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24話

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 朝からパンツの処理で忙しかった……。

 これはなんとかしなくちゃダメだな……。

 こういうのは定期的に発散するのが良いらしいけど──1人になる機会がないんだよね……。

 あっ!? 昨日なら1人だったんだし発散しとけば良かったぁぁぁぁっ!

 ……次からそうしよう。


 さて、今日から魔物狩りだ。

 全員が装備を整えて庭で集合している。

 と言っても、装備を整えてるのは僕とフィア、レラだけなんだけどね。

 僕は盾と剣、フィアはメイス、レラは二刀流のようで腰に剣を2本携えている。僕とレラは母さんが支給してくれた。フィアはシャーリーさんのお古らしい。

 ここで問題が発生した……母さんから盾と剣を渡された時──

 盾は問題なく持てたんだけど、剣を持とうと握ったら、違和感が襲う。

 まるで僕に盾以外を装備して欲しくないように形見の腕輪が拒絶している感じだった。

 まぁ、使えない事はないので棚上げする事にした。

 ちなみに『聖天』の面々や、母さん、シャーリーさんは普段着だ。それは何故か?

『アイテムボックス』スキルがあるからだ。

 僕も欲しいから習得方法を近いうちに聞こうと思う。

 というか、このメンバーだと過剰戦力だろう。この辺りの魔物は弱いらしいし。

 準備が出来たら、僕達は街の外へ向かう──

 途中、兵士の人達が見回りをしていた。どうやら例の切り裂き事件の解決の為に動いているようだ。

 母さん曰く、既にけっこうな人が被害に合っているようだ。早く解決してくれる事を祈る。


 僕達は街の外に出て、少し開けた場所で一旦立ち止まると、母さんが話し出す。

「さぁて……今日は実際に魔物と戦うわよ! 油断はしない、殺す気でいく、勝てないなら逃げる──この3つを覚えていたら大丈夫よ」

 アドバイスがストレート過ぎてビックリした。

「母さん、簡単に言うけど……勝てないとかわかるの?」

「経験と勘よ!」

「僕達にそんなものないよ……戦ってみて勝てないってわかったらどうやって逃げるのさ?」

「知恵を絞るのよ! 諦めたら全てが終わるわ!」

 言ってる事は十分わかる……だけど、その手段を教えてほしい。

 まぁ、僕には『感覚操作』とスキルの【直感】先生達や出世した『危機察知』先生がついているから戦う前になんとか出来る可能性はあるけどさ……。

「はぁ……それでどうするの?」

「しばらく歩いたらその内、雑魚が現れるわよ。今回は私達もいるし安心しなさい。基本的に手は出さないわ。死にかけたら助けるけどね。──ロイは魔力が使えるって聞いたけど? 本当?」

「昨日使えたよ」

 根こそぎ魔力を取られて、冤罪でえらい事になったけどね。

「ふふ、じゃあ前に言って事を教えてあげるわ。これはお父さんが使ってたよ。魔力を込めたら起動するわ。もし、手持ちの盾が壊れたら使いなさい。きっとお父さんが守ってくれるわ」

「え? これ盾なの? 使ってみていい?!」

 一応、使い方ぐらいはわかっていないといざ使えないしね。

 母さんが頷いてくれたので『魔力操作』スキルで腕輪に魔力を流す──

 魔力がごっそり減ったけどラウンドシールドぐらいの半透明の盾が出来上がった。

 凄く便利だな……最悪の時はこれで防御するのもありかも。

 魔力も【魔感度】の『魔素還元』があれば問題ないだろう。

「母さんこれ凄いね!」

「そうでしょ? 魔力量次第で大きさや強度も変わるから練習は必要かもしれないけど──使いこなせたらお父さんみたいに盾を離れた場所に出現させたり出来るわよ? 国宝級の魔道具だしね」

 それは夢が広がるなっ!

