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第一章
第10話 年末
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寒さも厳しくなり、お爺ちゃんが体調を崩した。
立ち上がることが困難になり、ベッドに寝たきりになった。
調子がいい日は少なくなり、日中、目を開けている時間が短くなった。
それでも食事の時は、口元にスプーンを持っていくと口を開けて柔らかくした食事を食べた。
入れ歯の取り外しや、口腔ケア。タオルで体を拭く作業。着替え、おむつ交換。一気に作業が増えた。
お母さんは在宅ワークに切り替えた。
デイサービスには通えなくなり、両親が夜中に話しているのが聞こえた。
『明里に迷惑かけてしまっている』『もう自宅で看るのは無理ね』と。
その後、ケアマネジャーさんと話し合い、お爺ちゃんは施設に入ってもらう事になった。
高齢者施設というのは待機している人が沢山いて、申し込んだとしてもすぐに入所はできないらしい。
お爺ちゃんは特別養護老人ホームの八十五番目の待機者となった。
母親は仕事に食事の準備、買い物。洗濯や掃除など、とても大変そうだった。
行政のサービスが受けられればよかったけど、同居家族がいると自宅での生活援助は難しいらしい。
母親が家で仕事をしている間は、邪魔にならないよう明里がおじいちゃんの面倒を見た。
できるだけ音を立てず、おじいちゃんの体の向きを変える。
そうしないと床ずれができてしまうらしかった。
私に申し訳ないと思っているのは分かる。けれど自分の思い通りにいかない事に、母はイライラしていた。
こんなことなら仕事は会社でやって欲しい。母が家にいない方が楽だったと思った。
そして、その年の瀬におじいちゃんは死んでしまった。
立ち上がることが困難になり、ベッドに寝たきりになった。
調子がいい日は少なくなり、日中、目を開けている時間が短くなった。
それでも食事の時は、口元にスプーンを持っていくと口を開けて柔らかくした食事を食べた。
入れ歯の取り外しや、口腔ケア。タオルで体を拭く作業。着替え、おむつ交換。一気に作業が増えた。
お母さんは在宅ワークに切り替えた。
デイサービスには通えなくなり、両親が夜中に話しているのが聞こえた。
『明里に迷惑かけてしまっている』『もう自宅で看るのは無理ね』と。
その後、ケアマネジャーさんと話し合い、お爺ちゃんは施設に入ってもらう事になった。
高齢者施設というのは待機している人が沢山いて、申し込んだとしてもすぐに入所はできないらしい。
お爺ちゃんは特別養護老人ホームの八十五番目の待機者となった。
母親は仕事に食事の準備、買い物。洗濯や掃除など、とても大変そうだった。
行政のサービスが受けられればよかったけど、同居家族がいると自宅での生活援助は難しいらしい。
母親が家で仕事をしている間は、邪魔にならないよう明里がおじいちゃんの面倒を見た。
できるだけ音を立てず、おじいちゃんの体の向きを変える。
そうしないと床ずれができてしまうらしかった。
私に申し訳ないと思っているのは分かる。けれど自分の思い通りにいかない事に、母はイライラしていた。
こんなことなら仕事は会社でやって欲しい。母が家にいない方が楽だったと思った。
そして、その年の瀬におじいちゃんは死んでしまった。
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