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しおりを挟むこの天使君は低い声で更に饒舌に話した。
最初に見た時は本当に幻想的な美しさで、僕に対しても恥じらっている様に見えたのに、今は見た目に反して乱暴な口調だし、何より声が低い男だ!!僕は男の人が好きだけども、この幻想的な外見をしている天使とドスの効いた低い声とのギャップに、勝手に作りだしたイメージが崩れてしまい幻滅してしまった。天使君だって最初は歌声みたいに声を高くしていたから、完全に僕を騙そうとしていたしな。
「毒きのこなのは分かったけどさ、有名なのはカエンダケとかベニテングダケだよ。君は弱そうだね。色も白いし」
「俺はドクツル茸だ。人間には別名(殺しの天使)とあだ名がついている位、結構名の知れたきのこなんだが。趣味は人間の内臓破壊。何も知らずに俺に近づいて構って来る馬鹿な奴が好きだ。だからお前の事が大好きだぞ」
「くぅっ……」
痛い所を突いてくるな。
しかし僕はなんて馬鹿なんだろう。うっかり綺麗だと思っただけでこの毒きのこをお土産に持ち帰ろうとしていただなんて。しかもヘルスにこの毒きのこを披露していたら、彼迄危険に晒す所だったじゃないか。
「だが、もう俺はお前を殺さないと誓ったからな。それにナイフの射程範囲に近づかなければ俺なんか無害だぞ。どうせ短い命だから消える迄お前と一緒に散策して、少しでも俺の子供を作らせてよ」
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