姉と妹に血が繋がっていないことを知られてはいけない

マーラッシュ

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朝から女の子が迎えに来るのはいいものだ

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翌日月曜日

「おはよう」
「おはよう」
「おはようリウト」

 今日は朝起きて一階に降りたら、リビングには親父と母さんしかいなかった。
 そういえば週始めにコト姉は生徒会の挨拶運動、ユズは学級当番で朝早く登校するって言ってたな。
 どうやら今日は久しぶりに静かな朝になりそうだ。

 今はコト姉はいない⋯⋯か。それなら昨日のことを母さんに聞いてみるか。

「母さんちょっといい?」
「何?」

 朝食を食べ終え、お茶を啜っている母さんに向かって俺は質問をする。

「昔俺って茶色の瞳の女の子と遊んだことってある?」
「いきなりどうしたの?」
「いや、ちょっと気になる子がいて」
「そうなの。でも茶色の瞳の子ねえ⋯⋯私が知る限りではいないわ」
「親父は?」
「俺も見たことないぞ。なんだ? 好きな子でもできたのか?」
「ちげえよ」

 嫌だ嫌だ。何で親は異性のことを聞くと色恋沙汰に持っていくのかね。そういうことを言うから親には恋愛の相談はしたくなくなる。

 ピンポーン

 俺が親父に呆れ返っていると突然家のチャイムが鳴る。

「誰だ? こんな朝早くに」

 これまで天城家でこの時間に人が来ることはなかった。だからこそチャイムが鳴ったことに驚く。

「どれどれ、さっき言っていたリウトの彼女が来たのか? 俺が対応しよう」

 親父は少し嬉しそうに席を立ち上がり、玄関へと向かう。
 残念ながらそんな素晴らしいことは起きないから。いつか彼女が朝迎えに来る⋯⋯そんな未来があるといいな。
 どうせ来客は俺には関係ない。そう思いながら朝食に手を伸ばすが⋯⋯。

「リウトォォォ!」

 親父が廊下で叫びながらリビングに戻ってきた。

「なんだなんだ」

 俺は突然の親父の奇行に驚きを隠せない。
 コト姉とユズに嫌われてとうとう頭がおかしくなったか。

「貴様どんな犯罪を犯したぁぁぁ!」

 親父はわけがわからないことを叫び、俺の顔面に右の拳を放ってきた。

「ふっ!」

 だが甘い。親父は殺気まみれだったため、攻撃してくることは読めた。俺は右腕で親父の拳を弾きガードする。

「突然何するんだ!」
「それはこっちのセリフだ! いくら性欲にまみれようと犯罪だけは犯さないように育てたつもりが⋯⋯」

 マジで意味がわからない。親父の奇行は来客した人が関係しているのか? それと人を勝手に性犯罪者にしないでほしい。

「どういうことかハッキリ言ってくれ」

 俺はニュ○タイプじゃないから理由を聞かないとわからない。

「とぼけるつもりか? いいだろう、教えてやる! 今、玄関にパツキンのメイドと茶色い瞳の美少女がお前のことを迎えに来ているぞ!」

 メイドと茶色い瞳の美少女って昨日の子達じゃないか。何で俺の家をしっているんだ?
 それと親父⋯⋯パツキンなんていつの時代だよ。

「あのような美少女がリウトのことを迎えに来るなどありえん! どうせ何か弱みを握って言うことを聞かせてるんだろ!」
「そんなことするか!」

 この親父の中には信用という言葉が欠落しているのか。たまには義理とはいえ息子を信じてほしいものだ。

「これ以上人様に迷惑をかける前に俺の手で、お前を地獄に送ってやろう。食らえ!」

 やばい! 親父が本気になったら俺の動体視力でも攻撃をかわすのは不可能だ。
 このままだと殺られる!

「やめなさい!」

 しかしこの時、母さんがフライパンで親父の頭をクリティカルヒットしてくれたお陰で俺は何とか命は失わずに済んだ。

「母さん何をするんだ! 俺はリウトのことを思って⋯⋯」

 親父は母さんの一撃を食らってもダメージが全くないのか、平然としている。
 ちっ! 生きてたか。伊達にボディーガードを生業としていないな。

「リウトのことを思うならまずは本人にも話を聞きなさい」

 さすが母さん、この頭がおかしい親父とは違って俺のことを信じてくれると思ったぜ。

「けど母さん」
「大丈夫⋯⋯もしもの時は私が手を下すわ」

 この時母さんから、親父以上の殺気がリビングに漂っていた。

「「ヒィッ!」」

 俺と親父は母さんの殺気に思わず悲鳴を上げてしまう。
 やはりこの家のカースト上位はこの人だ。母さんだけは絶対に敵に回さないようにしようと俺は心に誓う。

「返答がないから上がらせてもらったわ」

 そして天城家でいざこざを起こしていたせいか、来客であった茶色い瞳の女の子と金髪のメイドさんがリビングまで上がってきた。

 確かに親父の言うとおり昨日会った女の子達だ。なぜ朝早くにここに来たんだ。
 どうして彼女達がここにいるのか⋯⋯その謎はすぐに彼女達が教えてくれた。

「リウト。一緒に学校に行きましょ」
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