リエラの素材回収所

霧ちゃん→霧聖羅

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二年目 リエラの後輩たち

綺麗すぎるお兄さん

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 テミスちゃんが加わった状態の工房に慣れてきた頃。
新しく王都から来ることになった教師役の人達がやってきたと言う報告が、中町との境の砦を守る領兵から入ってきた。
丁度、今日は春の三日月の第二緋月の日だから、今月に入って十一日目の事だ。
王都とグラムナードの間は、駅馬車で王都に向かう場合には七日。
逆に、王都から来る場合だと九日位かかるらしい。
王都から来る場合の方が日数が多くなるのは、登り坂が多いせいなんだそう。
確かに、坂道は登るののしんどいよね。
下りは楽だけど。

 それにしても、今月の半ばから終わりまでに来てくれるように頼んでたみたいなのに、随分と早く来たんだなと思いながらアスラーダさんと二人を迎える為、砦へと歩を進める。
その間に彼は、新しく来た人たちの事を軽く話してくれた。

 一人目は、ラエルさんって言う小人族の男性。
アスラーダさんの叔母様の元で魔法を学んだ人らしい。
魔力操作が上手で、その使い方を人に教えるのも上手いんだって。
それにしても、アスラーダさんの叔母様の元でって事は、王太后様のところで働いてるんじゃないんだろうか。
こんなところなんて言っちゃうとナンだけど、お世辞にも近いとは言えないグラムナードに働きに来ていいのかな?と、ちょっと首を傾げてしまう。
まぁ、大丈夫だから来るのかもしれないけど。
あと、アスタールさんには『見た目に騙されない様に』って注釈が付いたんだけど、一体なんで??

 二人目は、スフェーンさんって言う丸耳族の男性。
アスラーダさんとは魔法学園で一緒だった人で、結構仲が良かったみたい。
というか、確かフレトゥムールの方にも知り合いが居たって言ってたし、アスラーダさんって随分と顔が広いんだなぁと感心しきり。
魔法具師さんなんだけど、魔力で焼き付けるグラムナードのやり方とは違った作り方をするらしい。
どんな風に作るのか、興味があるな。
ちなみにスフェーンについて、『性別は男』だって事をやたらと強調してた。

 こうして、注釈や妙な強調をされるところからすると、実は今回来た二人って、変な人だったりするのかとちょっぴり不安になってくる。
だって、普通の人だったら別に要らないよね?
そう言う注意って。





「随分と待たせてくれたね。」

 ドキドキしながら、砦の応接室に入ったリエラ達を迎えた第一声は、そんな、ちょっと皮肉っぽい響きのある言葉だった。
でも、その声の調子に楽し気な響きが混じってるせいか、あんまり嫌な感じはしない。

「お待たせしてすみません。」

 そう言って素直に頭を下げるアスラーダさんに合わせて、リエラも頭を下げる。
顔を上げて部屋の中へ視線を向けると、初めてこの町にやってきた時に私が眠り込んでしまったソファの上には、驚いた顔で固まってるとっても可愛いふわふわの金髪の美少年の姿。
その彼の後ろの方には部屋の中を眺めていた様子の、赤味がかった金髪の色っぽいお姉さんの姿。


――……あれ?
  確か、小人族の男性――は、この美少年か。
  もう一人も男性じゃなかったっけ?


「フェンも久しぶりだな。」
「ふふ。
 アスラーダも元気そうだね。」

 驚いた事に、声は高めではあるもののしっかり男の人のものだ。
見た目は凄い美人さんなのに……!
ああ、でも、確かにリエラの『お姉さま』センサーが働かない。
見た目はともかくとして、男の人で間違いないって事で納得しておこう。
リエラが目を白黒させていると、彼は小首をかしげてこちらに向かって微笑んだ。

「あの子は?」
「ああ、弟の愛弟子だ。」
「初めまして、お嬢さん。
 スフェーンと申します。
 よろしくお見知りおきください。」

 そう言いながら、左手を胸にあてて腰をかがめるのは男性の仕草だよね。
よく見てみると、ちょっと装飾は派手だけど着ている服はきちんと男の人のものだし。
アスラーダさんと仲が良かったって事は、人柄も悪くはないんだろう。
そう思ったら、不思議と気持ちが落ち着いた。
そうだよね。
よく考えなくっても、人は見た目よりも人柄の方が重要だし。
男の人なのに、女の人より綺麗な人が居たっていいじゃない。
……やっと人並程度な容姿のリエラとしてはちょっと複雑なモノはあるけど、そこは今更だしなぁ……。
よく考えてみたら、アスタールさんにしろアスタールさんも下手な女の人よりよっぽど整った顔立ちをしてるし、レイさんだってこの人とはまた違った方向性の美人さんだったよ。
色っぽい系の人との交流ってなかったから、テンパっちゃったのかも。

「錬金術師見習のリエラです。
 こちらこそ、よろしくお願いします。」

 そう思ったら、やっと普通に挨拶が出来るようになった。
なんというか、このままじゃ色々とダメダメだね。
もっと、精神修養を積まなくっちゃ!

「こいつは今はこうやって猫を被ってるが、結構な女たらしだから気をつけろ。」
「うわ。
 アスラーダってばひどい!?」
「単なる事実だろう?」


――うん。
  とりあえず、仲良しなのは本当みたい。


 アスラーダさんとスフェーンさんの二人が、あーでもないこーでもないと言い合う姿にほっこりする。

「あ、なにはともあれ、コイツは女たらしの魔法具マニアだ。
 アスタールのやり方とは違った作り方を知ってるから、勉強にはなると思う。
 ただ、女たらしだから近づく時には気を付ける事。」
「ねえ、なんで三回も『女たらし』って言うのかな?」
「弟曰く、『大事なことは三回言うのがお約束』なんだそうだ。」
「それって、どんな約束だよ……。」

 なんだかスフェーンさんは最初に挨拶した時に、巨大なにゃんこを被ってたらしい。
でも、素の方が親しみやすくてリエラは好きだ。
二人のやり取りが面白すぎて我慢できずに噴き出すと、スフェーンさんは大仰なため息を吐きながら天井を見上げた。
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