134 / 263
二年目 見習い期間 ~調薬工房~
胸像
しおりを挟む
アッシェちゃんが魔導具無しでの調薬を成功させてから、一日空けた第二緋月。
今日は調薬工房で、服作り関連の技術を学び始める事になっている日だ。
リエラもその事を楽しみにしていたんだけど、アッシェちゃんはそれよりも更に楽しみで仕方ないらしく、朝からテンションがすごく高い。
もう、今にも踊りだしそうなほどだ。
「アッシェ君、キチンと集中しなさい。」
「ハイなのです!」
上の空で講義を受けてるんじゃ、ラエルさんに怒られちゃうのも当然だろう。
ああ、返事をしたそばから、もう気が散ってるみたいだ。
今日の魔力操作の課題は、得意属性の素材を使用しての、身近な人の胸像を作成して講義終了まで維持する事。
ちなみに、この課題が意外と馬鹿にできないんだよ。
なにせ、火や水などの流体か砂を用いて作らなくちゃいけない。
この素材は、作り終わったからと言って気を抜くとあっという間に元の姿に戻っちゃうからね。
昨日までは魔力を使って固形物を変形させるだけだったんだから、すごく難度が上がってると思う。
ちなみにアッシェちゃんが選んだ素材は水で、モデルはコンカッセちゃん。
コンカッセちゃんは、砂を素材にしてアッシェちゃんを作ってる。
リエラは二人に倣って、エリザと互いを作り合う事にした。
あ、エリザがセリスさんのお母さんのところに行くのは、午後になってから。
午前中の魔力操作の指導は、相変わらずみんなと一緒にやってるんだよ。
それはともかくとして。
エリザは水を素材にしてるんだけど、リエラの方はちょっぴり扱いが苦手な金属で作った砂を使ってる。
一応は一年早く弟子入りしてる分、ある程度の水準で魔力を扱う事は出来るようになってるからね。
むしろ、不得手な素材で課題をこなすように厳命されたんだ……。
どうせなら、水かウッドビーズを素材にしたかった……。
それはそれとして、アッシェちゃんが作ってる水の胸像が、ちょっとリエラの腹筋に挑戦してきてる。
マズいよ、マズい!
腹筋が崩壊しそう‼
笑ったらマズい。
せっかく作った、エリザの胸像が崩れちゃう!
アッシェちゃんの作った胸像の何がマズいって、顔が可笑しすぎる。
だって、モデルのコンカッセちゃんはいつも通りのどこか眠たげな表情なのに、アッシェちゃんの水の胸像はなんだかどこかで呑んだくれてヘラヘラ笑ってるおじさんみたいな変な顔。
あれって、絶対、アッシェちゃん本人の心の中の表情だよね?
どれだけ午後が楽しみなんだろう……。
コンカッセちゃんも、自分をモデルにした胸像が変顔にされてしまっている事に随分と腹を立ててるみたいで、さっきからつま先が苛立たし気なリズムを刻んでる。
……って、コンカッセちゃんが作ってるアッシェちゃんの砂の胸像は、アッシェちゃんが作ってるモノよりもひどい変顔になってるよ!
こっちは、憤怒の表情だけど。
リエラの視線がそちらに釘付けになっているのに気が付いたエリザが、何気なくそちらを向いてしまって、思わずブフッと言う音を立てて吹き出す。
あーあー……。
エリザは、折角完成していた自分の作品を、コンカッセちゃんの胸像のインパクトに負けて崩しちゃった……。
彼女はせっかく作った胸像が崩れてしまった事にショックを受けつつも、改めて作り直して残りの時間はよそ見をせず、維持に専念することにしたらしい。
そうだよね、良い判断だと思う。
リエラ?
リエラの場合は、難度を上げる為に周りの子をキチンと観察するようにって指示が出てるからね。
自分の事に専念するわけにはいかないんだ……。
だから、耐えるしかない。
アッシェちゃんとコンカッセちゃんのを見ちゃうと笑っちゃいそうだから、何とか他に気を逸らせる先がないかと視線を彷徨わせた先にあったのは、ポッシェ君の作品。
何故か彼が作っていたのは、胸像ではなく小さな全身像。
ボンキュッボンな、ナイスバディの上についてる顔は、なんと真顔のラエル先生……。
ポッシェ君のは、いわゆる最後のダメ押しってやつだ。
リエラは、盛大に吹き出しつつ椅子から転げ落ちながら、お腹を抱えて笑い転げた。
なんとか笑いの発作が収まった後、エリザ以外の全員が正座した状態で課題に取り組まされたのは言うまでもない……。
今日は調薬工房で、服作り関連の技術を学び始める事になっている日だ。
リエラもその事を楽しみにしていたんだけど、アッシェちゃんはそれよりも更に楽しみで仕方ないらしく、朝からテンションがすごく高い。
もう、今にも踊りだしそうなほどだ。
「アッシェ君、キチンと集中しなさい。」
「ハイなのです!」
上の空で講義を受けてるんじゃ、ラエルさんに怒られちゃうのも当然だろう。
ああ、返事をしたそばから、もう気が散ってるみたいだ。
今日の魔力操作の課題は、得意属性の素材を使用しての、身近な人の胸像を作成して講義終了まで維持する事。
ちなみに、この課題が意外と馬鹿にできないんだよ。
なにせ、火や水などの流体か砂を用いて作らなくちゃいけない。
この素材は、作り終わったからと言って気を抜くとあっという間に元の姿に戻っちゃうからね。
昨日までは魔力を使って固形物を変形させるだけだったんだから、すごく難度が上がってると思う。
ちなみにアッシェちゃんが選んだ素材は水で、モデルはコンカッセちゃん。
コンカッセちゃんは、砂を素材にしてアッシェちゃんを作ってる。
リエラは二人に倣って、エリザと互いを作り合う事にした。
あ、エリザがセリスさんのお母さんのところに行くのは、午後になってから。
午前中の魔力操作の指導は、相変わらずみんなと一緒にやってるんだよ。
それはともかくとして。
エリザは水を素材にしてるんだけど、リエラの方はちょっぴり扱いが苦手な金属で作った砂を使ってる。
一応は一年早く弟子入りしてる分、ある程度の水準で魔力を扱う事は出来るようになってるからね。
むしろ、不得手な素材で課題をこなすように厳命されたんだ……。
どうせなら、水かウッドビーズを素材にしたかった……。
それはそれとして、アッシェちゃんが作ってる水の胸像が、ちょっとリエラの腹筋に挑戦してきてる。
マズいよ、マズい!
腹筋が崩壊しそう‼
笑ったらマズい。
せっかく作った、エリザの胸像が崩れちゃう!
アッシェちゃんの作った胸像の何がマズいって、顔が可笑しすぎる。
だって、モデルのコンカッセちゃんはいつも通りのどこか眠たげな表情なのに、アッシェちゃんの水の胸像はなんだかどこかで呑んだくれてヘラヘラ笑ってるおじさんみたいな変な顔。
あれって、絶対、アッシェちゃん本人の心の中の表情だよね?
どれだけ午後が楽しみなんだろう……。
コンカッセちゃんも、自分をモデルにした胸像が変顔にされてしまっている事に随分と腹を立ててるみたいで、さっきからつま先が苛立たし気なリズムを刻んでる。
……って、コンカッセちゃんが作ってるアッシェちゃんの砂の胸像は、アッシェちゃんが作ってるモノよりもひどい変顔になってるよ!
こっちは、憤怒の表情だけど。
リエラの視線がそちらに釘付けになっているのに気が付いたエリザが、何気なくそちらを向いてしまって、思わずブフッと言う音を立てて吹き出す。
あーあー……。
エリザは、折角完成していた自分の作品を、コンカッセちゃんの胸像のインパクトに負けて崩しちゃった……。
彼女はせっかく作った胸像が崩れてしまった事にショックを受けつつも、改めて作り直して残りの時間はよそ見をせず、維持に専念することにしたらしい。
そうだよね、良い判断だと思う。
リエラ?
リエラの場合は、難度を上げる為に周りの子をキチンと観察するようにって指示が出てるからね。
自分の事に専念するわけにはいかないんだ……。
だから、耐えるしかない。
アッシェちゃんとコンカッセちゃんのを見ちゃうと笑っちゃいそうだから、何とか他に気を逸らせる先がないかと視線を彷徨わせた先にあったのは、ポッシェ君の作品。
何故か彼が作っていたのは、胸像ではなく小さな全身像。
ボンキュッボンな、ナイスバディの上についてる顔は、なんと真顔のラエル先生……。
ポッシェ君のは、いわゆる最後のダメ押しってやつだ。
リエラは、盛大に吹き出しつつ椅子から転げ落ちながら、お腹を抱えて笑い転げた。
なんとか笑いの発作が収まった後、エリザ以外の全員が正座した状態で課題に取り組まされたのは言うまでもない……。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつもりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。