リエラの素材回収所

霧ちゃん→霧聖羅

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二年目 見習い期間 ~調薬工房~

糸紡ぎ 上

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 足の痺れと戦う時間もなんとか終わり、午後になった。
リエラ達がドキドキワクワクしながら調薬工房に入ると、いつもなら先に工房に入っている筈のセリスさんの姿はなく、作業台の上にはリエラの伸長を軽く超える程、長ーいつる草の姿。

「つる草?? なのです??」
「つる草、だねぇ……」
「うわぁ……。お姉ちゃん、ここから始めるんだ……」

 首を傾げるアッシェちゃんとリエラだけど、テミスちゃんはゲンナリ顔だ。
この反応は、コレを使って何をするのか知ってる感じだよね?
当然、テミスちゃんにリエラ達の視線が集中する。

「んと、多分、お姉ちゃんは糸作りから始めるつもりなんだと思う」
「糸作り、です?」

 リエラ達の視線に少し怯えつつ、テミスちゃんが口にした言葉にアッシェちゃんと揃って首を傾げた。
糸って、こうフワフワの綿の実とか動物――ヤギとか――の毛から作る物だと思ってたんだけど、リエラの勘違いだったのかな。

「遅くなっちゃって、ごめんなさいね」

 つる草を手に、コレをどうやって糸作るのかと頭をひねっていると、慌てた様子でセリスさんが工房に入ってきた。
なんだか、なにかがどっさりと入った麻袋を抱えてるから、リエラは大慌てでお手伝いをしようとそちらに向かう。

「ああ、一人で大丈夫よ。リエラちゃん」
「そうですか……?」

 リエラの差し出す手をやんわりと断りながら、セリスさんはつる草の乗った台にその袋を置いた。

「さて、それでは、今から服作り講座を始めるわね」
「まってましたです~!」
「第一回目は、植物素材を使用した『魔力糸紡ぎ』です」

 笑顔で宣言するセリスさんを心に焼き付けつつ、説明の言葉に耳を傾ける。

「今日使う素材は、『縊り草』」
「なんだか、物騒な名前の草なのです。」

 同感。
名前からして、いかにも首を狙って襲ってきそうだよね。
普段通りの涼しい顔して説明を続けるセリスさんと、その蔓を思わず交互に見比べてしまう。
幸いな事に、つる草は台の上から動く気配ないみたいだ。

「確かに物騒な名前ね。これは、『水と森の迷宮』の第三層に自生してる罠植物よ」
「第三層っていうと、確か魔獣が出始める階ですよね?」
「ええ、そうよ。第三層まで行くと、姿自体は第一層や第二層で出てくる動物と同じなのにすごく強くなるのよね。
頭も良くなってるから、『縊り草』を始めとした罠植物も利用して襲ってくるの」
「第一層なんかは、結構のんびりした雰囲気だったですけど、第三層ってそんなに危ないのです?」

 そう言えば、先週末からアッシェちゃん達は『水と森の迷宮』に行くようになったんだっけ。
先月末の報告会で、アスラーダさんがそんな話をしてたのを思い出す。
第一層は人を襲う動物が大体単体で襲ってくる程度だから、戦闘経験を積むのに都合がいいんだって前にも話してたもんね。
ちなみに、第二層になると複数の動物が連携しながら襲ってくるから、危険度がグンと上がるんだそうだ。

「ええ。第二層と違って襲ってくるのは単体なんだけど、魔法を使ってくるからどうしても手ごわくなるわ。
丁度、今週に入ってからポッシェ君を連れて第二層を突破できたってお話をアスラーダ様から教えて貰えたから、昨日採取をお願いしておいたの。」
「私もまだ、三層はキツイかも……」
「テミスの場合は、スルト君やルナが一緒なら問題ないんじゃないかしら?」
「そうかな?」
「今度、頼んで連れて行ってもらったら?」
「んー……、でも、二人のデートの邪魔をするのもちょっとなぁ……」
「なるほどなのです」

 ちょっぴり話が逸れてたけど今の話で、アッシェちゃんには、今のところ自力で材料を取りに行くのは無理だと理解できたらしい。
リエラはちょっぴりずるっこいけど、管理者権限があるから多分一人でも取りに行ける……はず。
むしろ、どうしても欲しかったら自分の『素材回収所』に配置しちゃう方がいいかも。
便利だよね。
自分専用迷宮って。

「なにはともあれ、採取してきてくれたアスラーダ様達に感謝しつつ、作業を始めましょうか」

 パンパンと手を叩いて話を打ち切ると、セリスさんは今日の作業の指示を始めた。
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