リエラの素材回収所

霧ちゃん→霧聖羅

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二年目 叔母様来襲

大人げない

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 出迎えが遅いと憤慨している女性を応接室に案内して、お茶を用意するために食堂に入ると、ピタリと会話がとまった。

「えっと、お客様と応接室でお話するみたいで、お茶の用意を頼まれて戻ってきただけだから、みんなは食事しててください」

 無言の問いの籠った視線に答えて、そそくさと台所へ向かう。
会話が再開したところをみると、リエラの答えにとりあえずは納得してくれたらしい。
まあ、後でルナちゃん辺りは詳しく聞いてくるんだろうけど。

「リエラちゃん、お茶は私が持っていきましょうか?」
「ありがとうございます。でも、今回は直接頼まれているから私がやっちゃいます」

 用意している途中で、席を立ってきたセリスさんからそんなお申し出があったけど、やんわりと断ってから、お茶の道具をカートの上に用意していく。
セリスさんのお仕事をとってしまったみたいで、ちょっぴり申し訳ない気持ちになる。

 ちなみに、お茶請けは先方の要望でキュウリだ。
リエラにとって、食べれないほど嫌いな食べ物ではなくなったけれど、それでも嫌いな食材の一つ。
いつか絶滅させてやりたいと心ひそかに思っている植物だ。
そのキュウリが好物だとは、この人は間違いなくリエラの敵に違いない。
でもまあ、希望されたんだから出さない訳にもいかないか。
貯蔵庫に行くと、中にあったキュウリを二十本、全部お盆に乗せた。
折角だから、全部食べてもらおう。
そうすれば明日の朝食に、コイツは姿を現さない。
……あれ?
残さず食べてくれるなら、むしろ、いい人なんじゃないだろうか?
そんなアホなことを考えながら食堂の扉を閉めようとして、ふと目に入った光景に目を瞬く。
別に、おかしなものが見えたわけじゃない。
だけど、なにあれ。
炎麗ちゃんがアストールちゃんにご飯を食べさせてるとか、めちゃくちゃ可愛いんだけど……!
咥えたフォークの先に、アストールちゃんの嫌いなカブが刺さってるから、食べさせられる本人は嫌そうな顔してたけど。



 カートを押して応接室に戻ると、リエラがいない間にも話は進んでいなかったらしく、ぎこちない沈黙が部屋を支配していた。
こう、せめて世間話をするとか選択肢はなかったんだろうか?
……なかったんだろうな。
どういう訳か、アスタールさんは『叔母上』と呼んだこの女性のことを良くは思っていないみたいだ。
アスタールさんの伯母上というと、今の国王様の母親だという人しか思い浮かばない。
そんな立場の人が一人でぴょっこり顔を出すなんてことはないだろうから、多分、別の人なんだろう。
ぎすぎすした雰囲気に耐え切れず、助けを求めてアスラーダさんの方に視線を向けると、彼はなぜだか頭を抱えてしまっている。
リエラがいない間に、何かあったらしい。
えええ?
こんな気まずい空間に、同席しなきゃいけないの?
お茶を淹れ終わったらご飯食べに戻っちゃだめかな??
何かがあったことを裏付けるような言葉が、お茶を淹れ始めた途端にアスタールさんの口から出てきた時には、ちょっと途方に暮れた。

「リエラ。伯母上の分はカップのフチぎりぎりに淹れたまえ」
「それじゃあ、こぼれちゃいますよ?」
「『これを飲んだらさっさと帰れ』という意味だから問題ない」

 いやいや、なんで本人の前でそんなこと言っちゃうんですか。
人間関係にひびが入りまくっちゃいますよ、アスタールさん。
(一応)お客さんの前だからと、心の中でツッコみを入れていると早く帰れと言われた女性――叔母様? が、憮然とした表情で半眼になる。

「ちょっと、来たばっかりなのに追い出す気?」
「そもそもが、夕飯時に押しかけてくるのが迷惑だと先ほども伝えたはずだが?」

 リエラがいない間も言ってたのか……。
なるほど、それでこのいたたまれない空気。
アスラーダさんが頭を抱える訳だ。
どんだけこの女性のことが嫌いなのかは知らないけど、もうちょっと、こう……

「アスタールさん、迷惑なら中に入れなければ良かったんじゃないんですか?」
「追い返すと後がもっと面倒になる」
「じゃあ、余計なことを言わないで用件を聞いちゃえばいいじゃないですか」

 とうとう、耐えきれずにアスタールさんに意見しながら、お盆に乗せたままのキュウリをそのまま叔母様の前に置いた。
こんなことを言ってしまうリエラも大人げないけど、アスタールさんもよっぽどですよ? 
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