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そりゃ後を絶たないわ
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どうしてこうなった?
わたくしは隣に座るグレイ様を、もう何度目になるか分からないほど見て、首を傾げる。
確かに、数カ月前に海に行きたいと言ったし、そのノリでリアン達も便乗するかもしれないと言うのは話していた。
それはいい。それは仕方がない。
でも、グレイ様はのっぴきならない事情が無い限り、特定の領地に行けないって言わなかったっけ?
それなのに、なんでグレイ様がわたくし達と一緒にミビノル伯爵領に行こうとしているの?
あ、いやね。建前上は最近造船した船を視察に行くっていう名目なのは知ってる。
外交上、船は確かに重要だよ。だからといって、今までしなかったのにいきなり国王が船の視察とか、あからさますぎるんじゃないかね。
一応、わたくしの知識をもとに、今までなかった船(弁才船)が作られたっていうのはあるんだけどね。
今まではここまで大きな船はなかったから、確かに国王が視察に行ってもおかしくはないんだけど、都合がよすぎると言うか、なんというか……。
そもそも、視察っていうんだったら、わたくし達と予定を合わせなくてもいいわけで、なんだったら、わたくしと一緒の馬車に乗っていること自体がおかしいのよね。
わたくしも、リアン達が乗っている馬車がいいなぁ。
建前上は、わたくしはリーチェと同じ馬車に乗っていることになっているのよね。
実際はこの状態だけど。
リアン達は三人で馬車に乗って、本来わたくしとリーチェが乗っているはずの馬車にはメイドや侍従が乗っている。
この馬車の周りには、護衛が沢山いるとはいえ、馬車の中はいつも以上に二人きりなわけだよコンチクショウっ。
しかも、グレイ様ってばしっかり防音魔法もかけてくれちゃってねえ。この旅程が始まってから、わたくしを膝に乗せようと何度チャレンジされた事か。
その度に危ないからって断ってるけどね!
「ツェツィ、車酔いは大丈夫か?」
「問題ないわ。領地との行き来で馬車には慣れているもの」
本当にね、魔法の力で前世の自動車並みの快適性なんだよ。
車輪とサスペンションの部分に魔法が使われているらしいんだけど、解析には至っていない。
それよりも食事改善が忙しかったから。
「しかし、座りっぱなしではお尻が痛くなるだろう?」
「流石は国王様の馬車ね。素晴らしいクッションだわ」
「もし馬車が傾いたら危ない」
「そうならないように護衛が居るのよね。道もここ数年かけて整備されているわね」
「私の膝の上が寒いな」
「それは大変ね。わたくしの膝掛けを使っていいわよ」
「ここに、私が求めているぬくもりがあるのだがな」
「ヘエ、ソウナンダー」
スルリと頬を撫でられて、わたくしは思わず棒読みで言葉を発してしまう。
ミビノル伯爵領はジャンビュレング国の中でも北にあるから、冬は気温が王都よりもぐっと下がる。
デュランバル辺境侯爵領は南東に位置しているんだけどね。ちなみに、ジャンビュレング国は南北に伸びた卵型の国っていう感じかな。
王都は中心部分にある感じで、国を北から南にまっすぐ行くには、馬車で十二日ぐらいかかるんだって。
こう考えると、辺境領とはいえ、馬車で三日で王都に行けるうちの領地はそこまで辺境じゃないね。
さて、王都から馬車で六日かけてミビノル伯爵領に行くわけなんだけど、ずっとこの状態なのかなぁ。
でも組合せを変えようにも、リアン以外とグレイ様が一緒になるのはおかしいから、必然的にわたくしかリアンがグレイ様と一緒になるんだよね。
いやまて、そもそもグレイ様は一人でもよくない? その予定で馬車を用意しているんだし。
「明日は、わたくしは予定通りに」
