」
いっしょに回っていたクラスメートが聞いてきた。
あぁ、そうだと言う。捕まえてはいないが、何度も聞かれてうんざりだったので適当に答えた。
「あれから大門君、人気が出て他校から会いに来る生徒とかもいるみたい」
さっきのゴリラとのツーショット写真も、その影響なのだろう。
「へー凄いね。私には誰も会いにこなかったけど」
そう言うと、みんな笑っていた。
明里も実は、あの後何回か声をかけられた。ひったくり犯の事件のあの人ですよね?みたいな。陸上部に入らないかとも言われた。
他校の女の子に『走る姿がかっこよかったです』と連絡先を聞かれたこともあった。
知らない人なのでごめんなさいと連絡先は教えなかった。
明里はたこ焼きをお土産にクラスに戻る。
麗美はお客さんがいなくなった教室で、片付けをしていた。
3時だから、もうそろそろクラスの出し物は終わる。
「わぁ、たこ焼きだ。ありがとう!」
麗美はたこ焼きを喜んでくれた。
「ひとり?」
「うん」
「そか、一緒に食べよ」
「うん」
二人で窓の側の席に座ってたこ焼きを食べた。
麗美は放課後あまりクラスの手伝いができなかったからという理由で、ずっと縁日の当番をさせられていた。
本人も自ら、申し訳ないから私が当番やりますと係をかって出た。
女子から嫌味を言われるのは分かっているから、面倒だけど麗美はやるらしい。
その辺彼女は男気がある。というか、ことを荒立てたくないんだろう。
うちの学校は進学校だから塾で早く帰ってしまう子も多かった。特に問題はないかと思うけど、麗美の場合は何かと目を付けられる。
可愛らしい見た目が嫌がらせのターゲットになるのは世の常だ。おとなしく控えめな性格も、かえって女子から反感をかってしまう。
馬鹿らしいけどそういうもの。
その辺、上手く立ち回らなければならないということも、麗美は賢いからわかっている。
「じゃ、後は、佐々木君よろしくね」
そう言うと明里はボーリング係をバトンタッチし、出し物を見に行った。
ひとりは寂しいからその辺のグループに混ざり適当に時間を潰す。
体育倉庫の前でラグビー部が女装して踊っていた。
人気なのか、たくさんの観客がいた。女子高生たちの前で、ミニスカートのすね毛たちが足を上げて流行りのダンスを踊っていた。
なんとなく大門君を探すと、ひとりだけ何故かゴリラの着ぐるみで、首から『イケメン』と書いた札を下げて踊らされていた。
女子がゴリラに一緒に写真を撮って欲しいと列をなしている。
ゴリラ、人気なのか。と思いながらそこを後にした。
「そう言えば、明里。ひったくり犯を大門君と一緒に捕まえたんだよね」
いっしょに回っていたクラスメートが聞いてきた。
あぁ、そうだと言う。捕まえてはいないが、何度も聞かれてうんざりだったので適当に答えた。
「あれから大門君、人気が出て他校から会いに来る生徒とかもいるみたい」
さっきのゴリラとのツーショット写真も、その影響なのだろう。
「へー凄いね。私には誰も会いにこなかったけど」
そう言うと、みんな笑っていた。
明里も実は、あの後何回か声をかけられた。ひったくり犯の事件のあの人ですよね?みたいな。陸上部に入らないかとも言われた。
他校の女の子に『走る姿がかっこよかったです』と連絡先を聞かれたこともあった。
知らない人なのでごめんなさいと連絡先は教えなかった。
明里はたこ焼きをお土産にクラスに戻る。
麗美はお客さんがいなくなった教室で、片付けをしていた。
3時だから、もうそろそろクラスの出し物は終わる。
「わぁ、たこ焼きだ。ありがとう!」
麗美はたこ焼きを喜んでくれた。
「ひとり?」
「うん」
「そか、一緒に食べよ」
「うん」
二人で窓の側の席に座ってたこ焼きを食べた。
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