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第三章 手に入れる者、失う者
美味しいお酒です
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宴もたけなわとなって来て、皆様程よくお酒も入っているようで、随分と楽しそうにしております。
わたくしはオレンジジュースを頂きながらその光景を見てほのぼのしてしまいます。
それにしても、万屋で売っているこのオレンジジュース、美味しいですね、いくらでも飲めてしまいそうです。
「ティタニア、飲んでるぅ?」
「ええ、オレンジジュースですけれどもね」
「もうっ、エッシャルと同じおこちゃまなんだから。この世界に来たんだし、お酒の味も覚えないとだめよ」
「いえ、神殿の者にお酒を飲むのは控えるように言われておりますので」
「そうなの? ティタニアって案外酒癖が悪いの?」
「どうなのでしょうか? 覚えていないのでわからないのですよね」
わたくしの言葉に、クインゼル様がニヤリと笑いまして、手にしていたコップをわたくしに渡してきます。
これは白ワインでしょうか?
わたくしはそっとクインゼル様にコップをお返ししまして、自分用のコップを手に取ってオレンジジュースを飲みます。
「オレンジジュースばっかり飲んじゃってつまらないわね」
「わたくしはこれでよろしいのですわ。それにこのオレンジジュースとても美味しいのですもの」
「しぼりたて100%とかなのかしら?」
「え、普通のオレンジジュースだよ? ティタニアさんが飲んでいるのは違うのかな?」
「同じだと思うのですが」
わたくしはそう言ってもう一口飲んで、やはりいつも飲んでいるオレンジジュースよりも美味しいとおもいます。
皆様でいただくから美味しいと感じているのかもしれませんね。
それになんだか体があったかくなってきますし、気分もほわほわとしてきます。
こういう催し物に参加するのは本当に久しぶりなので、気分がどうしても高揚してしまうのでしょうね。
「ふふふ、なんだか気分がいいですわ」
「それはなによりだけど、なんかいつもとテンションが違うね」
シンヤ様はそう言って自分のコップの中身を飲んで首を傾げました。
「これ、普通のオレンジジュースだ」
「普通のオレンジジュースではいけませんの?」
「いや、俺はスクリュードライバーを飲んでたんだけど……、まさか」
シンヤ様がそう言ってそっとわたくしの手の中からコップを取り上げるとそれを飲みました。
「あ、これスクリュードライバーだ」
「あらら、隣同士だしコップを間違えちゃったのね」
「そうでしたか、それは失礼をいたしました」
「いや、構わないけど。ティタニアちゃんは大丈夫なの?」
「ほわほわしますけれど大丈夫ですわ」
わたくしがそう言ってにっこりと微笑みますと、シンヤ様は「ならいいけど」とおっしゃってそのままスクリュードライバーなるものを飲み干しました。
「けれども、そのスクリュードライバーなるものは美味しいですわね。気に入りましたわ。お代わりを頂いて来ましょう」
「え、でも神殿の人からお酒を控えるように言われているんだろう?」
「少しぐらいなら大丈夫ですわよ」
わたくしはそう言ってミカル様の所に行きまして、スクリュードライバーのリクエストをいたしました。
ミカル様は張り切ってカクテルを作ってくださいまして、他の方の注文分よりも先にわたくしの注文分を作ってくださいました。
コップにスクリュードライバーが注がれたものを受け取って席に戻りますと、エッシャル様が顔を真っ赤にしておりました。
「どうしましたの?」
「ちょーっと白ワインを飲ませたらこうなっちゃったわ。こんなにアルコールに弱いとは思わなかったわ」
「無理にお酒を飲ませるのはよくありませんわよ?」
「いや、飲ませたというよりは舐めさせたっていう程度なんだけどね。一応エッシャルの世界ではお酒を飲める年齢だって言ってたから大丈夫だと思ったんだけどねぇ」
「甘いカクテルしか飲んだ事ないんだもん」
顔は赤くしておりますが、意識はしっかりしているようですね。
エッシャル様は口直しと言わんばかりにリンゴジュースをコップに注いで飲み始めました。
わたくしは席に座り直すと持って来たスクリュードライバーを飲みます。
やはり美味しいですわね。
作っているミカル様の腕がいいのかもしれません。
飲んでおりますと、ふわふわしてとても良い気分になることが出来ますし、たまにはお酒を頂くのもいいかもしれません。
けれども、神殿の皆様はどうしてわたくしにお酒を控えるように言ったのでしょうか?
そう思いながら飲んでおりますと、気分がますますふわふわしてまいりまして、飲むのが止まらなくなってしまいます。
「ティタニアちゃん、その辺にしておいたら? 顔色は変わってないけど、なんだかふらついてるよ?」
「大丈夫ですわ。とてもいい気分ですの」
わたくしはそう言ってコップに残ったスクリュードライバーを飲み干しまして、お代わりを貰いに行こうと立ち上がった瞬間、くらりと致しましてシンヤ様の方に倒れ込んでしまいました。
「わっ、大丈夫かい?」
「ふふふ、倒れてしまいましたわね」
「そうだね。やっぱりもうお酒を飲むのはやめた方がいいんじゃないかな」
「このようにお酒を頂く機会なんてあまりないですし、もう少しよろしいではありませんか」
「スクリュードライバーならあたしがもらってきてあげるわ」
クインゼル様がそうおっしゃってミカル様の方に行くのを見送って、わたくしはシンヤ様にもたれかかったまま機嫌よくクフクフと笑いがこみあげてきてしまいます。
わたくしはオレンジジュースを頂きながらその光景を見てほのぼのしてしまいます。
それにしても、万屋で売っているこのオレンジジュース、美味しいですね、いくらでも飲めてしまいそうです。
「ティタニア、飲んでるぅ?」
「ええ、オレンジジュースですけれどもね」
「もうっ、エッシャルと同じおこちゃまなんだから。この世界に来たんだし、お酒の味も覚えないとだめよ」
「いえ、神殿の者にお酒を飲むのは控えるように言われておりますので」
「そうなの? ティタニアって案外酒癖が悪いの?」
「どうなのでしょうか? 覚えていないのでわからないのですよね」
わたくしの言葉に、クインゼル様がニヤリと笑いまして、手にしていたコップをわたくしに渡してきます。
これは白ワインでしょうか?
