悪役令嬢、闇ギルドの稼ぎ頭になる

砂糖 真湖

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結局私は、あれから3日程してからベッドからたてるようになった。


この3日間は退屈で、寝るか、食べるか。

それかぼーっとするか。

時間だけは沢山あったから、私は意識がない時思い出した、前世の記憶を整理していた。


あのときは混乱していたけれど、今なら冷静に考えられる。


といっても、あんまり前世の自分自身のことは覚えてない。

私の、記憶、というよりは知識、みたいな。あまり前世の自分っていう自覚はない。でも、気づかないうちに今の性格に影響が出てるみたいで、自分で自分の考えに驚いたりした。



前世の私は、淡白で何事にも興味が持てない性格だったみたい。

なんで死んだのか、とか。名前とかははっきりとは思い出せないけども。


そんな、彼女が唯一興味をもったのが恋愛ゲーム。あるゲーム会社が、架空の異世界を舞台にしたシリーズの乙女ゲーム「サマリア大陸恋白書」っていうシリーズの乙女ゲームを発売したんだけど。

これは、スマホでもできるのと、スチルの絵の綺麗さ、声優の豪華さ、そして、色々なキャラの視点が楽しめるということでブームを巻き起こした。みんなサマリア、とかサマ恋とか略して、話題にしない日はなかったくらい。

それに前世の私もドハマりした。


生きている間にでた3つのシリーズはすべてクリアしたように思う。

そして。

私は「サマリア大陸恋愛白書」…サマ恋の1作目に出てくる悪役令嬢だ。しかも、ヒロインはあのこ…リリー・シャヒアだ。

リリーと私は、従姉妹だった。甘え上手な彼女は私の両親にとても可愛がられた。それはもう、実の娘よりも可愛がられた。



だけど、不思議なことがある。

ゲーム内では、私は第一王子の婚約者だ。学園に入学して、第一王子はリリーと仲良くなる。それに嫉妬した私が邪魔をして断罪、第一王子はリリーと結ばれる…とまあ、ストーリーはありがちな乙女ゲーム。
だけど実際は。

「ストーリーからはずれている…?」


窓の外を眺めながら呟く。



だが、私はリリーに崖から突き飛ばされ、この島で過ごしている。そもそも、従姉妹、というだけで本来あまり接点はない。

乙女ゲーム内には、そんな過去はなかった。いや、もしかしたらあったのかもしれないけれど、家には戻ったのだろう。


だけど、今の私はこの島に住むことを決め、両親を捨て、従姉妹を嫌いになった。


これは、明らかな…イレギュラーなのではないか。




だとしたら、前世の記憶持ちである私のせいで、ゲームの内容が変わったのか。それとも、


「リリーも、転生者…?」


なんだか、しっくりくるな。あのこ、腹黒そうだし。そもそも、あのこが崖から突き飛ばす、というイレギュラーになりうる行動をしたのがきっかけで私の前世の記憶が蘇ったのだから。





赤い光が部屋に差し込んだ。

窓の外をみると、もう夕方だ。


海に太陽が沈んでいくのを眺めながら、ただ、綺麗だなと思った。


私は、ゲームの悪役令嬢。ゲームのキャラだけど、ちゃんと生きている人間だ。


これからは、ストーリーとか、そういうこと関係なしで、自分が好きなことをしてキラキラした人生にしたいな。


夕陽で真っ赤に染まった部屋の中で、私は一人、決意したのだった。


__________________
従兄弟→従姉妹に修正しました。
ご指摘ありがとうございます!



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