 って事は──

「母さんの腕輪も何かあるの?」

「もちろんよ。こっちは剣よ。私は上手く使いこなせないから使ってないけどね」

 世の中は凄い魔道具もあるもんだな。

「へぇ~」

「じゃあ、ぼちぼち始めましょうか」

「「「はーい」」」

「私達は何もアドバイスはしないし、勝手に動いたらいいわよ? 気が散るでしょうし、私とシャーリーは離れた所で見物して、他は強い魔物を間引いてもらうわね? 頑張りなさい」

 そう言って、母さん達は僕達を見送る。



 ◇◇◇



 さて、母さん達とそれなりに離れたし──『気配察知』を使うか……。

 何気にレベルが8なんだよね。これも避ける為に気配を感じまくってたお陰だな……。

 フィアは魔物と会った事があるって言っていたし、討伐もした事もあると言ってた。

 僕とレラは初めてだから心強い。

 それより真剣を使うのは初めてだな……剣を手に取ってみると想像以上に重たい……木剣で練習してなかったら振れなかったな。やってて良かった……。

「近くに小さい気配があるね……」

「ロイ君は察知系スキルがあるんですか?」

「あるよ。じゃないと攻撃防げないし……」

「へ~凄いわね! 私は全然わからないわ! ロイがわからるなら大丈夫ね!」

 レラは胸を張って堂々と言う。

「私も察知系スキルは『魔力察知』ぐらいなので助かります」

「あ、そうなんだね。足手まといになりたくないし、それぐらいは僕がやってみせるよ」

「「了解! さすがリーダー!」」

「へ? 僕がリーダーなの?」

「そうよ! 私はただ斬り刻むのみ!」

「私も指示出したりするの苦手なので……」

「そっか、ならとりあえず僕がリーダーするね? 何か意見があったらどんどん言ってね?」

「「はーい!」」

 話の流れで僕がリーダーになった。

 まぁ、男は僕だけだしね。なんとかなるでしょ。

「──近くに魔物が3匹かな? とりあえず僕達はパーティだ! 連携を取って倒そうっ! さぁ行くよ!」

 2人は頷き、気配のある場所まで僕達は歩いて行く。

 レラとフィアもいつもと違い、緊張感がある。僕も初めての魔物退治で緊張している反面──

 ラノベのように俺つえー出来ると思うとわくわくする。持ってて良かった『剣術』スキル!


 しばらく歩くと──

「ゴブリン?」

 レラがそう呟く。

 僕の視界にも姿が映る。

 あれは──魔物でも最弱と言われるゴブリンだ。子供の大きさで肌は緑色、そして醜い顔をしている。

 さて、どうするかな……。

 一応、後ろにいる母さんを見ると、顎でくいっとされた。

 つまり、自分達で対処しろという事だろう。

 もし僕達が無理だと判断したらやらせないはずだ。

 まぁ、これぐらないなら大丈夫だろうと僕も思う。あの扱きを受けた僕達が最弱のゴブリン如きに負けるはずかないからね!

 問題は──どうするかだ。

 3人で連携をした事が全く無いが、好き勝手に行動するべきではない。

 これは訓練ではあるが実戦だ。油断は死に繋がる。

 そのつもりで戦わなければならない。

「レラと僕は前衛、フィアは後衛でサポートと攻撃で行こう。僕達はパーティだ。冒険者になったら3人で冒険するんだ! 連携を取りながら戦おう!」

 2人は頷いてくれる。

 これが僕達の──

 パーティとしての初討伐だっ!

 気合いは十分だっ!

「「「ごっぶっ!」」」

 ゴブリンはこちらに気付き、走って向かってくる──

「よしっ! 行くぞっ!」

「「了解!」」

 僕とレラはゴブリンに向かって走り出す──

 というかレラが僕より速いから置いて行かれている……。

 そして──

 斬──

 3匹のゴブリンの首はいとも簡単にレラによって切断される。

「…………」

 僕は呆然とする。

 終わったのか?

 パーティとして頑張るとあれだけ意気込んだのに!?

「ゴブリンって弱いのね……」

 レラの呟きが木霊する……。

 うん、見た感じ──レラからすると雑魚だね……僕は戦ってないからわからないけど。

「お疲れ様です。やはりレラは強いですね……最初は殺すと吐いたりするものらしいんですが大丈夫そうですね。パーティの一員として誇らしいです」

「そ、そうだね! さすがはレラだ! 将来はドラゴンにだって勝てそうだね!」

 そう、これはパーティとしての初陣が勝利で終わったのだ!

 例え僕が全く活躍してなかったとしても問題ない。これはパーティとしての勝利だ!

 最終的に生き残れば問題ないんだ。

 僕達は勝ったんだ!

 自分にそう言い聞かせていると母さんがいつの間にか近付いて声をかけてきた。

「ロイ……お仕置きね?」

 母さんの目は笑っていなかった……。

 僕は血の気が引いていく。
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