侯爵令息から婚約破棄されたけど、王太子殿下から婚約の申し出がありました!

安奈

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41話 王位継承権 その1

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 私とハルト様は後日、国王陛下の私室を訪れることになった。私一人ではとても会えないだろうけど、流石はハルト様……すぐに謁見可能にしたのが凄いわ。


「父上……お話がございます」

「ハルトか……それに、そちらはシエル嬢だな」

「お初にお目にかかります、国王陛下……」


 初めてお会いするというわけではないけれど、ハルト様の婚約者になってからは初めてだったかしら? ろくな挨拶もできていなかったわね、そう言えば……。


「婚約後の挨拶回りに来た……ということでもなさそうだな」

「それについては、また落ち着いた時にでも。既にメルレーンからの報告が受けているかと思いますが……」

「ああ、報告は聞いている。どうやら、カニエル公爵が、前のブリーテン家の粗相を利用して台頭しているようだな」


 既にメルレーンからの報告は上がっていたのね。1から説明する必要がないようで私は安心した。


「はい、その通りです。カニエル公爵の掲げる貴族連合の発足とリクイドの懐柔……再び、王位継承権を勃発させようとしていることからも、反逆の意志は明確です」

「少し落ち着くのだ、ハルトよ」


 国王陛下は、私達二人を近くのソファに座るように促した。言葉通り、腰を掛ける。ハルト様のもどかしい気持ちは理解出来るわ……リクイド第三王子も向こう側に行ったのだし……絶対に、カニエル公爵を許せないと思う。


「父上、再びの王位継承権など前代未聞と言えるでしょう。カニエル公爵への厳罰も含め、お考えください」


「ハルトよ……この王国に於いて、国王陛下の一存で全てが決まらないというのは知っているだろう?」

「は、はい……それはもちろん存じてはおりますが……」


「何事も罰を与える権限は議会にあると言える。もちろん、私の権力を多少、議会に持ち込むなど、例外的な処置を行うことは不可能ではないが……」


 我が国において、例外的に国王陛下や大臣の意志を通してしまう場合というのは確かに存在する。戦争時などがそうだけど、国王陛下は現在はそのようには考えていないみたいね。

 なんだか、随分と呑気に見えてしまうけれど……大丈夫なのかしら?


「父上、カニエル公爵は私と伯爵令嬢であるシエルとの婚約が国家を衰退させるだろうということを理由に、リクイドを台頭させ、自らは裏の実権を握ろうとしています! ここで動かなければ、王家そのものが瓦解するかもしれません!」


「……お前たちも同意見か」


「もちろんです、陛下。カニエル公爵とハルト様のお話しは護衛の任務で聞いておりますので……」


 いつの間にか、私達の背後にはハルト様の護衛の面々が並んでいた。どの方も私より上の人たちばかり……。いつ見ても壮観だわ……。


「わかった……私の方から議会に直接、話をしてみよう」

「ありがとうございます、父上!」

「過剰な期待はし過ぎるなよ? 国王陛下と言えども万全ではない。本当に国王陛下が何でも可能なら、カニエル公爵のような人物が生まれることなど、ないのだからな」


 国王陛下はようやくその重い腰を上げたくださった。ハルト様もガッツポーズをしていらっしゃるわ。なんとか、上手い方向に転がっていければいいんだけど。果たしてどうなるかしら?
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