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異世界からの来訪者を妹に迎えた私は、婚約破棄となった上に追放される事になりました。
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「彼女はどうやら違う世界から来たらしい。このまま放り出すのは可哀そうだ、これからはお前の妹として可愛がってやれ。」
「…分かりました。」
この地の領主である彼が決めた事…私はそれに従うしかない。
ある日突然、異世界から来た女が私の妹になった。
「優しい人ね…。あの人、あなた…お姉様の婚約者だって聞いたわ。」
「そうよ、昔から決まってる相手なの。」
「良いわねぇ。」
そう言って、彼をうっとりと見つめる彼女だったが…私は嫌な予感で胸が一杯だった─。
それから少しして─。
私は、婚約者である彼に別れを告げられた。
「…ど、どうしてですか!?」
「俺はお前の妹と新たに婚約関係を結ぼうと思う、あの娘は伝説の聖女だ。」
「あの子が…?」
伝説の聖女…それは、この地に伝わる古い言い伝えだ。
「異世界より娘が現れその者によってこの地は変わる。天の神は祝福し皆に加護を授けるだろう…そう本にあった。きっと彼女がこの地を素晴らしいものに変えてくれる。神に直に加護を与えて貰えるなど、すごい事だぞ!」
そう話す彼の目は、今までに見た事がないような欲に満ちた恐ろしい目をしていた。
「…あの子はこの世界に来てから遊んでばかり。この世界で生きて行くと覚悟したなら、もっとこの世界の事を学ぶべきです。そんな者が聖女になれるとは思えませんが。」
「そんな事を思っていたのか…やはり彼女の言う通りだったな。」
「え…?」
「彼女に相談されたんだ。血も繋がってないし生まれた世界も違う、それを理由にお前に虐められるとな。」
「そ、そんな事してません!」
「言い訳をするとは最低な女だな…。ここには伝説の聖女が居る、もうお前は必要ない。ここから出て行け!」
話も聞こうとしないのね…。
私は知っているのよ、あの子は伝説の聖女じゃないって。
でもそこまで言うなら、仕方ありませんね─。
(妹視点)
やったわ、これで彼は私のものよ!
この世界に来て、私は一目で彼を好きになった。
でもそんな彼には、あの女…お姉様の存在があった。
聖女だか何だか知らないけど気に喰わない…邪魔だわ!
そんな時、彼が私に君は伝説の聖女なのかと尋ねてきた。
私には、ハッキリ言って何の事か分からなかったけど…期待に満ちた目で私を見る彼に、コレは使えると思った。
異世界より現れた娘って条件には当てはまってるし、きっと私がそうなんじゃないの?
そう考えた私が頷けば、彼は私の事をすごく大事にするようになった。
だからもう一押しとばかりに、あの女が私を虐めると嘘をついてやったが…するとこれが決め手となって、あの女は婚約破棄だけでなく追放まで受ける事になったのだった。
「この地はどうなる、神はいつになったら来てくれるんだ?俺は早く加護を授けて貰いたいんだ。」
「えっと…私、聖女として祈りを捧げたばかりで…もう少し待って下さいね。」
「それもそうだな、お前には期待しているぞ。」
彼が私に期待してくれるのは嬉しけど、神様ってどうやったら呼び出せるんだろう?
