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両親の俺に対する信頼度は低いようだ
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茶色の瞳をした女の子は、ここが他人の家にもかかわらず態度があまりにも堂々としていたため、俺達は呆然としてしまう。
「え~と⋯⋯リウトのお友達?」
そんな中、まずは母さんが時を動かし、女の子に質問する。
「⋯⋯昨日暴漢に襲われた時、リウトに助けてもらって⋯⋯」
ん? 今、母さんの問いに答える時、少し間があったような⋯⋯。
「今日は一緒に学園に登校したくて押し掛けてしまいました」
確かにこの子は羽ヶ鷺学園の制服を着ているが、今まで見たことないぞ。
例え別学年であっても羽ヶ鷺の生徒の情報は調べてある。少なくともこんなに目立つ子の情報を逃すことはないとは思うが。
「失礼しました。自己紹介がまだでしたね。私の名前は西条 アリア。日本人の父とカナダ人の母を持つハーフで、今日から羽ヶ鷺学園に二年生として通います。そしてこちらはメイドのソフィア」
ソフィアさんが前に出て一礼するとまたアリアさんの後ろへと下がる。
やはりハーフだったか。しかも今日から羽ヶ鷺に転入? それに西条 アリア⋯⋯聞いたことのない名前だ。知り合いだと思ったが気のせいか?
「俺は天城 リウトです」
「リウトの父⋯⋯です」
「母です⋯⋯」
親父と母さんは突然現れたアリアさんとソフィアさんに驚き、呆気に取られている。
それにしてもこの二人は、他人の家に初めて来たのにまったく動じていないな。これもメイドがいるお嬢様の成せる業なのか。
「本当に昨日リウトがお嬢さんを?」
「はい。私が悪漢に襲われた時、白馬に乗った王子のように颯爽と現れ私を救ってくれました」
「王子?」
「リウトが?」
両親が疑問に思うのも無理もない。自分で言うのもなんだが、俺は王子などという器じゃないと思う。
「親父、母さん。何か俺に言うことは?」
「私はもちろんリウトを信じていたわよ。お父さんと違って」
「俺は言葉では色々言ったかもしれないがリウトを信じていたぞ」
「よく言うよ。弱みを握って言うことを聞かせているとか言っていたくせに」
母さんはともかく、親父は俺のことを犯罪者だと疑っていなかったことは間違いないだろう。
「お嬢様⋯⋯そろそろお時間です」
「わかったわ。リウト、一緒に学園に行きましょ。車で送っていくわ」
もう学園に行く時間か。もっと色々聞きたいことがあるけど、今は遅刻しないためにも学園へ向かうことが優先だ。
「ありがとう。じゃあせっかくだから送ってもらおうかな」
「ええ。それじゃあ先に車で待ってるわ。お父様、お母様、お騒がせ致しました」
そう言ってアリアさんは両手でスカートの端をつまみ、貴族のように優雅に挨拶してリビングを出ていった。
「メイド付きのお嬢様って本当にいるのね」
「ああ、それに二人ともすごい美人だったな」
「お父さん何か言った?」
「な、何も言ってません」
親父はアリアさんとソフィアさんを見て鼻の下を伸ばしていたが、母さんの一言で、恐怖の顔へと変貌していた。
普段親父の方が母さんよりカースト下位に見えるが、実は母さんの方が親父にベタぼれでよく嫉妬するからな。
そう考えるとコト姉とユズの嫉妬心が強い所は母親譲りなのか。
「それじゃあ俺は学園に行くから」
「いってらっしゃいリウト」
「ちょっと待て! この状態の母さんを放っておくのか? リウトがいなくなったら俺は⋯⋯」
「自業自得だろ? 頑張って母さんのご機嫌を取るんだな」
「リ、リウト!」
そして俺は玄関で靴を履き外に出ると、家の中から親父の断末魔が聞こえるのであった。
「え~と⋯⋯リウトのお友達?」
そんな中、まずは母さんが時を動かし、女の子に質問する。
「⋯⋯昨日暴漢に襲われた時、リウトに助けてもらって⋯⋯」
ん? 今、母さんの問いに答える時、少し間があったような⋯⋯。
「今日は一緒に学園に登校したくて押し掛けてしまいました」
確かにこの子は羽ヶ鷺学園の制服を着ているが、今まで見たことないぞ。
例え別学年であっても羽ヶ鷺の生徒の情報は調べてある。少なくともこんなに目立つ子の情報を逃すことはないとは思うが。
「失礼しました。自己紹介がまだでしたね。私の名前は西条 アリア。日本人の父とカナダ人の母を持つハーフで、今日から羽ヶ鷺学園に二年生として通います。そしてこちらはメイドのソフィア」
ソフィアさんが前に出て一礼するとまたアリアさんの後ろへと下がる。
やはりハーフだったか。しかも今日から羽ヶ鷺に転入? それに西条 アリア⋯⋯聞いたことのない名前だ。知り合いだと思ったが気のせいか?
「俺は天城 リウトです」
「リウトの父⋯⋯です」
「母です⋯⋯」
親父と母さんは突然現れたアリアさんとソフィアさんに驚き、呆気に取られている。
それにしてもこの二人は、他人の家に初めて来たのにまったく動じていないな。これもメイドがいるお嬢様の成せる業なのか。
「本当に昨日リウトがお嬢さんを?」
「はい。私が悪漢に襲われた時、白馬に乗った王子のように颯爽と現れ私を救ってくれました」
「王子?」
「リウトが?」
両親が疑問に思うのも無理もない。自分で言うのもなんだが、俺は王子などという器じゃないと思う。
「親父、母さん。何か俺に言うことは?」
「私はもちろんリウトを信じていたわよ。お父さんと違って」
「俺は言葉では色々言ったかもしれないがリウトを信じていたぞ」
「よく言うよ。弱みを握って言うことを聞かせているとか言っていたくせに」
母さんはともかく、親父は俺のことを犯罪者だと疑っていなかったことは間違いないだろう。
「お嬢様⋯⋯そろそろお時間です」
「わかったわ。リウト、一緒に学園に行きましょ。車で送っていくわ」
もう学園に行く時間か。もっと色々聞きたいことがあるけど、今は遅刻しないためにも学園へ向かうことが優先だ。
「ありがとう。じゃあせっかくだから送ってもらおうかな」
「ええ。それじゃあ先に車で待ってるわ。お父様、お母様、お騒がせ致しました」
そう言ってアリアさんは両手でスカートの端をつまみ、貴族のように優雅に挨拶してリビングを出ていった。
「メイド付きのお嬢様って本当にいるのね」
「ああ、それに二人ともすごい美人だったな」
「お父さん何か言った?」
「な、何も言ってません」
親父はアリアさんとソフィアさんを見て鼻の下を伸ばしていたが、母さんの一言で、恐怖の顔へと変貌していた。
普段親父の方が母さんよりカースト下位に見えるが、実は母さんの方が親父にベタぼれでよく嫉妬するからな。
そう考えるとコト姉とユズの嫉妬心が強い所は母親譲りなのか。
「それじゃあ俺は学園に行くから」
「いってらっしゃいリウト」
「ちょっと待て! この状態の母さんを放っておくのか? リウトがいなくなったら俺は⋯⋯」
「自業自得だろ? 頑張って母さんのご機嫌を取るんだな」
「リ、リウト!」
そして俺は玄関で靴を履き外に出ると、家の中から親父の断末魔が聞こえるのであった。
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