リエラの素材回収所

霧ちゃん→霧聖羅

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二年目 山道視察

水売り

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 一般常識との剥離を改めて認識したあと、リエラ達はすぐに山道を進み始めた。
本来なら、昨日の野営地になるはずだった場所に辿り着いたのは、まだお昼を食べるのには早い時間帯。
ここには岩壁から水が湧きだしているらしく、普通なら・・・・ちょっと無理をしてでもここで野営をするものらしい。
途中で作った休憩所は一つだけだけど、昨日野営した場所とここの中間地点だ。
いい塩梅の場所に作れたんじゃないかな?


 それはそれとして、水が湧いているはずの壁際には、どでーんと幌馬車が立ちふさがっている。
どう見ても勝手に湧き水を独占している挙句に、それをやってくる探索者相手に売りつけてるみたいだ。
その様子にアスラーダさんは腹立たしさを隠せずにいるし、ラヴィーナさんは呆れ顔。
ダンさんはそんな二人を、オロオロしながら眺めている。

「あらあら、もしかしたらとは思っていたけれど……」

 呆れたように半笑いを浮かべて、ラヴィーナさんは頬に手をあてて小首を傾げる。
まあ、エドゥラーン家から『開発権』の要求が来ている時点で、お金になる方法があるってことだ。
許可の在る無しに関係なく、勝手に商売をしている人がいてもおかしくないか。

「あの人達って、少し前に追い越して行った人たちですよね?」

 袖を引かれたことで我に返ったらしいアスラーダさんが、リエラの質問に頷く。
たしか、休憩所を作り終わって移動をはじめてすぐくらいの時間に、ウガリの方から移動してきた馬車だと思う。
荷物のわりに人がたくさん乗っていたから「あれ?」って思ったんだよね。
あの時は、移動用の馬車を持っているお金持ちな探索者なのかと思ったんだけど、違っていたらしい。
それにしても、数十年前に絶滅したという『水売り』を、まさかこの目で見ることになるなんて思わなかったよ。
『水売り』っていうのは、、今よりも水を手に入れづらかった時代にあったらしい非公式の商売。
大きな町に特有の商売だったみたいなんだけど、共用の井戸を不法占拠して水を売っていたんだそうだ。
とはいえ、水が出る魔法具がある程度流通した上に、井戸の数が増えた現在ではそんなことをする人はいないんだけどね。

「いったい誰に許可取って――」

 アスラーダさんが苛立たし気に呟く。
気持ちはわかる。
わかるんだけど、多分、本人にそれを言っても無駄だろう。

「ラディ、許可があってもなくても、同じことをやる連中はいると思うわよ。ここで商売をしているのって、いつも同じ連中なのかしら?」

 ラヴィーナさんの問いをうけたダンさんは、首を横に振ると口を開く。

「商売をしている連中は、毎回同じって訳じゃないな。まあ、何度も見た顔が並んでいたりするから大元は一緒かもしれないが……」
「今捕まえても、同じことをしている連中が他にもいるってことよね」
「ああ。この先の水場でも同じことをしてる」

 今にも幌馬車の主に物言いに飛び出しそうなアスラーダさんに、ちょっと強引に座るように促す。
まだ、方針も決まらないうちに騒ぎを起こしてほしくはない。
彼が座り込むと、リエラはその膝の上に座り込む。

「え、ちょ!? リエラ!?」

 そのとたん、アスラーダさんが慌てた声をあげる。

「駄目ですよ、アスラーダさん。重しの一つもないと、あの人達のところに文句言いにいきそうですから」

 だから、リエラが膝の上に乗るのは、重し代わり。
しょっちゅうアストールちゃんを乗っけてるから、問題ない……と思う。
ラヴィーナさんとダンさんがニヤニヤしてるのを無視すれば、だけど。
本当はラヴィーナさんにお願いしてもよかったんだけど、自分で乗った方が即座に反応できるからね。
とりあえず、アスラーダさんが突然喧嘩を売りに行っちゃうことがない状態になったところで、ダンさんに質問だ。

「ということは、ここでやってることを無理にやめさせてもあまり意味がない感じですかね?」
「一時的にやめても、すぐに別のやつが同じことを始めるだろうなぁ……」
「まあ、そうですよね……」

 自分が同じことをやるかと聞かれたら、多分やらない。
でも、こういうことをする人達が自分と同じように考えるかって思ったら、それはどうだろう?
ダンさんが言うように、他の同類が同じことをするというのも納得だけど、一旦その場を離れたとしてもそうせざるをえなくなった元凶がいなくなったらまた、その場で同じことを始めると思う。

 さて、どうしたもんだろう?
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