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逆ハーエンドを迎えましたが俺はモブなので関係ありません②
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それはさておき。乙女ゲームであるなら何度でも別のエンドを迎えることはできるが、現実には一つしか選べない。
ここで一番簡単に辿り着けるエンドをご紹介しよう。
誰もヤンデレにならず、誰も傷付かず、誰も悲しまず、誰もが幸せになれる通称お花畑エンド。またの名を逆ハーエンドという。
このゲームの醍醐味はあくまでヤンデレだからなのか、友情エンドなるものは存在しない。みんないいお友達ではなく、みんないい恋人になってしまうのだ。
そうすると一人に向けるベクトルが小さくなるため、ひとりひとりのヤンデレ成分も薄まって、甘いだけのエンドになるという。
何を言ってるか分からないって?安心してくれ。俺も自分が何を言ってるか全く分からない。
一応、乙女ゲームの攻略対象のため、全員ハイスペックなはずなのに、なぜか逆ハーエンドになると阿呆になる。
その証拠に、各国の貴賓、そして国王陛下がいる前で婚約破棄とかいじめとか言い出している。なんでこんな場所で恥を晒そうとするの?
それ、ちゃんと上の人に話通してる?許可もらってる?君たち以外、呆然としてるけど大丈夫?馬鹿なの?あ、馬鹿なんですね。
たぶん、個別ルートに入ったら解決するはずの諸問題を何一つ解決することなくエンディングを迎えちゃうからなんだろうな。個別ルートでは成長してもその分進化するから、もっとタチ悪いけど。
そう。この悪役令嬢断罪シーンは共通ルートではないのだ。逆ハーエンドの時のみ発生する逆ハーエンドのためだけの攻略対象たちの正念場である。
そしてたったひとり割を食うのが悪役令嬢リア・ウォールマンだ。第二王子の婚約者という立場から、第二王子ルートでもちょろっと出てくるのだが、すぐに退場となる。
にも関わらず、逆ハールートでは攻略対象たちの共通の敵として大抜擢されてしまうのだ。
ヒロインが気に入らないからといじめ抜き、最終的に階段から突き落とし、大怪我を負わせようとする。
どこまでもありきたりなストーリーで断罪され、国外追放に処される哀れな少女……のはずなのだが、知能指数が著しく低下する逆ハールート真っ最中にも関わらず、リア・ウォールマンはいたって冷静に見えた。
『一連のイジメを先導していた黒幕はお前だろう』
『お前は俺の愛するアンナを階段から突き落とした』
『証拠はすべて揃っている』
『俺との婚約は破棄し、お前は国外に追放する』
ゲーム中では一方的に詰る第二王子にいっそ傲慢な態度で反論するはずだ。けれど、証拠が出揃っていく毎に取り乱し、処罰を言い渡された瞬間悪役令嬢は壊れてしまう。
気が狂ったように高笑いして退場していくシーンは前世の記憶の中で最も鮮烈に残っていた。
そんな悪役令嬢と目の前のリア・ウォールマンはどうしても結びつかない。
貝のように沈黙し、感情の読めない瞳に第二王子を映している。この場面で一番取り乱しているのはいっそヒロインの方だ。
『彼女はそんなことしません!』
『その証拠は偽物です!』
と必死に叫んでいるが、攻略対象たちにやんわりと抑えられ、彼女の言葉は誰にも聞き入れてもらえない。
そんなに必死にならなくて大丈夫だよ、ヒロインちゃん。これ、多分悪役令嬢ものだから。今からざまあ展開に入って、悪役令嬢無双するからね。
テンプレ展開を知っている人間ならば誰だってそう思うだろう。
記憶の中の類似と変異。そこから導き出される結論は、それすらもテンプレートだ。
これは終わりではなく始まりで、モブの俺に関係あるようなやっぱりないような。そんな物語の序章に過ぎなかった。
ゲーム通り悪役令嬢は断罪され、ヒロインは逆ハーエンドを迎えた。
ここで一番簡単に辿り着けるエンドをご紹介しよう。
誰もヤンデレにならず、誰も傷付かず、誰も悲しまず、誰もが幸せになれる通称お花畑エンド。またの名を逆ハーエンドという。
このゲームの醍醐味はあくまでヤンデレだからなのか、友情エンドなるものは存在しない。みんないいお友達ではなく、みんないい恋人になってしまうのだ。
そうすると一人に向けるベクトルが小さくなるため、ひとりひとりのヤンデレ成分も薄まって、甘いだけのエンドになるという。
何を言ってるか分からないって?安心してくれ。俺も自分が何を言ってるか全く分からない。
一応、乙女ゲームの攻略対象のため、全員ハイスペックなはずなのに、なぜか逆ハーエンドになると阿呆になる。
その証拠に、各国の貴賓、そして国王陛下がいる前で婚約破棄とかいじめとか言い出している。なんでこんな場所で恥を晒そうとするの?
それ、ちゃんと上の人に話通してる?許可もらってる?君たち以外、呆然としてるけど大丈夫?馬鹿なの?あ、馬鹿なんですね。
たぶん、個別ルートに入ったら解決するはずの諸問題を何一つ解決することなくエンディングを迎えちゃうからなんだろうな。個別ルートでは成長してもその分進化するから、もっとタチ悪いけど。
そう。この悪役令嬢断罪シーンは共通ルートではないのだ。逆ハーエンドの時のみ発生する逆ハーエンドのためだけの攻略対象たちの正念場である。
そしてたったひとり割を食うのが悪役令嬢リア・ウォールマンだ。第二王子の婚約者という立場から、第二王子ルートでもちょろっと出てくるのだが、すぐに退場となる。
にも関わらず、逆ハールートでは攻略対象たちの共通の敵として大抜擢されてしまうのだ。
ヒロインが気に入らないからといじめ抜き、最終的に階段から突き落とし、大怪我を負わせようとする。
どこまでもありきたりなストーリーで断罪され、国外追放に処される哀れな少女……のはずなのだが、知能指数が著しく低下する逆ハールート真っ最中にも関わらず、リア・ウォールマンはいたって冷静に見えた。
『一連のイジメを先導していた黒幕はお前だろう』
『お前は俺の愛するアンナを階段から突き落とした』
『証拠はすべて揃っている』
『俺との婚約は破棄し、お前は国外に追放する』
ゲーム中では一方的に詰る第二王子にいっそ傲慢な態度で反論するはずだ。けれど、証拠が出揃っていく毎に取り乱し、処罰を言い渡された瞬間悪役令嬢は壊れてしまう。
気が狂ったように高笑いして退場していくシーンは前世の記憶の中で最も鮮烈に残っていた。
そんな悪役令嬢と目の前のリア・ウォールマンはどうしても結びつかない。
貝のように沈黙し、感情の読めない瞳に第二王子を映している。この場面で一番取り乱しているのはいっそヒロインの方だ。
『彼女はそんなことしません!』
『その証拠は偽物です!』
と必死に叫んでいるが、攻略対象たちにやんわりと抑えられ、彼女の言葉は誰にも聞き入れてもらえない。
そんなに必死にならなくて大丈夫だよ、ヒロインちゃん。これ、多分悪役令嬢ものだから。今からざまあ展開に入って、悪役令嬢無双するからね。
テンプレ展開を知っている人間ならば誰だってそう思うだろう。
記憶の中の類似と変異。そこから導き出される結論は、それすらもテンプレートだ。
これは終わりではなく始まりで、モブの俺に関係あるようなやっぱりないような。そんな物語の序章に過ぎなかった。
ゲーム通り悪役令嬢は断罪され、ヒロインは逆ハーエンドを迎えた。
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