あの女は神の声を聞いてたらしいけど、私には何も聞こえない。
今は何とか誤魔化せてるけど、それも時間の問題かも…。
すると何日か経った頃、彼が血相を変え私の元にやって来た。
「た、大変だ!王の居る城に神が降り立って、王やそこに居た者たちに加護を与えたそうだ!お前…一体何をやってたんだ!?」
「はぁ!?」
私と彼は、急いでお城に向かった。
そこには国の民が大勢集まって、まるでお祭り騒ぎだった。
私たちはそれを押しのけ、王の元へと急いだ。
「領主と伝説の聖女がはるばる来たんだ、ここを通せ!神はどこだ?俺にも加護を授けろ!」
「…もう遅いです、神はお帰りになりましたよ?」
「お、お姉様…あなた何でお城に、王の隣に居るのよ!?」
「それは、私が本物の伝説の巫女だからよ。」
「嘘!?」
「何だって!?」
「本当の伝説はこうです─。」
異世界より娘が現れ、その者によってこの地は悪い方へと変わる。
それは伝説の聖女が追い出されてしまうからだ。
そして彼女が新たに向かう先で天の神は祝福し、皆に加護を授けるだろう─。
「あなたが読んだ本に書かれた伝説は、所々抜け落ちていたのよ。でも神の声が聞こえる私には全て分かっていた、その本当の意味がね。それを教えようとしたのに、あなたは欲に目が眩で何も聞いてくれないんだもの。」
「そ、そんな…!」
「じゃ、じゃあ私は何!?伝説の聖女じゃないなら、私は…。」
「あなたはこの地にもこの世界にも不要な者…なのに、何かの間違いでやって来てしまった。神はあなたの存在を許していない、今すぐこの世界から消してしまいたい程に─。」
「この娘は悪の化身と言ってもいいな…。おい、この娘と男を捕えよ!せっかく皆が加護を授かりこの城は神聖な場と化したのに、それを穢そうとする者たちだ!」
「王よ、待って下さい!」
「せ、せっかく彼と幸せになろうと思ったのに、こんなの嫌~!」
(ヒロイン視点)
こうして捕らえられた二人は、伝説の聖女である私にした仕打ちとお城での振る舞いが原因で処刑が決まった。
全く皮肉なものよね…普通の聖女だと追い出した女が、伝説の聖女だったなんて。
「君を城に迎える事が出来て良かった。加護を授かる事が出来た者は皆幸せになり、この国もますます発展するだろう。俺も幸せだ…どうかこのまま俺の妃になって欲しい。」
「勿論、喜んで─!」
神の声に従い、このお城に来て本当に良かったわ。
城に行けば、お前と王、そして皆は幸せになる。
そして、あの女と男には厳しい罰が与えられるだろう─。
神よ…まさにあなたのお導き通りになりましたね─。
「…分かりました。」
この地の領主である彼が決めた事…私はそれに従うしかない。
ある日突然、異世界から来た女が私の妹になった。
「優しい人ね…。あの人、あなた…お姉様の婚約者だって聞いたわ。」
「そうよ、昔から決まってる相手なの。」
「良いわねぇ。」
そう言って、彼をうっとりと見つめる彼女だったが…私は嫌な予感で胸が一杯だった─。
それから少しして─。
私は、婚約者である彼に別れを告げられた。
「…ど、どうしてですか!?」
「俺はお前の妹と新たに婚約関係を結ぼうと思う、あの娘は伝説の聖女だ。」
「あの子が…?」
伝説の聖女…それは、この地に伝わる古い言い伝えだ。
「異世界より娘が現れその者によってこの地は変わる。天の神は祝福し皆に加護を授けるだろう…そう本にあった。きっと彼女がこの地を素晴らしいものに変えてくれる。神に直に加護を与えて貰えるなど、すごい事だぞ!」
そう話す彼の目は、今までに見た事がないような欲に満ちた恐ろしい目をしていた。
「…あの子はこの世界に来てから遊んでばかり。この世界で生きて行くと覚悟したなら、もっとこの世界の事を学ぶべきです。そんな者が聖女になれるとは思えませんが。」
「そんな事を思っていたのか…やはり彼女の言う通りだったな。」
「え…?」
「彼女に相談されたんだ。血も繋がってないし生まれた世界も違う、それを理由にお前に虐められるとな。」
「そ、そんな事してません!」
「言い訳をするとは最低な女だな…。ここには伝説の聖女が居る、もうお前は必要ない。ここから出て行け!」
話も聞こうとしないのね…。
私は知っているのよ、あの子は伝説の聖女じゃないって。
でもそこまで言うなら、仕方ありませんね─。
(妹視点)
やったわ、これで彼は私のものよ!
