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しおりを挟む「うううううううぅ、ぐやじいいいいい!!!」
砂浜で砂まみれになりながら、私はジタバタと暴れる。
結局、バルトさんには一撃も当てれなかった。
くやしいい!!!
暴れる私にバルトさんが苦笑している。
「まだまだだな。ほら、いい加減立て」
暴れる私をひょい、と音がしそうな位簡単に持ち上げるバルトさん。
そのまま私はバルトさんの肩に腰を下ろした。
おお…謎の安定感だ。まったく揺れない。
「落ち着いたか?」
「うん」
頷くとバルトさんがガハハ、と笑う。
「よし、じゃあ昼ごはん食べに行くか。レイ、お前三時間ぶっ通しで動いてたからな。水分はちゃんと取っておけ。」
革の水筒を渡されたので、蓋をとって一口飲むと水が身体中を巡るような感覚があった。
気づかない内に喉が渇いていたようだ。
水をごくごくと飲んでいる間にバルトさんは食堂に向かっていたらしい。
水筒の水を飲み干して顔を上げると目の前に食堂があった。
座っているバルトさんの肩がまったく揺れないので全然気づかなかったよ。
肩から降ろしてもらうと体のあちこちから砂がパラパラ落ちてくる。
それをバルトさんと一緒に手で叩いて落としてから食堂に入る。
入ってすぐの席でサクが笑いながら待っていた。
「レイ、お疲れ。ご飯取っておいたよ。ここ座りなよ」
「ありがと!」
ニコニコしているサクの隣に座る。
マスクをはずすと視界が明るくなった。
今日のご飯はカレーみたいな茶色いドロッとしたスープにパンだ。おいしそう…。
「いただきます!」
「サク、俺の分は取っておいてくれてないのか?」
「なんで僕がバルトの分まで取らなきゃいけないわけ?やだよ、めんどくさい」
「…お前、長期の任務でレイに会えなくさせてやるぞ」
「は?なんか言った?聞こえなかったんだけど」
横でめちゃくちゃ喧嘩しているけど気にしない。この二人は基本仲が悪いのだ。
しばらくしたらバルトさんはぶつぶつ文句を言いながら食事を貰ってきて私とサクの前に座った。
「レイ、スープついてるよ」
「ん、どこ?取ってー」
サクが指で私の唇の端のをこする。
「ありがとう」
「いえいえ」
サクが私の唇をこすった指をペロリ、と舐めたのは見なかったことにしよう。
2回目だし。慣れました。
一瞬遠い目になりかけたけど、目の前のバルトさんが喋り始めた。
「レイ、そういえば右目だけで訓練してみてどうだった?」
「あ、えーとですね。すごく動きやすかったです。いつもは二重にぶれて見えてたんですけど、今日は全然ぶれなかったです。」
「途中、僕もレイとバルトの訓練の様子を見てたけどいつもより動きが速かったと思うよ。相手の動作がちゃんと見きれてる感じがした」
サクが頭を撫でてくれる。
「じゃあやっぱり、3日に1回は右目だけの訓練の方がいいな。普段の訓練は両目でやっておけよ。」
「はーい」
私の返事を聞いたバルトさんが頷く。
「後、レイは体が柔らかいみたいだな。避け方が予測できなくて少し焦った時があった」
「え?ほんと?」
「ああ。訓練すればアクロバティックな動きができるようになるだろう。寝る前に柔軟をすること、それから訓練のメニューも少し変えるよういっておくからな」
「はーい!!」
ずっと同じ訓練は飽きてしまうから、訓練のメニューが変わるのはとても嬉しい。
「次の俺との訓練で一撃でも当てれたら依頼を受けてもいいぞ。そうだな…3ヶ月後にするか。ちゃんと訓練しろよ」
「分かった!」
よし、頑張るぞ!!!
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