悪役令嬢、闇ギルドの稼ぎ頭になる

12

この島は闇ギルドのアジトらしい。

この島は、近くにある海の渦のせいか一度入ったら出れないし、そもそも人は暮らせないというのが人々の間では常識となっている。


そこを逆手にとってこの島を開墾し、転移の魔方陣を敷いて自由に王都に移動できるようにしたのが闇ギルドのマスターのバルトさんだそうだ。


名前は、シャドウ…前世の記憶がある私からするとものすごくダサいけどそのことは置いておいて。

この闇ギルド…シャドウは別名正義の味方と言われているらしくて、悪人を殺したり、不正の証拠をばらまいたりしているそうだ。


貴族様からの依頼で一応黒字経営。平民からの依頼はほとんどもらってないって。


この島の人達は全員この闇ギルドで人を殺したり、証拠を見つけるために犯罪に手を出していたりするそうで。



そして、私が怒っている理由がここにある。

…サクがこの闇ギルドで一番の稼ぎ頭らしい。

あんなっ！虫も殺せないような顔をしてっ！！


もちろん文句を言いに行った。


「サクッ！！！」

「ん？なぁに、レイ」

サクは家で本を読んでいた。いつものように優しく笑って頭を撫でようとするサクの手を。


「やめてっ！触らないでっ！」

私は振り払った。


「…レイ落ち着いて、どうしたの？」

困ったように笑うサクの顔は私の中の怒りを増やすだけだった。


「なんで黙ってたのっ！闇ギルドのことっ！」


「…あぁ」

納得のいった、という顔をしてサクはまた私の頭を撫でようとした。


「レイには関係ないよ」


「…っつ、もういいっ」


そのままどたどたと、私は、海岸までやってきたのである。


サクの寂しそうな顔に気づかずに。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
人を殺すという表現がたくさんでてきました。。不快に思った方は読むのをやめるか我慢してください。ごめんなさい