わたくしはそっとクインゼル様にコップをお返ししまして、自分用のコップを手に取ってオレンジジュースを飲みます。
「オレンジジュースばっかり飲んじゃってつまらないわね」
「わたくしはこれでよろしいのですわ。それにこのオレンジジュースとても美味しいのですもの」
「しぼりたて100%とかなのかしら?」
「え、普通のオレンジジュースだよ? ティタニアさんが飲んでいるのは違うのかな?」
「同じだと思うのですが」
わたくしはそう言ってもう一口飲んで、やはりいつも飲んでいるオレンジジュースよりも美味しいとおもいます。
皆様でいただくから美味しいと感じているのかもしれませんね。
それになんだか体があったかくなってきますし、気分もほわほわとしてきます。
こういう催し物に参加するのは本当に久しぶりなので、気分がどうしても高揚してしまうのでしょうね。
「ふふふ、なんだか気分がいいですわ」
「それはなによりだけど、なんかいつもとテンションが違うね」
シンヤ様はそう言って自分のコップの中身を飲んで首を傾げました。
「これ、普通のオレンジジュースだ」
「普通のオレンジジュースではいけませんの?」
「いや、俺はスクリュードライバーを飲んでたんだけど……、まさか」
シンヤ様がそう言ってそっとわたくしの手の中からコップを取り上げるとそれを飲みました。
「あ、これスクリュードライバーだ」
「あらら、隣同士だしコップを間違えちゃったのね」
「そうでしたか、それは失礼をいたしました」
「いや、構わないけど。ティタニアちゃんは大丈夫なの?」
「ほわほわしますけれど大丈夫ですわ」
わたくしがそう言ってにっこりと微笑みますと、シンヤ様は「ならいいけど」とおっしゃってそのままスクリュードライバーなるものを飲み干しました。
「けれども、そのスクリュードライバーなるものは美味しいですわね。気に入りましたわ。お代わりを頂いて来ましょう」
「え、でも神殿の人からお酒を控えるように言われているんだろう?」
「少しぐらいなら大丈夫ですわよ」
わたくしはそう言ってミカル様の所に行きまして、スクリュードライバーのリクエストをいたしました。
ミカル様は張り切ってカクテルを作ってくださいまして、他の方の注文分よりも先にわたくしの注文分を作ってくださいました。
コップにスクリュードライバーが注がれたものを受け取って席に戻りますと、エッシャル様が顔を真っ赤にしておりました。
「どうしましたの?」
「ちょーっと白ワインを飲ませたらこうなっちゃったわ。こんなにアルコールに弱いとは思わなかったわ」
「無理にお酒を飲ませるのはよくありませんわよ?」
「いや、飲ませたというよりは舐めさせたっていう程度なんだけどね。一応エッシャルの世界ではお酒を飲める年齢だって言ってたから大丈夫だと思ったんだけどねぇ」
「甘いカクテルしか飲んだ事ないんだもん」
顔は赤くしておりますが、意識はしっかりしているようですね。
エッシャル様は口直しと言わんばかりにリンゴジュースをコップに注いで飲み始めました。
わたくしは席に座り直すと持って来たスクリュードライバーを飲みます。
やはり美味しいですわね。
作っているミカル様の腕がいいのかもしれません。
飲んでおりますと、ふわふわしてとても良い気分になることが出来ますし、たまにはお酒を頂くのもいいかもしれません。
けれども、神殿の皆様はどうしてわたくしにお酒を控えるように言ったのでしょうか?
そう思いながら飲んでおりますと、気分がますますふわふわしてまいりまして、飲むのが止まらなくなってしまいます。
「ティタニアちゃん、その辺にしておいたら? 顔色は変わってないけど、なんだかふらついてるよ?」
「大丈夫ですわ。とてもいい気分ですの」
わたくしはそう言ってコップに残ったスクリュードライバーを飲み干しまして、お代わりを貰いに行こうと立ち上がった瞬間、くらりと致しましてシンヤ様の方に倒れ込んでしまいました。
「わっ、大丈夫かい?」
「ふふふ、倒れてしまいましたわね」
「そうだね。やっぱりもうお酒を飲むのはやめた方がいいんじゃないかな」
「このようにお酒を頂く機会なんてあまりないですし、もう少しよろしいではありませんか」
「スクリュードライバーならあたしがもらってきてあげるわ」
クインゼル様がそうおっしゃってミカル様の方に行くのを見送って、わたくしはシンヤ様にもたれかかったまま機嫌よくクフクフと笑いがこみあげてきてしまいます。
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