リエラの素材回収所

霧ちゃん→霧聖羅

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二年目 リエラの後輩たち

新弟子ちゃんと連絡事項

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 夢を見てるみたいだった、年越し祭りの翌々日。
お祭りの余韻はまだ心に残っているんけれど、今日からはまた通常通りのお仕事の始まりだ。
リエラはいつも通り、髪の束を二つに分けてキュッキュと編み込んでいく。
毎朝の作業だけど、長さが結構あるから時間がかかるんだよね。
本当だったら時間節約のためにも、一本の三つ編みにしたいところだ。
だけど、髪の毛の一本一本が太いもんだから、一本にするとまるで太いロープみたいになっちゃうんだよ。
しかもまとまった分、後ろに頭が引っ張られて痛い。
なので泣く泣く二本に分けてるんだ。
ちなみにこの髪も、毛室が太くってパサパサしてるっていうのがコンプレックスだったんだけど、このグラムナードに来てから随分と改善された。
太さはどうしようもないんだけど、パサパサしてた質感がね、マシになったんだ。
セリスさんに教えて貰った整髪料のお陰かな。
これって、地味にうれしい。

 身支度が終わると、セリスさんのお手伝いをする為に台所へと急ぐ。
お姉さまとの触れ合いは、リエラの活力だからね。
一日、元気にお仕事するのには必要な事なんだ。

 そうして、意気込んで台所についてみると思いもかけない光景が目に飛び込んできた。

「テミス、これをお願い。」
「はーい!」
「テミス、次はこっちね。」
「了解―!」

 セリスさんのところには、既にお手伝いさんが来てたのだ。
それも、見た事のない子!
自分のポジションをとられたショックで立ち尽くすリエラに気が付いたのは、セリスさんじゃなくて、テミスと呼ばれてたその子自身だ。

「あ!
 おはようございます!」
「おはようございます……。」

 彼女の元気すぎる朝の挨拶に上の空で返していると、セリスさんがクルリと振り返る。


――今日も、お綺麗です……!
  お姉さま!


「あら、リエラちゃんおはよう。」
「セリスさん、おはようございます!」

 セリスさんに声を掛けて貰ったら、現金なモノであっという間に元気がでてくる。
すでに、お手伝いをしてる子がいた事に気が付いた時に感じたショックはどこかに飛んでっちゃった。
そうなると笑顔のセリスさんにつられて、自然と顔も緩むってもんだ。

「あのね、リエラちゃん。」
「はい、セリスさん。」
「この子はね、ウチの下の妹でテミスって言うの。
 今日からここで一緒に働くことになるからよろしくね。」
 セリスさんは一旦、炊事の手を止めてテミスちゃんを自分の側に呼び寄せると、改めて彼女の事を紹介してくれる。

「テミスです。
 リエラさんの事は姉達からよく聞いてました。
 私とも是非、お友達になってください。」

 紹介された彼女も、自分の口からきちんと挨拶をした上で丁寧に頭まで下げるもんだから、リエラも慌てて頭を下げる。

「リエラです。
 不束者ですがよろしくお願いします。」


――うあ。
  なんか、言葉選びがおかしい!


 口に出してから気が付いたけど、もう手遅れだ。
恥ずかしくて、顔から火が出そう。

「おっはよー!
 お、テミスじゃない。
 こんなに早くから、もう来たの~?」

 なんだかお見合い状態になってるところに現れた救い主は、ルナちゃんだ。
明るい声で朝の挨拶をしながら台所を覗き込んで、なんともカオスな状態になってるのを見ると意味ありげな笑みを浮かべる。

「着々と、セリ姉のハーレムが出来てきてるねぇ……。」


――ハーレムって、なにそれ?


 意味が分からずに私とテミスちゃんが首を傾げていると、続々と他の人達が食堂に集まってきだしてしまう。

「あらあら、大変!」
「あ、これ運びます!」
「手伝うねぇ。」

 結局、用意の途中だったのに変に時間をとりすぎちゃったせいで少し朝食の時間が遅れてしまった。
それでも、お仕事の時間には余裕がある時間でおさめられたのは、やっぱり人手が増えたお陰なのかな。
ちょっとホッとしながらも席に着く。

「さて、食事の前に連絡事項がある。」

 そう切り出したのは、アスラーダさん。

「年末に、追加の弟子を採る為に他の町を回ってきたのは皆が知っている事だと思う。
 予定では、今月の半ばから終わりにかけて、基礎学校を卒業したばかりの四人の子供が来る予定になってる。
 他にも、求人の内容を見て希望者がくるかもしれないから、その場合は適宜対応する事とする。
 最後に、王都の方から二人ほど魔力操作の指導教員と魔法具師が導師としてやって来ることになった。
 グラムナードのやり方とはまた違った技術を持つ者が来るという事だ。
 互いに、良い刺激になる事と思う。
 彼等が到着したら、是非とも積極的に交流してみてほしい。
 以上だ。」

 キリっとした表情で連絡事項を告げるアスラーダさんは、なんだかいつもと違う人見たいだ。
なんというか、ちょっとカッコイイかも。
なにはともあれ、彼の連絡事項が終わったことによって食事が始まる。
私とスルトは、年末の里帰りの道中で王都から来るという二人の話を聞いてたんだけど、初耳だったらしいルナちゃんは目を丸くしてた。
興奮気味に、新しく入ってくるらしい導師がどんな人なのか、なにを教えるのかと目を輝かせているルナちゃんに話を合わせながら、こっそりと心の中でツッコミを入れる。


――もともといたメンバーの中で、この話を知らなかったのがルナちゃんだけって、ちょっと可哀そうすぎ。
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