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27 閑話デート3
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レイside
人の波に流されていく。
おぉ、自分で歩かなくても勝手に移動していく‥‥ちょっと面白いかも。
しばらくすると人が減り、自分で歩けるようになった。
‥‥ここどこだ??
流され過ぎて良く分からない。
とりあえず動けるうちに道の端に寄っておいた。
道の端で野菜を売っているおばあさんに近づいて話しかけてみる。
「すみません、時計台ってここからどれくらいかかりますか?」
「ん?そんなにかからないよ、10分くらいだねえ」
「そっか、ありがとうございます」
意外と近いな。
なるべく流されないように、端の方を歩きながら行こう。
そう思いつつ歩き出した。
たぶんサクもこの道を通るから、ゆっくり歩いていたら追い付いてくれるかも。
心なしかゆっくり進んでいく。
屋台が近いので、ゆっくり歩けば、商品もしっかり見れるのが楽しい。
‥‥ん?
客引きの声が若干、静かになった気がした。
無意識に右を向くと、一人のおばあさんが地面に布を敷いて何かを売っていた。
屋根のついた、小屋のような移動式の屋台が多い中、地面で直接物を売っているのは、気づかれにくいようだった。
なにを売ってるんだろ?
そばに近づいてしゃがむとお婆さんが気づいて笑いかけてくれた。
「こんにちは、かわいいお客さん」
「こんにちは!何を売ってるの?」
「アクセサリーだよ、見ていくかい?」
「うん」
大きくうなずいて商品を眺める。
ネックレスやブレスレット、ピアスが等間隔に置いてあった。シンプルなデザインで、どのアクセサリーにも綺麗に磨いた石が嵌めてある。男女選ばず使えそうだ。
「‥‥かわいい」
思わず呟くと、おばあさんがくしゃり、と笑う。
「ありがとねぇ、全部手作りなんだ。気に入ったのがあったら言ってごらん、安くしてあげるよ」
え、ラッキー。
一つ一つ丁寧に見ていく。
石の色も種類が沢山あって見ていて楽しい。
「‥‥あ、これ」
隅の方に、乳白色の石が嵌められたピアスがあった。良く見ると、ミルクを溶かしこんだような模様になっている。
手に取って太陽に透かす。
それは光の加減でうっすらと模様が変わるように見えた。
サクに、似合いそうだな。
「それかい?お嬢ちゃんに似合いそうだねぇ」
「え?あ、いや似合いそうな‥‥」
友達?ではないなぁ。
お兄ちゃん‥‥もしっくりこない。
‥‥サクは、私の、なんなんだろう?
不自然に言葉を切った私におばあさんが不思議そうな顔でこちらを見る。
「えと、プレゼントしたくて」
「ほぅ、彼氏かい?」
「かれ、し‥‥?ちがいます!」
そうおばあさんに言われて顔が熱くなった。
「まあ、いいよ。そのピアス、貸してごらん。包んであげるよ。お嬢ちゃんお金はどれくらい持ってるんだい?銅貨5枚か、じゃあ2枚でいいよ」
混乱する頭で手のひらにのせたお小遣いをみせる私に、おばあさんはにっこり笑う。
ピアスについていた値札には銀貨一枚と書いてあったから、かなり安くしてくれるらしい。
「そんな、安くしてもらって」
「いいから、彼氏さんに喜んで貰えるといいねえ」
にこにこしながら可愛くラッピングされた包みを差し出され、反射的に受け取ってしまう。
「えと、あの、ありがとうございます!」
銅貨を支払って、勢いよく頭を下げた。
「いいよ、いいよ。今度は彼氏さんと一緒にきなさいね」
ゆっくりと手を振るおばあさんに小さく手を振り返して私は時計台に向かって歩きだした。
サク、喜んでくれるといいなあ。バッグにしまいながらそう思う。
‥‥結局、サクと私はどういう関係なんだろう?
