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賢者、仲間の由来を知る。

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冒険者ギルド登録前の戦果など、はっきり言ってゴミとして捨てているも同然だ。
だが幸運なことに、保存魔法のついた亜空間鞄マジックバッグを所持していた老魔法使いの護衛をすることになったのである。
もちろん正式な依頼というわけではなかったからある意味互いの性善説を信じての契約だったが、それでもデューンたちの目的と同じ町まで行くというその老人を見捨てるという選択は、まだ冒険者となる前であってもケヴィンの中には存在しなかった。
「……そのじいさんっていうのが、また豪胆な人でな」
「そうそう。『魔法使いは魔物のいる場所がわかる』とか言ってホイホイ行っちゃうんだもんな~。そしてまた、言ったとおりに現れる、現れる」
「まったく泉を満たす清水如くとはこのことか…と思うぐらいにな。しかもそのじいさん、あっという間に俺やケヴィンの討伐部位を回収しちまって……」
「で、それが僕たちの目指してた町の冒険者ギルドのマスターで」
「………それ、は」
『運がいい』とかそういう次元ではない。
いったいどうしてケヴィンは登録前にそんな大物に出会えたのかと、不思議には思わなかったのだろうか。
「イホウスという町のマスターだったんだが、別名『予言師タミラン』と呼ばれている大魔法使いだったんだ」
「予言師?それはまたすごい」
賢者も魔法使いも戦闘系職業に比べると先天的に魔力を持つなど、『なりたくてなれる』というものではない。
私のように突き詰めて研究を重ねるような者に『大賢者』という称号を与えるのとはまた違って、特殊な能力が発現した者が『大魔法使い』と呼ばれる。
それも数十年に1人現れるかどうかというものだが、本当にそんな者が存在したのだ。
「予言……その力で、ケヴィンが現れることを知っていた、と」
「『勇者が来る』と、はっきり言っていたな……俺のことだと勘違いしたわけじゃない。そんなふうに思えるほど、自分の腕を勘違いしていない」
「僕の方を見て、名前を言う前に『おお!これが勇者か!まだひよっこじゃの~』って、孫みたいに頭を撫でてきた気楽なおじいちゃんだったもんね。まだ生きてるのかなぁ~……」
「代替わりなどがあれば、どこのギルドに行っても訃報が…いや、その報せが掲示されるはずだ。まだお元気だろう」
ぽやんとケヴィンは懐かしそうに話すが、デューンは呆れたように頭を振った。
「とにかく何故かそのタミラン師がケヴィンと俺を魔物がいる場所に案内して……あの時は『よく魔物が出てくる』としか思わなかったのだが、おそらく師が俺たちを誘導していたんだろうな」
「でもさでもさ、おかげで僕の冒険者ギルド登録、すんなりできたんだよね。その後もあのおじいちゃんが教えてくれるところに行って討伐できたお陰で、すぐランクアップしたし……」
「止めがワイバーンの群れを仕留めての『勇者認定』だもんね。自分の幼馴染みが『勇者』ってビックリだよ!」
「何だよ、ラダ。最初信じてなかったくせに!」
「あったり前でしょ?ワイルドベアーのボスをやっつけたっていうのも、最初信じられなかったぐらいなんだから!」


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