この世界に来て、私は一目で彼を好きになった。
でもそんな彼には、あの女…お姉様の存在があった。
聖女だか何だか知らないけど気に喰わない…邪魔だわ!
そんな時、彼が私に君は伝説の聖女なのかと尋ねてきた。
私には、ハッキリ言って何の事か分からなかったけど…期待に満ちた目で私を見る彼に、コレは使えると思った。
異世界より現れた娘って条件には当てはまってるし、きっと私がそうなんじゃないの?
そう考えた私が頷けば、彼は私の事をすごく大事にするようになった。
だからもう一押しとばかりに、あの女が私を虐めると嘘をついてやったが…するとこれが決め手となって、あの女は婚約破棄だけでなく追放まで受ける事になったのだった。
「この地はどうなる、神はいつになったら来てくれるんだ?俺は早く加護を授けて貰いたいんだ。」
「えっと…私、聖女として祈りを捧げたばかりで…もう少し待って下さいね。」
「それもそうだな、お前には期待しているぞ。」
彼が私に期待してくれるのは嬉しけど、神様ってどうやったら呼び出せるんだろう?
あの女は神の声を聞いてたらしいけど、私には何も聞こえない。
今は何とか誤魔化せてるけど、それも時間の問題かも…。
すると何日か経った頃、彼が血相を変え私の元にやって来た。
「た、大変だ!王の居る城に神が降り立って、王やそこに居た者たちに加護を与えたそうだ!お前…一体何をやってたんだ!?」
「はぁ!?」
私と彼は、急いでお城に向かった。
そこには国の民が大勢集まって、まるでお祭り騒ぎだった。
私たちはそれを押しのけ、王の元へと急いだ。
「領主と伝説の聖女がはるばる来たんだ、ここを通せ!神はどこだ?俺にも加護を授けろ!」
「…もう遅いです、神はお帰りになりましたよ?」
「お、お姉様…あなた何でお城に、王の隣に居るのよ!?」
「それは、私が本物の伝説の巫女だからよ。」
「嘘!?」
「何だって!?」
「本当の伝説はこうです─。」
異世界より娘が現れ、その者によってこの地は悪い方へと変わる。
それは伝説の聖女が追い出されてしまうからだ。
そして彼女が新たに向かう先で天の神は祝福し、皆に加護を授けるだろう─。
「あなたが読んだ本に書かれた伝説は、所々抜け落ちていたのよ。でも神の声が聞こえる私には全て分かっていた、その本当の意味がね。それを教えようとしたのに、あなたは欲に目が眩で何も聞いてくれないんだもの。」
「そ、そんな…!」
「じゃ、じゃあ私は何!?伝説の聖女じゃないなら、私は…。」
「あなたはこの地にもこの世界にも不要な者…なのに、何かの間違いでやって来てしまった。神はあなたの存在を許していない、今すぐこの世界から消してしまいたい程に─。」
「この娘は悪の化身と言ってもいいな…。おい、この娘と男を捕えよ!せっかく皆が加護を授かりこの城は神聖な場と化したのに、それを穢そうとする者たちだ!」
「王よ、待って下さい!」
「せ、せっかく彼と幸せになろうと思ったのに、こんなの嫌~!」
(ヒロイン視点)
こうして捕らえられた二人は、伝説の聖女である私にした仕打ちとお城での振る舞いが原因で処刑が決まった。
全く皮肉なものよね…普通の聖女だと追い出した女が、伝説の聖女だったなんて。
「君を城に迎える事が出来て良かった。加護を授かる事が出来た者は皆幸せになり、この国もますます発展するだろう。俺も幸せだ…どうかこのまま俺の妃になって欲しい。」
「勿論、喜んで─!」
神の声に従い、このお城に来て本当に良かったわ。
城に行けば、お前と王、そして皆は幸せになる。
そして、あの女と男には厳しい罰が与えられるだろう─。
神よ…まさにあなたのお導き通りになりましたね─。
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