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二年目 錬金術師のお仕事
怖い魔法 下
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「それはそれとして、魔術学院に通ってそうにもない探索者さんの中にも、たまに魔法を使っている人がいるのを見ますけど、アレってどうやって覚えるんでしょう?」
グラムナードの外で魔法を勉強するのが難しいのは理解したんだけど、魔術学院なんかはラエルさんがやっているような方法で魔力の使い方を教え込んでるんだそうだ。
その結果、魔力視を使えるようになれば、魔法について書かれた文字を読むことが出来るようになるらしい。
言葉で教える事も聴覚に魔力を集中させることが出来れば可能かもしれないけど、今のところ出来ていないんだとか。
魔術学院でさえそんな微妙な環境らしいのに、意外と探索者さんが迷宮で魔法を使ってる姿を見るんだよ。
ただし、殆どが身体強化系。
たまに着火やなんかの、外町支店で魔法具として売られているものを自力で使っているように見える人もいたりする。
「――迷宮は別の世界扱いだから、先代の施した認識阻害の対象範囲外なのだ」
「成程……」
その疑問は、リエラの言葉の衝撃から固まっていたアスタールさんが復帰すると同時に教えて貰えた。
酷い事を言っちゃったのに、律義に教えてくれたものだからなんだか申し訳ない気分だ。
ちょっと、謝るタイミングを逃しちゃったので心の中でごめんなさいと謝っておこう。
それにしても迷宮の中は、結界の中に居るのと同じ状態になるのか。
別の世界って事は結界の中って、異世界扱いという事らしいけど、なんだか微妙に違う感じもするんだけどそう言うモノらしいって事にしておこう。
「あ――」
そう言えば、コレは聞いておこうと思ってたのがあった。
サビ猫を胸の前に抱え込んで「なんだろう?」とばかりに左耳をピコンと下げるアスタールさんがちょっと可愛く見えるのはきっと気の迷いだ。
うん、アスラーダさんに似てる(?)からだね、きっと。
間違いない。
「セリスさんに以前教わった『抽出』という魔法なんですが、これって生き物にも使えるんですか?」
「ああ……、先代が心を本格的に病む事になった発端の魔法か」
アスタールさんの両耳がその心中を表すかのようにグンニャリと下がる。
ついでに、リエラの気分も。
内心、違う魔法だったらいいなと思ってたんだけど、『抽出』で生き物の内臓も取り出せるのか……。
想像しただけでゲンナリしてしまう。
ちなみにこの後、アスタールさんに本来の使い方を教えて貰って、この魔法を悪用した人を呪いたくなった。
元々、生物相手に使う時のこの魔法の名称は『摘出』。
炎症をおこした内臓の治療や、寄生虫なんかを取り出すのに使われていた魔法なんだそうだ。
「アスタールさんって、この魔法に関する情報の認識阻害状態を解除する事は出来ないんですか?」
きっと、解除出来ないからこの状態なんだろうと思いつつ訊ねると、あっさりと「解除は出来る」と言う返事が返ってきて、一瞬、思考が止まる。
「え、解除できるのにしないんですか??」
「魔法に関しては、既に五〇〇年もの間ずっとこの状態だったのだ。突然、今の状態を解除するとおそらくあちこちで悲劇が起こるだろうと思うのだが……解除するべきかね?」
「悲劇、ですか?」
「グラムナードでも、実際に魔法を使わせ始めるのは一〇歳を超えてからなのだが、理由は分かるかね?」
悲劇……悲劇か。
一〇歳から魔法を解禁するって言うのと関係あるって事は、アレだよね?
「善悪の判断が、ある程度キチンとつくようになってからじゃないと危ないって事ですか?」
「ある日、何の努力もしていなかった大人が突然、魔法を使えるようになったなら?」
「――そう言う事ですか……」
やっと、アスタールさんの言いたい事が分かった。
確かに、何の努力もなしに大きな力を手に入れたなら、その力に振り回される人が続出してもおかしくない。
しかも認識阻害を解除した場合、その力を手に入れるのは善人ばかりではなく悪人も、だ。
想像するだけで怖いね……。
「それじゃ、現状維持が一番いいという認識なんですね」
イコール、里帰りした時にやってしまったみたいに、他の人に魔法の手解きをするのはダメだって事。
ちょっぴり……いや、かなりしょんぼりだ。
「いや、兄上が魔力視を魔法学園に広めているそうだから、魔法書と言う形で少しづつ知識の開示を行うつもりではいるのだ」
「そっか、魔力視が使えれば魔法について書かれたものも読めるんですものね……」
「現状は魔力視の使えない状態で書き写した謎の落書きが多く出回っているそうだから、時間はかかるだろうが今よりはましな状況になる予定だ」
「成程……。それで、その作業をラエルさんに依頼してるんですね」
「うむ。魔法に関してはラエル殿に、魔法具に関してはスフェーン殿に協力を仰いでいる」
そっか。
ラエルさんだけじゃなく、スフェーンさんも自分の得意分野で同じような事をやっているのか。
ついでにリエラもそれに加わる事になる……と。
明日はスフェーンさんのお手伝いだって言われてるから、そう言う事だよね。
なるほど納得。
明日の昼間は森の氏族の居住区訪問で、午後からはスフェーンさんのお手伝いか。
特に午前中は気合を入れて頑張ろう……。
「ところでリエラ、君が苦手な『血』の件だが……」
「ハイ」
「今年中に、ある程度克服するように」
「!!」
「君も、『摘出』を使わざるを得ない状況がこないとも限らないのだから頑張りたまえ」
「うえぇぇぇぇえ」
『摘出』使う場面って、どんな時?!
リエラはまだ使った事がない、その魔法の恐怖に血の気が引いていくのを感じた。
だって、生きてる人から内臓取り出せる魔法だよ?!