「そうだ。今日泊まる予定の宿の話を聞いているか? 食事に関してはツェツィが作った保存食という物などを駆使するそうだが、部屋はどのようなものだろうな」
「あー、食事ねえ。移動するたびに思うけど、携帯食料とかもっと開発したいわね」
パンは固くなっちゃうから、お米とか食材を持ち込んでいるんだけど、厨房を貸せとか宿にいちいち言うのも面倒なのよね。
デュランバル辺境侯爵領から王都までの宿屋は、もう慣れたもので何も言わなくても貸してくれるようになったんだけど、最初は大変だった。
お貴族様はうちの料理が気に入らないのか、とか不審な目を向けられたりね。
文字通り、同じ釜の飯を食わせて事なきを得たけど。
「今回は私にとってはいい事ばかりだ。ツェツィと同じ馬車で旅行が出来るし、ツェツィが作った料理が毎食食べることが出来るし」
「いや、リアン達やコックも作ってるよ? そもそも、馬車を同じにしなくてもよくない?」
「ツェツィ、そんなつれないことを言う物じゃない。整備された道を進んでいるとはいえ、全く揺れないわけじゃないんだ。何が起きても揺れのせいという事になるかもしれないぞ」
「ひぇ……」
九歳の子供相手に何言ってんだこの腹黒。
見た目はどんどんイケメンに磨きがかかって行くのに、中身がロリコンなんだよなぁ。
スリスリとわたくしの頬を撫でていた手が、慣れた手つきでわたくしの腰に回り、あっという間に体が浮いたかと思うと、気が付いた時はグレイ様の膝の上に乗っていた。
「おや、揺れのせいでツェツィが膝の上に飛び上がってしまったな」
んなわけあるかいっ。
「しかし、この体勢の方がやはり安心出来る。先ほどまでの体勢では、ツェツィを愛でるのに多少無理があったからな」
「色々無理が過ぎると思う」
「だが、季節と向かう先の性質上仕方がないとはいえ、着こみ過ぎではないか?」
「寒さに凍えるつもりはないわ」
「そうだな。風邪でも引いたら一大事だ。宿についてから楽しめばいい」
「何を!?」
「なんだと思う?」
「や、宿についたら色々しなくちゃいけないわね。余計な事を考える暇なんてないわ」
「そうだな。ツェツィは余計な事を考えずともよい」
こわぁ。よくわかんないけど腹黒こわぁ。
背中をグレイ様のお腹にくっつけるように膝の上に座って、わたくしのお腹はグレイ様の片腕でしっかりホールドなう。
空いた片腕はさっきからわたくしの頬とか首筋とかを撫でてるよ。ついでに頭にキスとかされてるよ。
気にしたら負けですか? そうですかっ。
顔のドアップがないだけましだけど、この体勢はこの体勢で、恥ずかしいなぁ。
「……うひゃんっ。なっ、なめっ!?」
「ああ、おいしそうに色づいていたのでつい」
「そこで喋ったら、くすぐった、やぁっ」
「いい香りがするし、食べたらさぞかし美味しい果実なのだろうな」
「おいしくなっはっ。も、なめちゃ、めぇっ」
「赤く色づいて、いい香りがして。ツェツィが言っていた、果物が熟しているという状態によく似ているな」
「ちがっ、もっくすぐっひゃわっ」
「違うのか? 確かに、熟すにはまだ早いか。ああ、味見がしたいものだ」
「くふっ、はっ……も、ばか、ぁ」
わざとらしく、耳をハムハムしながら、指でわたくしの唇をムニムニしないで欲しいんですけどっ。
っていうか、本当に耳は駄目っ。くすぐったいし、ゾワゾワするし。
くすぐりの刑もだけど、こういうのも本当に苦手。
「グレイ様、も、やぁだぁ」
「……ふむ、これ以上続けて機嫌を損ねるわけにもいかないからな。このぐらいにしておこう」
「ふー、はー」
くっそう、相変わらず絶妙な所で切り上げるなぁ。
もっと続けられて、本当にいやだってなれば、ヴェルとルジャが出てくれるんだけど、今のところそこまでは辿り着いていないんだよね。
流石は腹黒と言うべきなのだろうか。それとも、国王としての能力?
