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回り道
アスタールの求人旅行 7
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やたらと人を凝視する奇妙な男性が別の担当者と交代したことにより、やっと求人手続きを終える。
弟子の募集と求人が同じなのはなんとなく妙な感じだが、どちらも手元で働いてくれる人がほしいと言うことだから広い意味では一緒なのかもしれない。
……一緒、なんだろうか?
釈然としないものはあるが、まあ、細かいことはおいておこう。
これで、無事に弟子を採れるのなら気にしても仕方のないことだ。
渡された書類を手に、ファイルが置かれている場所に足を運ぶとそこにはまだ幼さを感じさせる赤毛の少女が難しい顔をして中身とにらめっこをしていた。
祖父が亡くなった後に、私の下で従妹のセリスが働き始めたのと同じ位の年頃だろうか?
当時十二歳だったセリスも、今は十八歳。
あれからいつの間にか六年も経っているとは、時の流れというのは随分と早いものだと妙に感慨深い気分になると同時に、彼女がいつも整えてくれている工房に早く帰りたいと思ってしまう。
これはもしや、ほーむしっくと言うやつだろうか?
りりんが昔、しゅーがくりょこーとやらに行った時に、罹ったという心の病気の一種だったはずだ。
あの時は一週間もの間連絡が取れずに寂しい思いを私もしたものだが……
まだ、よその街で一晩過ごしただけだというのにほーむしっくになってしまったのだろうか。
無性に自分自身が情けない気分になって、ちょっぴり落ち込んだ。
それはそれとして、目の前の少女にとってファイルの中身は満足の行くものではないようだ。
何度も捲り返してはため息をつく様子からも、それが伺える。
まず、選択肢そのものも少ないようだ。
私も弟子入り希望者が片手に収まる程度しか来なかったら、ため息が止まらないだろうから、少し同情してしまう。
それはそれとして、困ったことに私は彼女が手にしているファイルに書類を入れないといけないらしい。
熱心に内容を見直し始めた彼女に声をかけるのもなんだか憚られる。
私は彼女がファイルの最初に戻るのを見計らってから、声をかけることにした。
ため息を吐きながらも、もう一度最初から読み直そうという素振りを見せる少女に声をかけると、彼女は驚いたように青い目をまんまるに見開く。
なんというか、元々大きめのどんぐりまなこを見開くと、本当にこぼれ落ちてしまいそうだ。
ちょっと心臓に悪い想像をしてしまった。
なかったことにしよう。
ポカンと口を開けて呆けている彼女に、何度か丁重にファイルに書類を入れたいことを伝えると、コクコクと頷きながら彼女はそれを差し出した。
他の書類の一番後ろに自分のものを入れれば、これで求人手続きは終了だ。
私は一仕事終えた気分でファイルを渡すと、不意に思い立って質問を投げかける。
「錬金術師になりたいのかね?」
「はい! 出来るなら、ですけど」
まあ、今見ていたファイルは錬金術師用だそうだからそうでないとおかしいだろう。
心の中で頷きながら、言葉を足す。
「成程。では、もし条件が合うようなら、是非応募してくれたまえ」
多分、彼女は応募してくるだろう。
そう思いながら小さく頭を下げてその場を去る。
彼女が一番長く見ていた書類は、『未経験可』で『若い女性のみ』となっていたものだ。
そこから分かるのは、彼女が錬金術の経験がなく、『若い女性のみ』という条件になにか引っかかりを感じているらしいことの二つ。
その次が『地属性魔法が使用できる』上に『現地で面接』というものなのだが、これは彼女がため息を吐いていた事を考え合わせれば難しい条件があるのだろう。
全く見込みがないと思ったらしいものからはあっという間に意識をそらしていたから、少なくとも魔法が使えるか素質はあるに違いない。
となると、問題は『現地で面接』だろう。
継ぎのあたった服を着ていたことからも、裕福な家の子供ではないようだ。
チラッと確認した場所が隣町だったことからも、交通費の支給もなく現地に向かうのは厳しいに違いない。
交代した受付の女性の提案で、滞在期間中に面接を行うことにして良かった。
少なくとも、一人は希望者が現れるだろう。
そう思いつつ、私は少しウキウキした気分で職業斡旋所を後にした。
弟子の募集と求人が同じなのはなんとなく妙な感じだが、どちらも手元で働いてくれる人がほしいと言うことだから広い意味では一緒なのかもしれない。
……一緒、なんだろうか?
