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暴走暴走大暴走
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「どどど、どいうこと! 何でリウトちゃんが女の子とキスしてるのよ!」
「コ、コト姉! いつからそこに!」
最悪だ。まさかコト姉にキスされているところを見られるなんて。とにかくこの子からもコト姉に事情を説明してもらおう。たぶん俺が言ってもコト姉は話を聞いてくれなさそうだしな。
「お嬢様~⋯⋯お嬢様~」
だがこの緊迫した場面で、どこからか誰かが叫ぶ声が聞こえてきた。
「お嬢様?」
そしてその声は段々とこちらへと近づいてくる。
「ごめんなさいね。私もう行くから」
「えっ? ちょっと!」
「また会いましょう。天城 リウトくん」
えっ? 俺はこの子に名前を教えていないよな。
名前についてはコト姉がさっき俺のことを呼んでいたから、それを聞いていたのかもしれないけど、名字については誰も口にしていないはずだ。
やっぱりこの子は俺のことを⋯⋯。
女の子は可愛らしくウインクをすると、颯爽とこの場から立ち去ってしまった。
「何だったんだいったい⋯⋯」
そして女の子がここから離れていってから、すぐにお嬢様と叫んでいた人⋯⋯いや、金髪のメイドさんがこちらに来て、話しかけてきた。
「こちらに薄い茶色の髪、茶色の瞳をした絶世の美少女が来ませんでしたか?」
見た目からして外国の血が入っているのは間違いないと思うが、その流暢な日本語と、何よりその美しいメイド姿に、思わず絶世の美少女はあなたなのでは? と問いかけそうになる。
まるで本から出てきたような姿に、俺だけではなく周囲の男達が見惚れていた。
「その子なら向こうに行きましたよ」
俺はこの時、このメイドさんに魅了されていたのか、考えもなしに素直に女の子の行き先を答える。
「ありがとうございました。それでは失礼いたします」
メイドさんは両手を前で組み、美しい所作で頭を下げると猛スピードでこの場から立ち去っていく。
まさか経った数分の間に、とんでもない美少女二人と出会うなんて思っても見なかった。それにしても最初に会った茶色の瞳の子は誰なんだ? 俺のことを知っているようだったからもしかしたらまた会えるかもしれないな。
俺はそのような思いを抱きつつ、この場を後にする。
「コト姉、そろそろ帰ろうか」
しかしコト姉からの返事はなかったため、視線を送ると何だが俯きワナワナと震えているように見えた。
「コト姉、そろそろ帰ろうかじゃないよ! さっきの茶色の髪の子は誰? 何でリウトちゃんにキ、キ、キ、キスしてるの!」
「いや、俺にも何が何だか⋯⋯」
何事もなかったかのように羽ヶ鷺へ帰ろうと思ったが、やはり無理だったか。コト姉はこれまで見たことがない程狼狽え、取り乱している。
「それにお姉ちゃんがいるのに金髪のメイドさんに見とれていたでしょ! リウトちゃんの浮気者! こうなったらお姉ちゃんもリウトちゃんにキ、キ、キスするんだから!」
こうして男二人に絡まれた美少女を助けたのはいいが、その様子をコト姉に見られていたため、この後俺は、嫉妬に狂う姉を止めるのに大変な労力を使うはめになったのだ。
「コ、コト姉! いつからそこに!」
最悪だ。まさかコト姉にキスされているところを見られるなんて。とにかくこの子からもコト姉に事情を説明してもらおう。たぶん俺が言ってもコト姉は話を聞いてくれなさそうだしな。
「お嬢様~⋯⋯お嬢様~」
だがこの緊迫した場面で、どこからか誰かが叫ぶ声が聞こえてきた。
「お嬢様?」
そしてその声は段々とこちらへと近づいてくる。
「ごめんなさいね。私もう行くから」
「えっ? ちょっと!」
「また会いましょう。天城 リウトくん」
えっ? 俺はこの子に名前を教えていないよな。
名前についてはコト姉がさっき俺のことを呼んでいたから、それを聞いていたのかもしれないけど、名字については誰も口にしていないはずだ。
やっぱりこの子は俺のことを⋯⋯。
女の子は可愛らしくウインクをすると、颯爽とこの場から立ち去ってしまった。
「何だったんだいったい⋯⋯」
そして女の子がここから離れていってから、すぐにお嬢様と叫んでいた人⋯⋯いや、金髪のメイドさんがこちらに来て、話しかけてきた。
「こちらに薄い茶色の髪、茶色の瞳をした絶世の美少女が来ませんでしたか?」
見た目からして外国の血が入っているのは間違いないと思うが、その流暢な日本語と、何よりその美しいメイド姿に、思わず絶世の美少女はあなたなのでは? と問いかけそうになる。
まるで本から出てきたような姿に、俺だけではなく周囲の男達が見惚れていた。
「その子なら向こうに行きましたよ」
俺はこの時、このメイドさんに魅了されていたのか、考えもなしに素直に女の子の行き先を答える。
「ありがとうございました。それでは失礼いたします」
メイドさんは両手を前で組み、美しい所作で頭を下げると猛スピードでこの場から立ち去っていく。
まさか経った数分の間に、とんでもない美少女二人と出会うなんて思っても見なかった。それにしても最初に会った茶色の瞳の子は誰なんだ? 俺のことを知っているようだったからもしかしたらまた会えるかもしれないな。
俺はそのような思いを抱きつつ、この場を後にする。
「コト姉、そろそろ帰ろうか」
しかしコト姉からの返事はなかったため、視線を送ると何だが俯きワナワナと震えているように見えた。
「コト姉、そろそろ帰ろうかじゃないよ! さっきの茶色の髪の子は誰? 何でリウトちゃんにキ、キ、キ、キスしてるの!」
「いや、俺にも何が何だか⋯⋯」
何事もなかったかのように羽ヶ鷺へ帰ろうと思ったが、やはり無理だったか。コト姉はこれまで見たことがない程狼狽え、取り乱している。
「それにお姉ちゃんがいるのに金髪のメイドさんに見とれていたでしょ! リウトちゃんの浮気者! こうなったらお姉ちゃんもリウトちゃんにキ、キ、キスするんだから!」
こうして男二人に絡まれた美少女を助けたのはいいが、その様子をコト姉に見られていたため、この後俺は、嫉妬に狂う姉を止めるのに大変な労力を使うはめになったのだ。
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