「さて、大分体が温まっただろう?」
「……そうね」
うっすら背中に汗をかく程度に温まったよ。すぐに下着が吸収してくれると思うけどね。
「グレイ様さぁ」
「なにかな?」
「後宮のお妃様ともこうしてイチャイチャしてるの?」
「気にしなくていい、と言いたいところだが、そうもいかないようだな」
「別に……」
「あ奴らの所には、義理で一晩行ったが、ベッドは共にしていないぞ」
「へ?」
「当日は媚薬を盛ってくる妃もいたが、その前にこちらが仕込んでいた睡眠薬の方が効果が強いからな」
「で、でも。お妃様達は自分の所にグレイ様が通ってるって言っているよね?」
「虚言だな。初日に飲ませた睡眠薬は、都合のいい夢を見ることが出来る成分も含まれている魔法薬でな。大方私に愛されたという夢でも見たのだろう」
「それはそれで、なんか可哀想」
「案ずるな。早い妃はすでに男を引き入れている」
「早くない!?」
「そうなのだが。男を引き入れているというのであれば、父上の妃達はどうしようもないな」
ああ、先王のお妃様達も似たような状態なのね。
流石に今更子供が出来たとは言えないだろうから、避妊はしているだろうけど、国民の税金の無駄遣いされているんじゃ……。
「私に子供が出来れば、父上の後宮も解体してしまえるし。父上の妃達は報奨金を支払われて実家の領地に行くことになっている。今残っている父上の妃は、子供を産んだものだけだからな」
「ああ、子供のいなかったお妃様は先王がお亡くなりになった後に、実家に帰されたんだっけ」
「それなりに報奨金は支払われたがな」
そう考えると、王様の後宮に入りたいっていう人が後を絶たないのもわかる気がするわ。
贅沢をしなければ働かなくても一定の金額を貰えて、生活に困らない。
旦那様が亡くなっても、まとまったお金を貰って田舎暮らしが出来るとか、めっちゃいいよね。
「私の子供は、あと十年ほどかかるか」
「……ソダネ」
うん、意味深にわたくしの下腹部をドレスの上から撫でるのやめよう?
ものすごく残念そうな声で九歳児の下腹部を撫でる国王の図とか、おまわりさんこの人です案件だから。もう色々とアウトだけど。
そうそう。一応、例外はあるけどグレイ様の子供が居ないから、リアンとかメイジュル様が王女とか王子ってまだ呼ばれているんだよね。
本来なら、王妹とか王弟って言われるはずなんだけど、そういう物らしいよ。
逆に、王太子に子供がいると、王太子の弟や妹は公子・公女って呼ばれるんだって。実に面倒くさいね。
わたくしは隣に座るグレイ様を、もう何度目になるか分からないほど見て、首を傾げる。
確かに、数カ月前に海に行きたいと言ったし、そのノリでリアン達も便乗するかもしれないと言うのは話していた。
それはいい。それは仕方がない。
でも、グレイ様はのっぴきならない事情が無い限り、特定の領地に行けないって言わなかったっけ?
それなのに、なんでグレイ様がわたくし達と一緒にミビノル伯爵領に行こうとしているの?
あ、いやね。建前上は最近造船した船を視察に行くっていう名目なのは知ってる。
外交上、船は確かに重要だよ。だからといって、今までしなかったのにいきなり国王が船の視察とか、あからさますぎるんじゃないかね。
一応、わたくしの知識をもとに、今までなかった船(弁才船)が作られたっていうのはあるんだけどね。
今まではここまで大きな船はなかったから、確かに国王が視察に行ってもおかしくはないんだけど、都合がよすぎると言うか、なんというか……。
そもそも、視察っていうんだったら、わたくし達と予定を合わせなくてもいいわけで、なんだったら、わたくしと一緒の馬車に乗っていること自体がおかしいのよね。
わたくしも、リアン達が乗っている馬車がいいなぁ。
建前上は、わたくしはリーチェと同じ馬車に乗っていることになっているのよね。
実際はこの状態だけど。
リアン達は三人で馬車に乗って、本来わたくしとリーチェが乗っているはずの馬車にはメイドや侍従が乗っている。
この馬車の周りには、護衛が沢山いるとはいえ、馬車の中はいつも以上に二人きりなわけだよコンチクショウっ。
しかも、グレイ様ってばしっかり防音魔法もかけてくれちゃってねえ。この旅程が始まってから、わたくしを膝に乗せようと何度チャレンジされた事か。
その度に危ないからって断ってるけどね!
