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アリア編

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 しないといっているのに、またもやメリッサ様が私とコデック様がいる時に抗議にいらっしゃいました。

「私のスカーフがなくなったんです。お母様からもらった大事な物なんです。返してください」
「そのようなもの存じ上げませんわ、どうしてそのようなことをおっしゃるのですか?」
「うそです!私のスカーフを持ってるのを見たっていう人がいるんですからね!」
「誰です?」
「それは言えません」
「それでは証言とは言えませんわね」
「でもアリア様が私のスカーフを盗んだことに変わりはないじゃないですか!返してください!」
「ですから盗んでなどいないと言っているでしょう。風か何かで飛ばされたのではありませんか?」
「そう言って言い訳をするんですね!」
「言い訳も何も事実ですわ」
「返してください!」

 メリッサ様は涙を流して膝を地面につけてしまいました。
 コデック様はどうしたものか考えているようですけれども、今は静観なさっておいでのようですわね。
 それが正解ですわ。
 それにしても今度はスカーフを盗まれた、ですか。
 安物のスカーフに興味はありませんわ。
 それから、廊下でメリッサ様とすれ違ったときにわざとらしく転ばれたり、怯えられたりするようになりました。
 それがあまりにも演技がかったものなので見た方々は興ざめなのですが、噂では私がメリッサ様を転ばせたという噂が流れ始めてしまいました。
 まあ、私にも敵がいないわけではありませんし仕方がりませんわよね。
 問題はコデック様がその噂を半ば信じ始めていることですわ。
 全く困ったことですわね。

「トーリア先生はどう思われますか?」
「まあ、言葉には力が宿るものですからね。悪意は特に宿りやすいものです」
「そうですか」

 私はそういって保健室でトーリア先生が淹れてくれたお茶を飲みほっと一息を吐き出します。

「それにしても皇太子様には困ったものですね、一番信じなくてはならないアリア様を疑うだなんて」
「まったくですわ。恋愛感情はなくとも信頼関係は築けていたと思っておりましたのにそんなことはなかったと思い知らされてしまいましたわ。コデック様の変わりようもありますけれども、皇太子の地位は孤独なものなのでしょうが、それを支える私のような存在がいることを忘れないでいただきたいものですわね」
「全くです。そのために想いを諦めるものもいるというのに」
「フラグス様達のことですわね。まあ、あの方々は収まるところに納まったので問題はありませんわよね」
「……そうですね」
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