姉と妹に血が繋がっていないことを知られてはいけない

マーラッシュ

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ピンチの時は悪魔の力を借りるとこも厭わない

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「リウトお兄さん、ちひろちゃんいらっしゃい」
「ツムツムいえ~い」

 紬ちゃんが居間から出てくると、先に部屋に上がっていたちひろとハイタッチをしていた。
 2人とも仲良いな。どうやら昨日俺がこの家から逃げ出した後に、親睦を深めたようだ。

「あれ? お姉ちゃん何でお兄さんの近くにいるの?」

 紬ちゃんの指摘通り、先程までエロリスト扱いされてボディーチェックをされていたため、確かに神奈さんとの距離がいつもより近い。

「こ、これは天城くんがいかがわしいオモチャを持っていないかボディーチェックしていたからです」

 そう言って神奈さんは頬を赤らめ、慌てて俺から距離を取り始める。

「そうなんだ。じゃあ私もお兄さんのボディーチェックする~」

 紬ちゃんは宣言通り俺に近づいてきて身体をペタペタと触ってくる。

「私もリウトが危険なものを持っていないか確認してみようかな」

 ちひろが悪魔の笑みを浮かべながら目線を下に向けてきた。

 こ、こいつ⋯⋯気づいていやがる。
 しかも今大きくなりかけていることがバレたら紬ちゃんで欲情したと勘違いされてしまう。そうなったら神奈さんには冷ややかな視線を送られ、俺への好感度(限りなく0、いやマイナスかも知れないが)が一気に無くなり、もう二度自宅に呼ばれることはないだろう。

「天城くんどうしたの? 何だか汗をかいているようだけど」
「あ、暑かったから汗をかいちゃったのかなあ」

 もちろんこの汗は神奈姉妹に大きくなりかけていることがバレないかの冷や汗だ。
 紬ちゃんのボディーチェックが足首から膝、太腿へと移動していく。まさかとは思うが股の所は調べないよな? もし調べられたら「あれ? お姉ちゃん。何か硬いものがここにあるよ」と言われて人生が終わる。
 ど、どうする? 紬ちゃんを突き放すか? しかし考えている間にも紬ちゃんの手は迫ってくる。
 そしてついに紬ちゃんの手が股の所を触ろうとした時。

「神奈っち、ツムツム。私も暑くて汗をかいちゃった。何か冷たい飲み物でもあるかな?」

 神の声⋯⋯いや、悪魔の声により紬ちゃんの手は止まり、俺は九死に一生を得る。

「気づかなくてごめんなさい。紬、冷蔵庫にある麦茶を出して」
「うん、わかった」

 そして神奈さんと紬ちゃんは麦茶を出すためか俺から離れ、居間へと向かっていった。

「た、助かった~」
「良かったわね。私に感謝しなさいよ」
「くっ!」

 悔しいけど今回はちひろに助けられた。もしあのまま紬ちゃんの手が迫ってきたらと思うと⋯⋯。神奈さんだけではなく紬ちゃんからの信頼も失う所だった。

「ほら、早く居間まで行くわよ⋯⋯ってリウトは少し冷ましてからの方がいいわね」
「その通りだから何も言えない」

 こうしてちひろは舌を出しながら、俺を置いて一人、居間へと向かうのであった。
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