「ツェツィ、車酔いは大丈夫か?」
「問題ないわ。領地との行き来で馬車には慣れているもの」
本当にね、魔法の力で前世の自動車並みの快適性なんだよ。
車輪とサスペンションの部分に魔法が使われているらしいんだけど、解析には至っていない。
それよりも食事改善が忙しかったから。
「しかし、座りっぱなしではお尻が痛くなるだろう?」
「流石は国王様の馬車ね。素晴らしいクッションだわ」
「もし馬車が傾いたら危ない」
「そうならないように護衛が居るのよね。道もここ数年かけて整備されているわね」
「私の膝の上が寒いな」
「それは大変ね。わたくしの膝掛けを使っていいわよ」
「ここに、私が求めているぬくもりがあるのだがな」
「ヘエ、ソウナンダー」
スルリと頬を撫でられて、わたくしは思わず棒読みで言葉を発してしまう。
ミビノル伯爵領はジャンビュレング国の中でも北にあるから、冬は気温が王都よりもぐっと下がる。
デュランバル辺境侯爵領は南東に位置しているんだけどね。ちなみに、ジャンビュレング国は南北に伸びた卵型の国っていう感じかな。
王都は中心部分にある感じで、国を北から南にまっすぐ行くには、馬車で十二日ぐらいかかるんだって。
こう考えると、辺境領とはいえ、馬車で三日で王都に行けるうちの領地はそこまで辺境じゃないね。
さて、王都から馬車で六日かけてミビノル伯爵領に行くわけなんだけど、ずっとこの状態なのかなぁ。
でも組合せを変えようにも、リアン以外とグレイ様が一緒になるのはおかしいから、必然的にわたくしかリアンがグレイ様と一緒になるんだよね。
いやまて、そもそもグレイ様は一人でもよくない? その予定で馬車を用意しているんだし。
「明日は、わたくしは予定通りに」
「そうだ。今日泊まる予定の宿の話を聞いているか? 食事に関してはツェツィが作った保存食という物などを駆使するそうだが、部屋はどのようなものだろうな」
「あー、食事ねえ。移動するたびに思うけど、携帯食料とかもっと開発したいわね」
パンは固くなっちゃうから、お米とか食材を持ち込んでいるんだけど、厨房を貸せとか宿にいちいち言うのも面倒なのよね。
デュランバル辺境侯爵領から王都までの宿屋は、もう慣れたもので何も言わなくても貸してくれるようになったんだけど、最初は大変だった。
お貴族様はうちの料理が気に入らないのか、とか不審な目を向けられたりね。
文字通り、同じ釜の飯を食わせて事なきを得たけど。
「今回は私にとってはいい事ばかりだ。ツェツィと同じ馬車で旅行が出来るし、ツェツィが作った料理が毎食食べることが出来るし」
「いや、リアン達やコックも作ってるよ? そもそも、馬車を同じにしなくてもよくない?」
「ツェツィ、そんなつれないことを言う物じゃない。整備された道を進んでいるとはいえ、全く揺れないわけじゃないんだ。何が起きても揺れのせいという事になるかもしれないぞ」
「ひぇ……」
九歳の子供相手に何言ってんだこの腹黒。
見た目はどんどんイケメンに磨きがかかって行くのに、中身がロリコンなんだよなぁ。
スリスリとわたくしの頬を撫でていた手が、慣れた手つきでわたくしの腰に回り、あっという間に体が浮いたかと思うと、気が付いた時はグレイ様の膝の上に乗っていた。
「おや、揺れのせいでツェツィが膝の上に飛び上がってしまったな」
んなわけあるかいっ。
「しかし、この体勢の方がやはり安心出来る。先ほどまでの体勢では、ツェツィを愛でるのに多少無理があったからな」
「色々無理が過ぎると思う」
「だが、季節と向かう先の性質上仕方がないとはいえ、着こみ過ぎではないか?」
「寒さに凍えるつもりはないわ」
「そうだな。風邪でも引いたら一大事だ。宿についてから楽しめばいい」
「何を!?」
「なんだと思う?」
「や、宿についたら色々しなくちゃいけないわね。余計な事を考える暇なんてないわ」
「そうだな。ツェツィは余計な事を考えずともよい」
こわぁ。よくわかんないけど腹黒こわぁ。
背中をグレイ様のお腹にくっつけるように膝の上に座って、わたくしのお腹はグレイ様の片腕でしっかりホールドなう。