釈然としないものはあるが、まあ、細かいことはおいておこう。
これで、無事に弟子を採れるのなら気にしても仕方のないことだ。
渡された書類を手に、ファイルが置かれている場所に足を運ぶとそこにはまだ幼さを感じさせる赤毛の少女が難しい顔をして中身とにらめっこをしていた。
祖父が亡くなった後に、私の下で従妹のセリスが働き始めたのと同じ位の年頃だろうか?
当時十二歳だったセリスも、今は十八歳。
あれからいつの間にか六年も経っているとは、時の流れというのは随分と早いものだと妙に感慨深い気分になると同時に、彼女がいつも整えてくれている工房に早く帰りたいと思ってしまう。
これはもしや、ほーむしっくと言うやつだろうか?
りりんが昔、しゅーがくりょこーとやらに行った時に、罹ったという心の病気の一種だったはずだ。
あの時は一週間もの間連絡が取れずに寂しい思いを私もしたものだが……
まだ、よその街で一晩過ごしただけだというのにほーむしっくになってしまったのだろうか。
無性に自分自身が情けない気分になって、ちょっぴり落ち込んだ。
それはそれとして、目の前の少女にとってファイルの中身は満足の行くものではないようだ。
何度も捲り返してはため息をつく様子からも、それが伺える。
まず、選択肢そのものも少ないようだ。
私も弟子入り希望者が片手に収まる程度しか来なかったら、ため息が止まらないだろうから、少し同情してしまう。
それはそれとして、困ったことに私は彼女が手にしているファイルに書類を入れないといけないらしい。
熱心に内容を見直し始めた彼女に声をかけるのもなんだか憚られる。
私は彼女がファイルの最初に戻るのを見計らってから、声をかけることにした。
ため息を吐きながらも、もう一度最初から読み直そうという素振りを見せる少女に声をかけると、彼女は驚いたように青い目をまんまるに見開く。
なんというか、元々大きめのどんぐりまなこを見開くと、本当にこぼれ落ちてしまいそうだ。
ちょっと心臓に悪い想像をしてしまった。
なかったことにしよう。
ポカンと口を開けて呆けている彼女に、何度か丁重にファイルに書類を入れたいことを伝えると、コクコクと頷きながら彼女はそれを差し出した。
他の書類の一番後ろに自分のものを入れれば、これで求人手続きは終了だ。
私は一仕事終えた気分でファイルを渡すと、不意に思い立って質問を投げかける。
「錬金術師になりたいのかね?」
「はい! 出来るなら、ですけど」
まあ、今見ていたファイルは錬金術師用だそうだからそうでないとおかしいだろう。
心の中で頷きながら、言葉を足す。
「成程。では、もし条件が合うようなら、是非応募してくれたまえ」
多分、彼女は応募してくるだろう。
そう思いながら小さく頭を下げてその場を去る。
彼女が一番長く見ていた書類は、『未経験可』で『若い女性のみ』となっていたものだ。
そこから分かるのは、彼女が錬金術の経験がなく、『若い女性のみ』という条件になにか引っかかりを感じているらしいことの二つ。
その次が『地属性魔法が使用できる』上に『現地で面接』というものなのだが、これは彼女がため息を吐いていた事を考え合わせれば難しい条件があるのだろう。
全く見込みがないと思ったらしいものからはあっという間に意識をそらしていたから、少なくとも魔法が使えるか素質はあるに違いない。
となると、問題は『現地で面接』だろう。
継ぎのあたった服を着ていたことからも、裕福な家の子供ではないようだ。
チラッと確認した場所が隣町だったことからも、交通費の支給もなく現地に向かうのは厳しいに違いない。
交代した受付の女性の提案で、滞在期間中に面接を行うことにして良かった。
少なくとも、一人は希望者が現れるだろう。
そう思いつつ、私は少しウキウキした気分で職業斡旋所を後にした。
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