リエラの素材回収所

霧ちゃん→霧聖羅

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二年目 錬金術師のお仕事

女子浴場はカオスです

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「最近のリエラせんぱいは、気分が上がったり下がったり、大忙しなのですぅ」
「まー、リエらんも最近は色々あったからね~」
「ほーほー。何があったのですぅ??」
「んー……色々」

 本当にまあ、色々と。
好奇心猫を殺すって感じで、自爆ダメージたくさん受けちゃった……みたいな感じだ。
考えてみたら、半月かそこらの間にアスタールさんに色々暴露させて、思ってもみない事の渦中にいる事に気が付いたって状態だよね。

「まあ、この町には秘密がいっぱいなのです。りえらせんぱいは気付いてなかったみたいなのですけど」
「う」
「きえーの支配者信仰もそうなのですけど、迷宮をおししょーさまが管理してるのだって、他所に知られたら大変すぎなのですぅ」

 思い当たるところの多い指摘に言葉を詰まらせると、アッシェちゃんはさらにその内容を指を折りつつ数え上げる。
いや、輝影の支配者はともかくとして、迷宮の事はそこまで中町でもオープンになってないよね?
何で知ってるの?!
ルナちゃんも同じ事を思ったみたいで、アッシェちゃんの事を目を見開いて見つめつつ、どこか途方に暮れたような声で問いかける。

「あー……アッシェちゃんのその情報ってどこから?」
「きえーの支配者は、イリスさんとソルさんからなのですぅ。迷宮の方は、企業秘密なのでーす♪」

 『きぎょう』ってなんだろ?
首をかしげていると、髪の毛を洗い終わったコンカッセちゃんがお湯に入りながらアッシェちゃんの頭をペチンと叩く。

「秘密なんてない。情報はソルさんから」
「あ、コンちゃん。そこは、シー! なのですぅ」
「おおう……お父さんかぁ……」

 ネタ元をばらされたアッシェちゃんが、あわてて唇に人差し指を当てる中、ルナちゃんは頭を抱えた。
そういえば、コンカッセちゃんをはじめとする新弟子のみんなはルナちゃんのお父さんたちと一緒にグラムナードに来た時に仲良くなったらしくて、いまでも休みの度に遊びに行ってるんだっけ。
……エリザも遊びに行っちゃうのがさみしいなんて事はない。
ないったら、ない。
大体、その日はアスラーダさんに『素材回収所』のチェックを手伝ってもらってるから、リエラは遊んでる暇はないのです。
セリスさんやルナちゃんのご両親が気になるなんて、そんな事実はないのだ。

「コンちゃんもいつの間にかトールちゃんの『代行者』とかいうのになってるですし、最近はそういうのが流行りなのですかねぇ……」
「私はそんな訳の分からないものじゃない。トールちゃんには、懐かれてるだけ」

 そういや、アスタールさんがそんな事を言ってたっけ……。
コンカッセちゃんが『水の愛し子アストールちゃんの代行者』だとかなんとか。
半眼になって――あ、いつもそうだった――アッシェちゃんを黙らせようとお湯をバシャバシャ掛けているコンカッセちゃんの様子を見る限り、ちょっと前のリエラと同じで代行者であるその事を認めたくないみたいだ。
分かる、分かるよ。
訳分かんないもんね……代行者なんて。
それにしても、アッシェちゃんの口からさらっと出てくる当たり、もしかして『代行者』って言うのもみんな知ってる話なのかな??

「え、代行者って何?」

 ――と思ったら、違うらしい。
ルナちゃんは二人のやり取りに目を丸くしながら、説明を求めるようにリエラに視線を向ける。

「あー……何と言うか、リエラの場合だとアスタールさんに何かあった時の交代要員??」
「……トールちゃんのって?」
「なんか、トールちゃんは『水の愛し子』なんだって」
「なにそれ?」
「輝影の支配者のお仲間さん……みたい」
「おおう……。まさかのトールちゃんまで人外……ラー兄は?」
「アスラーダさんは普通の人」
「……ラー兄、強く生きて」

 むしろ、普通の人でいいんじゃないかな、ルナちゃん?
ああ、でも疎外感はある? かな??
――だとしたら、リエラ代行者なんて存在も、彼にとっては嫌なものかも。

「しっかし、ター兄の交代要員かぁ……。それって後継者みたいなもんだよね」

 なぜか少し痛む胸に手を当てていると、ルナちゃんが独り言にしては大きな声で呟き、ため息を吐く。

「そうでなくともあたしが婚活相手から離脱したところに、ター兄の弟子のリエらんがあちこちの氏族に顔を出すことになったってだけでもアレだったのに」
「アレって?」
「オオカミの中に子ウサギが飛び込むみたいな? リエらん、行く先々でモテモテになって困りそう」
「モテモテになっても嬉しくない……」

 その情報、せめて昨日の晩のうちに欲しかった……。
知っていたら、今日の精神的ダメージも多少はましだっただろうに。
思わず愚痴が口をついて出そうになったところに、アッシェちゃんとコンカッセちゃんの二人が会話に割り込んでくる。

「リエラせんぱいモテモテ事件も気になるですが、ルナちゅわんの婚活離脱の方が気になるのです~!」
「気になる。決まった?」
「え? 気になる~?」
「気になるです~!」

 原因は、ルナちゃんがサラッと口にした『婚活相手から離脱した~』の下りらしい。

「どうしよっかなー??」
「もったいぶらず、すぐに話す」
「聞きたい聞きたい?」
「聞きたいのです~!」
「吐け、今すぐに」

 もったいぶって、なかなか喋ろうとしないルナちゃんに二人がにこやかに迫る。
その様子は中々の迫力。
リエラだったらすぐに吐く。

 その後も散々引っ張った彼女の婚約者を聞いて、リエラがお湯をのむ羽目になるのは――まぁ、なかった事にしたい。
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