リエラの素材回収所

霧ちゃん→霧聖羅

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二年目 山道視察

山道の所有権

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 ダンさんと交換したサンドウィッチは、薄切りになったお肉が大量に入っていてボリュームたっぷりだったから、炎麗ちゃんに半分お裾分け。
貰ったままの状態だと脂が気になったんだけど、魔法でちょっとだけ温めて食べてみたらめちゃくちゃ美味しかった。
やっぱり、料理は温かい方が美味しいものが多いんだなぁ……

「あれ?」
「どうした、嬢ちゃん」

 お昼を食べ終わって、移動を再開したリエラ達の横をガタゴトと荷馬車が走って行くのに首を傾げると、目ざとく気付いたダンさんに問いかけられた。

「変な時間に移動する荷馬だなーって思っただけなんですけど……」
「確かにそうだな。今の時間にこの辺りを走っていたら、野営洞窟につくのは真夜中……か?」

 リエラの言葉に同意しつつ、アスラーダさんも不思議そうな表情になっている。
なにか不備でもあって、出発が遅れてしまったんだろうか?
なんて思ったんだけど実際には違うらしい。

「ああ。あいつらは道中で商売する奴らだ」
「商売?」

 不審そうな声を上げるアスラーダさんに肩を竦めて見せると、ダンさんは説明を続ける。

「荷馬車で移動する奴にも色々いてな。ひとつが荷物を運んで、仕入れをする商人。こいつらはグラムナード側から優遇されていて、野営用の洞窟の使用権をもっている」

 これは、グレッグおじさんみたいな人達のことだよね。
野営洞窟の入口は、専用のあかしを持っていないと入れないそうだから、ダンさんの言う使用権はそれのことだろう。

「次に、国に委託されて迷宮から採れた資材を運搬する業者」

 外町の迷宮では、様々な資源が採れる。
その中でも、金属の類は国で管理しているんだったっけ。

「運搬業者の場合、行きは現地で働く交代要員が乗っているくらいだから、野営洞窟は使わないのよ」
「行きはってことは、帰りは野営洞窟を使うんですね」
「そうよ。運搬業者用に二つ、商人用に一つの野営洞窟があるわ」

 運搬業者さんの野営洞窟が多い理由は、ラヴィーナさん曰く、商人と比べて荷物が重くなるせいで距離が稼げないのが理由らしい。
徒歩だと順調にいけば二日目に運搬業者さん用、四日目に商人用、五日目にもう一つの運搬業者さん用の野営洞窟前を通ることになるらしい。

「ラヴィは随分と詳しいな」
「常識よ、常識。この野営洞窟もね――」

 ダンさんが感心したように口にした言葉に、ラヴィーナさんは得意げな表情になる。
結構、単純なタイプらしい。

「それで、ダン。さっきのは、そのどちらとも違うんだろう?」

 アスラーダさんが慌てて口をはさんだのは、きっと、ラヴィーナさんが余計なことまで話しそうになったせいだろう。
明らかに『ヤバい!』って顔になってたし。
ダンさんはその様子に気付かなかったのか、もしくは空気を読んで気付かないふりをしたのかは分からないけれど、続きを話してくれた。

「ああ。あいつらは、山道の水場を拠点にして商売をしている連中だ」
「山道を拠点に?」

 とがった声を上げるアスラーダさんを冷静な目で見ると、ダンさんは頷く。

「え? だって、山道は開発の手が入ってないんじゃ……」
「まあ、山道はどこの領地って訳でもないらしいから商売の許可はとってないんだろうな」

 リエラはそんなダンさんの言葉に、思わず耳を疑う。

「え。山道はグラムナード領ですよ」
「ん? とりあえず、俺はそう聞いてるぞ?」

 とっさに口から飛び出した言葉に、ダンさんは苦笑らしきものを浮かべる。
鱗人族が笑うと、とがった歯がむき出しになって、ちょっと怖い。
それはそれとして、一介の探索者であるダンさんにこんな主張をしても意味がないか。

「そこからか……」

 その一方で、ダンさんの反応に頭を抱えるアスラーダさんの背中をポンと叩くと、ラヴィーナさんはきっぱりとした口調で断言する。

「この山道は、ここを切り開いたグラムナードの領地よ」
「んじゃ、山道に町を作ったら?」
「領地としてすでに認められている土地だもの。この山道に勝手に作るのなら、犯罪」

 ラヴィーナさんはそう言いながら、自分の首を斬る仕草をしてみせる。
……って、死罪ですか!?

「グラムナードが主導で作るならただの開拓ね」
「そういうもんなのか」
「そういうものなのよ」

 なんか、信ぴょう性に不安を感じてアスラーダさんを見ると肯定の頷きが返ってきた。
間違いなく、そういうものらしい。
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