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フラグス編

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「子供の内は身分差がないというのは確かにそうかもしれませんけれども、それはほんの幼い子供のころの話しでございましょう?学園に通うほどの年齢になれば身分差を気にしてしかるべき年齢化と思いますわ。それに、学園や社交界で今後の人脈づくりをする時期ですのに、失礼ですがパラディ様は男性とばかり人脈をお作りになって女生徒の人脈をお作りにはなっていないようにお見受けいたします。その癖は直したほうがいいのではないのでしょうか?その見た目で女性が寄ってこないとおっしゃっていましたが、パラディ様からも歩み寄りをなさいませんと関係は一向に改善しないのではないでしょうか?私は今後のパラディ様の未来が心配でなりませんわ」
「なっ!?ひどい!まるで私が何も努力してないみたいなことを言うんですね!私だって皆に歩み寄ろうとしてるけど皆が私を避けてっきゃぁっ」

 急に立ち上がろうとしたパラディ様のドレスにテーブルの縁に置いてあった紅茶のカップが当たって零れてしまいましたわ。なんであんなに端っこに置いていたのでしょうか?

「まあ、ドレスが汚れてしまいましたわね。替えはお持ちになっていらっしゃいますか?」
「そんなのもってるわけないじゃないですか」

 まあ、普通でしたら不測の事態、例えばドレスが被ってしまった場合などに備えて持ってくるのが常識ですのに、やはりこういった暗黙のルールはわかっていらっしゃらないようですわね。

「どうしよう、せっかくお母さんが作ってくれたのに」
「タオルを持ってこさせましょう、せめて染み抜きをしなくてはなりませんわね。着替えをご用意いたしますわ」

 この王宮にはパラディ様でも着れるドレスがあるはずですもの。それこそパラディ様のお家の年収に値するようなドレスになってしまいますけれども仕方がありませんわね。

「え、替えのドレスってもらっていいんでか?でもフラグス様のドレスじゃ私には入らないと思うんですけど」
「私のドレスではありませんわ。歴代の皇太子妃様や王妃様のドレスです」
「そんなすごいものを貰えるんですか!?」
「ええ、この場合仕方がりませんわ。私が主催したお茶会で汚れたドレスのままご参加いただくわけには参りませんもの」
「嬉しい!」

 妙にはしゃいでいらっしゃいますわね。まあ、分不相応のドレスを頂けるのですからその反応になってしまうのかもしれませんわね。
 それにしても今日のお茶会はパラディ様の相手ばかりしているような気がしてしまいますわ。
 同じテーブルにいらっしゃる他のご令嬢はこちらにはかかわりたくないと言わんばかりに、こちらを無視して会話をなさっておいででしたし、全く困ってしますわね。
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