リエラの素材回収所

霧ちゃん→霧聖羅

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二年目 不本意な継承

後継者を探すわけ 上

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 アスタールさんがまず、前提条件だと前置きをして話し始めたのは魔法の属性の事から。
この世界の魔法は全部で、『光』『時』『生命』『魂』『火』『風』『地』『水』の八属性。
その全てに、担当する管理者――ルナちゃんが話してた、下位神様がいるらしい。

 輝影の支配者は『光』ー光と闇を操る魔法担当。
 運命の紡ぎ手は『時』ー時と空間を操る魔法担当。
 生命の創造主は『生命』ー生と死を操る魔法担当。
 魂の護り手は『魂』ー魂を縛る契約や精神に作用する魔法担当。
 四霊の愛し子は『火』『風』『地』『水』ー俗に知られている地水火風の属性魔法担当。

「兄上は君と同じ七属性持ちと言う、稀有な存在なのだが、輝影の支配者の代行者となる為に足りないのが『魂』属性なのだ」
「――アスタールさんは、『光』の属性を足すことは出来ても『魂』は足せないって事ですか?」
「その認識で間違いない」

 アスタールさんに詳しく聞いてみると、光の属性と闇の属性は同じ分類らしい。
正反対のモノのような感じがするのに。
なんでも、どちらが欠けても存在しえないモノだからなんだとか。

「という事は、アスラーダさんの場合、魂の護り手の代行者ならなれるって事なのか……」
「可能性はあるが……。魂の護り手に求められぬ限りは代行者になる事はないのだと思う」
「あ、まず会わない事にはそういう事は起こらないんですね?」
「うむ……。ただ、コンちゃの例を考えると、六属性でも代行者に選ばれる事もあるようだ」
「……え?」

 なんか、変な言葉が聞こえた気がして聞き返すと、アスタールさんはもう一度同じ言葉を繰り返した。

「え? え?? コンちゃって、コンカッセちゃんの事、ですよね? コンカッセちゃんも代行者??」
「うむ。彼女は『水の愛し子』の代行者になっている」

 ちょっと待て。
さっき言ってた管理者の中に、『水の愛し子』それは入ってなかったよね?
聞いてないよ! って言う思いを目に込めて見つめると、アスタールさんはサッと目を逸らす。
落ち着かなげに耳がピコピコしてるって事は、口が滑ったのか……。

「……四霊の愛し子は、先代がその役目を分割してしまったせいで、現在は『火の愛し子』『風の愛し子』『地の愛し子』『水の愛し子』四人となっているのだ」

 暫くの間見つめ続けた結果、やっとアスタールさんがそう白状する。

「輝影の支配者って、管理者の役割の分割なんて事も出来るんですか?」
「いや……。私は出来ない」
「でも、先代様はやったんですよね?」
「私は出来ない」

 この件は、何度聞き方を変えてみても答えは一緒だったから、多分、出来ないというのは本当なんだろう。
ただ、『今は』っていう注釈が付く可能性はあるけど。
聞いて回った感じからすると、先代様は随分と長く生きてそうなんだもの。
長く生きている間に、出来る事が増えていたとしてもおかしくないよね?

「……まぁ、少なくとも今は出来ないって事で納得しておきます」
「出来ないと言っているのに……」
「猫神様レベルに成長したら出来るようになるかもしれないじゃないですか」

 先代様だって、少なく見積もっても六〇〇年。
リエラが調べた感じだと、その倍以上は生きてるみたいだ。
だから実は、アスタールさんに自分のお役目を渡した後、別の世界で普通に神様として生きてるんじゃないかと思ってみたり。
確証がある訳でもないし、確かめることも出来ない事だけどね。

「そんなに長生きはしたくない……」
「気が合いますね。リエラもおんなじ気持ちです」
「残念だ」
「そもそも、リエラは輝影の支配者にはなれないんですよね?」
「非常に残念だ……」

 念の為、再確認してみただけなんだけど、良かった。
アスタールさんの血を吐くような呟きからすると、リエラが輝影の支配者下位神になる事はないらしい。
ホッとするのと同時に、アスタールさんがやたらと他人ひとを輝影の支配者にしたがってるっぽいのが気になってしまう。
神様ってなりたい人はなりたいものなんじゃないかと思うんだよね。
リエラはそんな事思った事ないから理解はできないけど、こう、遥か人の上に立ってる的な優越感??
でも、アスタールさんってあんまりそういうタイプじゃなくて、見た目の割に地味思考な人なんじゃないかと思う。
この人って、普段着はいつもキラキラしいけど、身に着けるもの一つとっても貰ったものをそのまま着ける傾向がある。
本人は何も言わないけど、どっちかと言うとシンプルなモノの方が好きそうなんだよね。
自分で用意したらしい、調度品の傾向から察するなら。
だから、リエラのイメージするアスタールさんって、こう……うらぶれた路地裏辺りにあるつぶれかけの雑貨屋さんにでも居そうな感じ。
店に入って、商品を眺めてる時にアスタールさんに動かれたら、悲鳴を上げる自信があるね。
予備知識がなければ間違いなく、展示されてる人形だと思うもん。
顔立ちが綺麗すぎて。
――と、思考が脇にそれ過ぎた。
軌道修正、軌道修正。

「アスタールさんって……、もしかして無理矢理、輝影の支配者にされちゃったんですか?」

 言葉は返ってこなかったけど、しょんぼりと萎れた耳が答えの代わりだ。

「という事は、弟子探しそのものが自分の後継者を探しなんですね」
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