7 / 31
7
しおりを挟む
この島に来て四日目。正しくは目が覚めてから四日目だけど、まぁ気にしない。
気分的には四日目なのだ。
この四日間で少しずつ体力が戻り、部屋の中を歩き回れる位には回復している。
食事もお粥から普通のものに変わった私は、この島のリーダーと会うことになった。
「ほら、ここじゃよ」
お爺様に案内されたのは、私が過ごしている建物内の一階だ。すごく、近くてちょっと驚く。
島のリーダーと同居してるとは思わなかった。
コンコン。
木製の薄いドアをお爺様がノックして、返事を待たずにドアを開ける。
ぎぎぃー。
立て付けが悪そうな音とともに広い部屋が現れた。
真ん中に大きめのテーブル。テーブルを挟むように二人用のソファが二個、置いてある。
本棚と机が窓際に置いてあり、部屋の左すみにはベッドがあった。
一歩。中に入るとふわり、と石鹸の匂いがする。居心地の良さそうな部屋だ。必要最低限の物しか置いてない感じ。
キョロキョロしていると、後ろから声がした。
「誰がはいっていいつった、爺さんよ」
ドスの効いた声に少しビクッとなる。
振り向こうとしたら、その声の主は私の横をすり抜けてさっさと部屋へ入っていった。
赤茶の短く刈り込んだ髪に、褐色の肌。
筋肉はムキムキ。顔もとても綺麗な顔をしている男性がいた。よく見ると目尻にシワがある。そんなに若くないみたい。
そして、なかなかに目付きが悪い。ギロリ、と睨まれて目が合う。
…あ、この人…みたことある。
「バルトさん…ですか?」
「お、なんで知ってんだ?爺さんが言ったか?」
「いえ、あの、最初に目が覚めた時に…」
水を持ってきてくれた人だ。見たことがある人で少し、ほっとする。
「あぁ、あのときか」
うんうん、と頷いてからにやり、と笑う。目尻のシワが強くなって怖い印象がいくらか薄れる。
「病み上がりなのに立たせたままですまんな」
入れ、そう言ってソファへと案内された。
お爺様はいつの間にかいなくなったとおもったら、お茶を持ってきて私とバルトさんの前においた。
「さて、お嬢さん、目の前の目付きが悪いやつがこの島のリーダーじゃ。バルトという」
「よろしくな、バルトだ。」
お茶を勢いよく煽りながら顔をしかめるバルトさん。熱かったらしい。
「あの、えっと、私の名前は、マリ…」
「あぁ、ちょっと待て」
名乗ろうとしたらバルトさんに止められてしまう。
「爺さんから聞いた。この島に住みたいそうだな」
「はい」
頷くと、バルトさんは真剣な表情になった。
「ここに住むのは全くかまわん。だが、それは家族や、身分や、自分の名を…捨てるということだ。どうだ、できるか?」
「…私、従姉妹に崖から突き落とされたんです。両親は私よりもその従姉妹を可愛がってて、私にだけ厳しかった。それでも、愛してくれてるって、そう、思いたかったけれど」
喉の奥がつんってなる。涙が出てきそうで、目の前のお茶を一口、涙と一緒に流し込んだ。
「たぶん、今頃、従姉妹を養女にでもして可愛がっているんじゃないでしょうか。だから、もういいんです。自分の好きなことをして、生きていくって決めたんです」
バルトさんとお爺様は、真剣な顔で私の話を聞いてくれた。
「…そうか、よく頑張ったな」
「…っう、はいっ」
「泣きたい時は泣けばいいんじゃ。この島では我慢しなくていいんじゃよ。」
思わず泣いてしまった私の背中をお爺様が撫でてくれる。また、涙が溢れてしまった。
_____________________
ふっふっふっ、次のページがずっと書きたかったんヾ(´∀`*)ノ嬉。
修正したよ、
気分的には四日目なのだ。
この四日間で少しずつ体力が戻り、部屋の中を歩き回れる位には回復している。
食事もお粥から普通のものに変わった私は、この島のリーダーと会うことになった。
「ほら、ここじゃよ」
お爺様に案内されたのは、私が過ごしている建物内の一階だ。すごく、近くてちょっと驚く。
島のリーダーと同居してるとは思わなかった。
コンコン。
木製の薄いドアをお爺様がノックして、返事を待たずにドアを開ける。
ぎぎぃー。
立て付けが悪そうな音とともに広い部屋が現れた。
真ん中に大きめのテーブル。テーブルを挟むように二人用のソファが二個、置いてある。
本棚と机が窓際に置いてあり、部屋の左すみにはベッドがあった。
一歩。中に入るとふわり、と石鹸の匂いがする。居心地の良さそうな部屋だ。必要最低限の物しか置いてない感じ。