_________________________________________________________
お久しぶりです。
大学が決まりました。
浪人生脱出しましたー、更新頻度あげたい
大学面接で東京バナナ美味しいか教授に聞いたら「あれ埼玉で作られてるからね」って言われました
人の波に流されていく。
おぉ、自分で歩かなくても勝手に移動していく‥‥ちょっと面白いかも。
しばらくすると人が減り、自分で歩けるようになった。
‥‥ここどこだ??
流され過ぎて良く分からない。
とりあえず動けるうちに道の端に寄っておいた。
道の端で野菜を売っているおばあさんに近づいて話しかけてみる。
「すみません、時計台ってここからどれくらいかかりますか?」
「ん?そんなにかからないよ、10分くらいだねえ」
「そっか、ありがとうございます」
意外と近いな。
なるべく流されないように、端の方を歩きながら行こう。
そう思いつつ歩き出した。
たぶんサクもこの道を通るから、ゆっくり歩いていたら追い付いてくれるかも。
心なしかゆっくり進んでいく。
屋台が近いので、ゆっくり歩けば、商品もしっかり見れるのが楽しい。
‥‥ん?
客引きの声が若干、静かになった気がした。
無意識に右を向くと、一人のおばあさんが地面に布を敷いて何かを売っていた。
屋根のついた、小屋のような移動式の屋台が多い中、地面で直接物を売っているのは、気づかれにくいようだった。
なにを売ってるんだろ?
そばに近づいてしゃがむとお婆さんが気づいて笑いかけてくれた。
「こんにちは、かわいいお客さん」
「こんにちは!何を売ってるの?」
「アクセサリーだよ、見ていくかい?」
「うん」
大きくうなずいて商品を眺める。
ネックレスやブレスレット、ピアスが等間隔に置いてあった。シンプルなデザインで、どのアクセサリーにも綺麗に磨いた石が嵌めてある。男女選ばず使えそうだ。
「‥‥かわいい」
思わず呟くと、おばあさんがくしゃり、と笑う。
「ありがとねぇ、全部手作りなんだ。気に入ったのがあったら言ってごらん、安くしてあげるよ」
え、ラッキー。
一つ一つ丁寧に見ていく。
石の色も種類が沢山あって見ていて楽しい。
「‥‥あ、これ」
隅の方に、乳白色の石が嵌められたピアスがあった。良く見ると、ミルクを溶かしこんだような模様になっている。
手に取って太陽に透かす。
それは光の加減でうっすらと模様が変わるように見えた。
サクに、似合いそうだな。
「それかい?お嬢ちゃんに似合いそうだねぇ」
「え?あ、いや似合いそうな‥‥」
友達?ではないなぁ。
お兄ちゃん‥‥もしっくりこない。
‥‥サクは、私の、なんなんだろう?
不自然に言葉を切った私におばあさんが不思議そうな顔でこちらを見る。
「えと、プレゼントしたくて」
「ほぅ、彼氏かい?」
「かれ、し‥‥?ちがいます!」
そうおばあさんに言われて顔が熱くなった。
「まあ、いいよ。そのピアス、貸してごらん。包んであげるよ。お嬢ちゃんお金はどれくらい持ってるんだい?銅貨5枚か、じゃあ2枚でいいよ」
混乱する頭で手のひらにのせたお小遣いをみせる私に、おばあさんはにっこり笑う。
ピアスについていた値札には銀貨一枚と書いてあったから、かなり安くしてくれるらしい。
「そんな、安くしてもらって」
「いいから、彼氏さんに喜んで貰えるといいねえ」
にこにこしながら可愛くラッピングされた包みを差し出され、反射的に受け取ってしまう。
「えと、あの、ありがとうございます!」
銅貨を支払って、勢いよく頭を下げた。
「いいよ、いいよ。今度は彼氏さんと一緒にきなさいね」
ゆっくりと手を振るおばあさんに小さく手を振り返して私は時計台に向かって歩きだした。
サク、喜んでくれるといいなあ。バッグにしまいながらそう思う。
‥‥結局、サクと私はどういう関係なんだろう?
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お久しぶりです。
大学が決まりました。
浪人生脱出しましたー、更新頻度あげたい
大学面接で東京バナナ美味しいか教授に聞いたら「あれ埼玉で作られてるからね」って言われました
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