リエラの素材回収所

霧ちゃん→霧聖羅

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二年目 岩窟の迷宮

リエラちゃんが作るもの

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 お師匠様には、リエラちゃんの助手的なことをやるようにって言われたけれど、まだまだ今はその為の知識や技術を身につける時期。
毎日の日課は変わりなく、紫月から黄月までの四日間は今まで通りのスケジュール。
そのかわりって言うのかな?
翠月の午後に向かう迷宮に変化がある。

「この三か月間、毎週の翠月の日には『水と森の迷宮』の第一層に通っていたわけだが、今日からしばらくの間は『岩窟の迷宮』に行き先を変更する」

 師兄が言うには、リエラちゃんが作成する予定の物の素材として、『岩窟の迷宮』で採れる鉱物素材が必要なんだとか。
グラムナードに来てから教わったんだけど、『岩窟の迷宮』って言うのは、外町にある鉱物素材が獲れる場所。
だから、魔法薬に系統気味のリエラちゃんが作るものの素材としては、ちょっぴり意外。
そう思って、ヤギ車での移動中に聞いてみたんだけど、返ってきた返事に驚いた。

「うん。今ね、午前中のお仕事の時に色々と教わってるんだけど……。今度、魔物素材の精錬方法を教わることになったんだ」
「魔物素材の?」
「そ。鉱物素材って言っても、魔物素材の場合は処理の方法が違うみたい」
「へぇ……」

 いいなあ、私もやってみたい!

「ちゃんとできるようになったら、コンカッセちゃんにも教えるね」

 声に出して主張しようと思ったら、リエラちゃんに先手を打たれた。
そんなに分かりやすかったかな?
首を傾げると、一緒に話を聞いていたアッシェとルナちゃんに笑いだす。

「クワっと見開いた目に心の声が、駄々洩れだったですぅ~!」

 クワっとなんて見開いてないもん。
ちょっぴり、いつもよりも目が大きく開いちゃっただけ。

「コンカッセは自分で思ってるより単純だから」

 ポッシェったら、もう! 失礼しちゃう!
一緒にヤギ車に揺られている仲間達の笑い声を聞きながら、私は思わずほっぺが膨らませる。

「――と言うか、コンカッセちゃんも興味がありそうだと思ってたから、出来るようになったら教えるつもりだったんだよ」
「あ~、確かに、コンちゃってすごい熱心みたいだよねぇ」
「うん。去年、調薬を覚え始めた頃のリエラを見てるみたいだよ」
「うわ! それは重症!」

 取りなすように言葉を続けるリエラちゃんに応じるのは、ルナちゃん。
リエラちゃんが私の熱心さの例として自分の事を上げると、彼女は大げさな驚きの声を上げる。
二人の会話から想像すると、去年のリエラちゃんはかなり熱心に調薬に取り組んでいたみたい。
ちょっと、親近感。

「なーに言ってんだか。リエラの場合、今でも調薬馬鹿のくせに」

 と、からかい交じりの声を上げるのは猫耳族のスルト君。
リエラちゃんとは同じ孤児院出身の喧嘩友達で、機会があれば彼女をからかって遊んでる。
そういえばスルト君は最近、ルナちゃんと婚約したんだよね。
私とポッシェはそういった約束を交わしてないから、ちょっと羨ましい。
この頃つれない態度を取られているのもあって、私が一方的に子供の頃の言葉にすがっているんじゃないかって気もしてきてるし。
今も隣に座っているルナちゃんの腰にさりげなく尻尾を巻き付けて、所有欲を主張してるのを見ながら、私は小さくため息を吐いた。
ちなみに、どれだけルナちゃんが好きなんだって思わせる尻尾を巻き付けちゃうアレは、本能的なモノ。
無意識にやっちゃうんだって。
チラッと今は御者役をやっているポッシェの方に視線を巡らせて、そういえば熊耳族の尻尾は短かったと思いだして心の中でため息を吐く。

「むむむ! スルト、その言い方はひどくない?」
「ほんとのことだろ」
「いやいや、本当かどうかが問題じゃなくて、言い方!」
「まあまあ、二人とも落ち着くですよ。それよりもリエラちゃん、魔物素材の精錬をした後って何を作るのです?」

 今日のじゃれあいも長引きそうだなと、遠い目になりかかったところでアッシェが二人の会話を両断。
ナイス、アッシェ!

「あ、そだね。話の途中だった……」
「あれだよね、リエらんはター兄からヤギ車を作るようにって課題出されたんだよね?」
「そうそう。リエラの場合はウサギ車だけどね。で、どうせならついでに素材の加工から学んだ方が良いだろうってことになったんだよ」

 なるほど。
お師匠様お得意の、その場の思いつきってやつね。
でも、思い付きにしては悪くない。
だって、とってきた素材を使える状態にする方法を知っていれば、いざという時に便利。
今乗っているヤギ車にも金属製品が使われてるから、素材加工をする練習をするのには悪くないかも。
ただ、気になることが一点。

「ヤギ車、作れるの?」
「さすがに作ったこともないし、リエラ一人じゃ無理だよ」

 だよね。

「だから、各氏族の職人さんにやり方を教わりながら作ることになってるんだよ」
「……楽しそう」
「今作ることになってる分がきちんと作れたら、個人用のを作っていいって言われてるからその時に一緒に作ろっか?」
「是非」

 こうして私は、リエラちゃんとヤギ車(ウサギ車?)を一緒に手掛ける約束を取り付けた。
問題は、その約束がいつ実現するのかが分からない事かな?
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