キョロキョロしていると、後ろから声がした。
「誰がはいっていいつった、爺さんよ」
ドスの効いた声に少しビクッとなる。
振り向こうとしたら、その声の主は私の横をすり抜けてさっさと部屋へ入っていった。
赤茶の短く刈り込んだ髪に、褐色の肌。
筋肉はムキムキ。顔もとても綺麗な顔をしている男性がいた。よく見ると目尻にシワがある。そんなに若くないみたい。
そして、なかなかに目付きが悪い。ギロリ、と睨まれて目が合う。
…あ、この人…みたことある。
「バルトさん…ですか?」
「お、なんで知ってんだ?爺さんが言ったか?」
「いえ、あの、最初に目が覚めた時に…」
水を持ってきてくれた人だ。見たことがある人で少し、ほっとする。
「あぁ、あのときか」
うんうん、と頷いてからにやり、と笑う。目尻のシワが強くなって怖い印象がいくらか薄れる。
「病み上がりなのに立たせたままですまんな」
入れ、そう言ってソファへと案内された。
お爺様はいつの間にかいなくなったとおもったら、お茶を持ってきて私とバルトさんの前においた。
「さて、お嬢さん、目の前の目付きが悪いやつがこの島のリーダーじゃ。バルトという」
「よろしくな、バルトだ。」
お茶を勢いよく煽りながら顔をしかめるバルトさん。熱かったらしい。
「あの、えっと、私の名前は、マリ…」
「あぁ、ちょっと待て」
名乗ろうとしたらバルトさんに止められてしまう。
「爺さんから聞いた。この島に住みたいそうだな」
「はい」
頷くと、バルトさんは真剣な表情になった。
「ここに住むのは全くかまわん。だが、それは家族や、身分や、自分の名を…捨てるということだ。どうだ、できるか?」
「…私、従姉妹に崖から突き落とされたんです。両親は私よりもその従姉妹を可愛がってて、私にだけ厳しかった。それでも、愛してくれてるって、そう、思いたかったけれど」
喉の奥がつんってなる。涙が出てきそうで、目の前のお茶を一口、涙と一緒に流し込んだ。
「たぶん、今頃、従姉妹を養女にでもして可愛がっているんじゃないでしょうか。だから、もういいんです。自分の好きなことをして、生きていくって決めたんです」
バルトさんとお爺様は、真剣な顔で私の話を聞いてくれた。
「…そうか、よく頑張ったな」
「…っう、はいっ」
「泣きたい時は泣けばいいんじゃ。この島では我慢しなくていいんじゃよ。」
思わず泣いてしまった私の背中をお爺様が撫でてくれる。また、涙が溢れてしまった。
_____________________
ふっふっふっ、次のページがずっと書きたかったんヾ(´∀`*)ノ嬉。
修正したよ、
1
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
わんこ系婚約者の大誤算
甘寧
恋愛
女にだらしないワンコ系婚約者と、そんな婚約者を傍で優しく見守る主人公のディアナ。
そんなある日…
「婚約破棄して他の男と婚約!?」
そんな噂が飛び交い、優男の婚約者が豹変。冷たい眼差しで愛する人を見つめ、嫉妬し執着する。
その姿にディアナはゾクゾクしながら頬を染める。
小型犬から猛犬へ矯正完了!?
愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。
そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。
相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。
トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。
あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。
ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。
そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが…
追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。
今更ですが、閲覧の際はご注意ください。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる