リエラの素材回収所

霧ちゃん→霧聖羅

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二年目 見習い期間 ~調薬工房~

アッシェちゃん、魔導具卒業!

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 エリザが、セリスさんの実家で調薬について学ぶ事が決まったのは、アスラーダさんに相談した翌週の事だった。
彼女がイリスさんに連れられて行くのを見送ると、四人で連れ立って調薬工房へと向かう。
四人って言うのは、リエラとセリスさん、それからテミスちゃんとアッシェちゃんだ。

「エリザちゃんも、落ち着いてお勉強できる環境に行けることになって良かったのです。」

 そう、訳知り顔で頷いたのはアッシェちゃん。

「うんうん。お母さんも喜んでたし、エリザちゃんがのびのびできる環境は大事だよね。」

 アッシェちゃんの言葉に頷きながら、ニコニコ笑顔になってるのはテミスちゃんだ。

「なんだか、私の力不足を感じてしまって……。エリザちゃんには申し訳ないわ……。」

 納得顔の二人とは対照的に、セリスさんは落ち込み気味。
一度、自分が指導を引き受けたのに、自分の母親にだとしても他の人に指導をお願いする事になったのはやっぱり堪えるらしい。
リエラがセリスさんの立場だったら、やっぱり落ち込んじゃうだろうな。
落ち込むセリスさんを慰めたくて、そっと背中に触れると一瞬、驚いた顔をしてから微笑を浮かべる。

「大丈夫よ。そうだわ! 母の方が私よりも詳しい面もあるから、是非、エリザちゃんにはそちらの知識を仕入れてもらって、逆に教えてもらっちゃいましょう。」

 最初の微笑は少し無理している雰囲気だったけど、途中から気持ちを切り替えたらしい。
良いことを思いついたとばかりに、ポンと手を叩くと、自分の口にした言葉に頷きながら本当の笑顔を浮かべる。

「さ、それじゃあ、アッシェちゃんとテミスも頑張らないと。気が付いたらエリザちゃんの技量に追いつけないなんて事になりかねないわ。」
「あやや、それは困るのです。頑張って、魔導具なしで調薬成功できるようにならないとです。」

 テミスちゃんは、実家にいるうちにある程度の調薬技術を身に着けてきていたのか、もう既に魔導具は使わないでも魔法薬の調合を出来るようになってるんだよね。
そのせいもあって、アッシェちゃんは少し焦ったみたいだ。

「そうね……。今週中に、魔導具を卒業出来そうだったら、来週から調薬の合間に、アッシェちゃんが興味を持ってた服作りを少しづつやっていく事にしましょうか?」
「それは、気合が入るのです~!」

 更に、アッシェちゃんのやる気を引き出そうと思ったのか、セリスさんが提案したのは『服作り』。
そういえば報告会の時に、アッシェちゃんがそっち方面にも興味がありそうだって言ってたっけ。
ただ、気になるのはその服が普通の服なのかどうかって事。
大急ぎで工房に向かうアッシェちゃんと、それを追うテミスちゃんの後をのんびりと追いかけながらセリスさんに気になった事を尋ねてみた。

「セリスさん、服作りって普通の服ですか?」
「そうねえ……。一応は、魔法具の一種かしら?」

 一応?
その言い回しに首を傾げると、セリスさんは大雑把ではあるものの説明を追加してくれる。

「魔法具と言うのには効果が低くて、魔法具じゃないというのも何か違うのよね。リエラちゃんが外出する時に着てくれてる、水色の外套なんかがそうなんだけど、アレは『気温よりも十度低く感じる』ように作ってあるのよ。」


――その説明、あの服をくれた時にしておいて欲しかった……。


 道理で、アレを始めて着た日、玄関のところで待ち合わせをしていたアスラーダさんが来るまでの間に羽織っていただけで凍えた訳だ。
なるほど納得。

「確か、色ヤギ素材でしたっけ。」
「そうそう。色ヤギでも、青は冷感を付加しやすいの。」
「という事は、赤だと温かく感じる効果を付加しやすい感じですか?」
「そうそう。」

 そんな話をしていてふと思うのは、去年、リエラはそういったお話を聞いたことがなかったなって事。

「去年、そういった事を教わってないのはなんででしょう?」

 気になった事は、即、聞いてしまえという事で疑問をそのまま口にすると、セリスさんはバツが悪そうな笑みを浮かべた。

「魔法薬作りに手一杯だったのもあるけど、思いつかなかったわねえ。そもそも、リエラちゃんは魔法薬を作れるようになってきたら、すぐにレイのところに回されちゃったし。」
「その後は、アスタールさんの直接指導も入りましたっけ。」

 思い返してみると、去年ってずいぶんと駆け足でいろんなことを教わってたんだよね。
今年は妹弟子達と一緒に基礎を固めながら、また違う事も学んでいくのか……。
また、新しい事を学べるっていうのはやっぱり楽しみだ。
早くアッシェちゃんが魔導具を卒業できるように、リエラもアドバイスできることがないか考えてみようかな。

 ……なんて思ってたんだけど、目の前にマタタビを置かれたアッシェちゃんのやる気をなめてたよ。
この後、一時間もしないうちにアッシェちゃんは見事に魔導具を卒業。
魔導具なしでの調合の練習を重ねつつ、服作りの勉強もさせてもらえることになったのでした。
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