空いた片腕はさっきからわたくしの頬とか首筋とかを撫でてるよ。ついでに頭にキスとかされてるよ。
気にしたら負けですか? そうですかっ。
顔のドアップがないだけましだけど、この体勢はこの体勢で、恥ずかしいなぁ。
「……うひゃんっ。なっ、なめっ!?」
「ああ、おいしそうに色づいていたのでつい」
「そこで喋ったら、くすぐった、やぁっ」
「いい香りがするし、食べたらさぞかし美味しい果実なのだろうな」
「おいしくなっはっ。も、なめちゃ、めぇっ」
「赤く色づいて、いい香りがして。ツェツィが言っていた、果物が熟しているという状態によく似ているな」
「ちがっ、もっくすぐっひゃわっ」
「違うのか? 確かに、熟すにはまだ早いか。ああ、味見がしたいものだ」
「くふっ、はっ……も、ばか、ぁ」
わざとらしく、耳をハムハムしながら、指でわたくしの唇をムニムニしないで欲しいんですけどっ。
っていうか、本当に耳は駄目っ。くすぐったいし、ゾワゾワするし。
くすぐりの刑もだけど、こういうのも本当に苦手。
「グレイ様、も、やぁだぁ」
「……ふむ、これ以上続けて機嫌を損ねるわけにもいかないからな。このぐらいにしておこう」
「ふー、はー」
くっそう、相変わらず絶妙な所で切り上げるなぁ。
もっと続けられて、本当にいやだってなれば、ヴェルとルジャが出てくれるんだけど、今のところそこまでは辿り着いていないんだよね。
流石は腹黒と言うべきなのだろうか。それとも、国王としての能力?
「さて、大分体が温まっただろう?」
「……そうね」
うっすら背中に汗をかく程度に温まったよ。すぐに下着が吸収してくれると思うけどね。
「グレイ様さぁ」
「なにかな?」
「後宮のお妃様ともこうしてイチャイチャしてるの?」
「気にしなくていい、と言いたいところだが、そうもいかないようだな」
「別に……」
「あ奴らの所には、義理で一晩行ったが、ベッドは共にしていないぞ」
「へ?」
「当日は媚薬を盛ってくる妃もいたが、その前にこちらが仕込んでいた睡眠薬の方が効果が強いからな」
「で、でも。お妃様達は自分の所にグレイ様が通ってるって言っているよね?」
「虚言だな。初日に飲ませた睡眠薬は、都合のいい夢を見ることが出来る成分も含まれている魔法薬でな。大方私に愛されたという夢でも見たのだろう」
「それはそれで、なんか可哀想」
「案ずるな。早い妃はすでに男を引き入れている」
「早くない!?」
「そうなのだが。男を引き入れているというのであれば、父上の妃達はどうしようもないな」
ああ、先王のお妃様達も似たような状態なのね。
流石に今更子供が出来たとは言えないだろうから、避妊はしているだろうけど、国民の税金の無駄遣いされているんじゃ……。
「私に子供が出来れば、父上の後宮も解体してしまえるし。父上の妃達は報奨金を支払われて実家の領地に行くことになっている。今残っている父上の妃は、子供を産んだものだけだからな」
「ああ、子供のいなかったお妃様は先王がお亡くなりになった後に、実家に帰されたんだっけ」
「それなりに報奨金は支払われたがな」
そう考えると、王様の後宮に入りたいっていう人が後を絶たないのもわかる気がするわ。
贅沢をしなければ働かなくても一定の金額を貰えて、生活に困らない。
旦那様が亡くなっても、まとまったお金を貰って田舎暮らしが出来るとか、めっちゃいいよね。
「私の子供は、あと十年ほどかかるか」
「……ソダネ」
うん、意味深にわたくしの下腹部をドレスの上から撫でるのやめよう?
ものすごく残念そうな声で九歳児の下腹部を撫でる国王の図とか、おまわりさんこの人です案件だから。もう色々とアウトだけど。
そうそう。一応、例外はあるけどグレイ様の子供が居ないから、リアンとかメイジュル様が王女とか王子ってまだ呼ばれているんだよね。
本来なら、王妹とか王弟って言われるはずなんだけど、そういう物らしいよ。
逆に、王太子に子供がいると、王太子の弟や妹は公子・公女って呼ばれるんだって。実に面倒くさいね。
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