怖い! めちゃくちゃ怖いんだけど……!!
グラムナードの外で魔法を勉強するのが難しいのは理解したんだけど、魔術学院なんかはラエルさんがやっているような方法で魔力の使い方を教え込んでるんだそうだ。
その結果、魔力視を使えるようになれば、魔法について書かれた文字を読むことが出来るようになるらしい。
言葉で教える事も聴覚に魔力を集中させることが出来れば可能かもしれないけど、今のところ出来ていないんだとか。
魔術学院でさえそんな微妙な環境らしいのに、意外と探索者さんが迷宮で魔法を使ってる姿を見るんだよ。
ただし、殆どが身体強化系。
たまに着火やなんかの、外町支店で魔法具として売られているものを自力で使っているように見える人もいたりする。
「――迷宮は別の世界扱いだから、先代の施した認識阻害の対象範囲外なのだ」
「成程……」
その疑問は、リエラの言葉の衝撃から固まっていたアスタールさんが復帰すると同時に教えて貰えた。
酷い事を言っちゃったのに、律義に教えてくれたものだからなんだか申し訳ない気分だ。
ちょっと、謝るタイミングを逃しちゃったので心の中でごめんなさいと謝っておこう。
それにしても迷宮の中は、結界の中に居るのと同じ状態になるのか。
別の世界って事は結界の中って、異世界扱いという事らしいけど、なんだか微妙に違う感じもするんだけどそう言うモノらしいって事にしておこう。
「あ――」
そう言えば、コレは聞いておこうと思ってたのがあった。
サビ猫を胸の前に抱え込んで「なんだろう?」とばかりに左耳をピコンと下げるアスタールさんがちょっと可愛く見えるのはきっと気の迷いだ。
うん、アスラーダさんに似てる(?)からだね、きっと。
間違いない。
「セリスさんに以前教わった『抽出』という魔法なんですが、これって生き物にも使えるんですか?」
「ああ……、先代が心を本格的に病む事になった発端の魔法か」
アスタールさんの両耳がその心中を表すかのようにグンニャリと下がる。
ついでに、リエラの気分も。
内心、違う魔法だったらいいなと思ってたんだけど、『抽出』で生き物の内臓も取り出せるのか……。
想像しただけでゲンナリしてしまう。
ちなみにこの後、アスタールさんに本来の使い方を教えて貰って、この魔法を悪用した人を呪いたくなった。
元々、生物相手に使う時のこの魔法の名称は『摘出』。
炎症をおこした内臓の治療や、寄生虫なんかを取り出すのに使われていた魔法なんだそうだ。
「アスタールさんって、この魔法に関する情報の認識阻害状態を解除する事は出来ないんですか?」
きっと、解除出来ないからこの状態なんだろうと思いつつ訊ねると、あっさりと「解除は出来る」と言う返事が返ってきて、一瞬、思考が止まる。
「え、解除できるのにしないんですか??」
「魔法に関しては、既に五〇〇年もの間ずっとこの状態だったのだ。突然、今の状態を解除するとおそらくあちこちで悲劇が起こるだろうと思うのだが……解除するべきかね?」
「悲劇、ですか?」
「グラムナードでも、実際に魔法を使わせ始めるのは一〇歳を超えてからなのだが、理由は分かるかね?」
悲劇……悲劇か。
一〇歳から魔法を解禁するって言うのと関係あるって事は、アレだよね?
「善悪の判断が、ある程度キチンとつくようになってからじゃないと危ないって事ですか?」
「ある日、何の努力もしていなかった大人が突然、魔法を使えるようになったなら?」
「――そう言う事ですか……」
やっと、アスタールさんの言いたい事が分かった。
確かに、何の努力もなしに大きな力を手に入れたなら、その力に振り回される人が続出してもおかしくない。
しかも認識阻害を解除した場合、その力を手に入れるのは善人ばかりではなく悪人も、だ。
想像するだけで怖いね……。
「それじゃ、現状維持が一番いいという認識なんですね」
イコール、里帰りした時にやってしまったみたいに、他の人に魔法の手解きをするのはダメだって事。
ちょっぴり……いや、かなりしょんぼりだ。
「いや、兄上が魔力視を魔法学園に広めているそうだから、魔法書と言う形で少しづつ知識の開示を行うつもりではいるのだ」
「そっか、魔力視が使えれば魔法について書かれたものも読めるんですものね……」
「現状は魔力視の使えない状態で書き写した謎の落書きが多く出回っているそうだから、時間はかかるだろうが今よりはましな状況になる予定だ」
「成程……。それで、その作業をラエルさんに依頼してるんですね」
「うむ。魔法に関してはラエル殿に、魔法具に関してはスフェーン殿に協力を仰いでいる」
そっか。
ラエルさんだけじゃなく、スフェーンさんも自分の得意分野で同じような事をやっているのか。
ついでにリエラもそれに加わる事になる……と。
明日はスフェーンさんのお手伝いだって言われてるから、そう言う事だよね。
なるほど納得。
明日の昼間は森の氏族の居住区訪問で、午後からはスフェーンさんのお手伝いか。
特に午前中は気合を入れて頑張ろう……。
「ところでリエラ、君が苦手な『血』の件だが……」
「ハイ」
「今年中に、ある程度克服するように」
「!!」
「君も、『摘出』を使わざるを得ない状況がこないとも限らないのだから頑張りたまえ」
「うえぇぇぇぇえ」
『摘出』使う場面って、どんな時?!
リエラはまだ使った事がない、その魔法の恐怖に血の気が引いていくのを感じた。
だって、生きてる人から内臓取り出せる魔法だよ?!
怖い! めちゃくちゃ怖いんだけど……!!
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