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第3章

負の根源(3)

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「……」
 

 
 足元すら見えない暗闇の中、三人はひたすら無言で階段を降りていく。
 感覚からして螺旋状に下がっていく通路は先がまったく予想出来ず、人とすれ違うことすら難しいような狭さかつ、隠れる場所もない空間。
 いつ人と出くわすかわからない緊張感に一歩一歩段差を降りる足並みはだいぶ慎重になっていた。
 
 
 ここまでどのくらい降りていったのか……
 
 既に時間の感覚が麻痺しかけていた頃、どこまでも続くと思われた暗闇の中に突如僅かな光源が現れ、先頭を行くアランが一旦ストップをかけた。
 すぐ背後にルイとカイの気配を感じつつ、螺旋構造の内側の壁に寄り添うようにして様子を伺いながら慎重に進んでいく。
 
 こんな視界も幅も悪条件な空間で戦闘が始まってしまったら確実に立ち回りに影響が出て不利だ。
 不意を突かれないよう全神経を研ぎ澄ませ先を進んだ。
 
 
 
 トン―――
 
 
 階段の終わりと思われるフラットな地面へ足を踏みおろした頃にはすっかりお互いの姿かたちが認識できるほど蝋燭の灯りで照らされ、今度は真っ直ぐ続く通路の空間に行き着いた。
 
 
「この先、っすかね…」
「一気に雰囲気が変わりますね」
 
 
 今まで階段を下っている間は石剥き出しの壁だったのに比べ、この先の通路はしっかり壁紙が舗装され、左右の壁に等間隔に蝋燭の灯りが灯っている。
 
 
「用心して行くぞ…」
 
 
 もしこのような地下奥深くに、ヒナセがひとりで置かれているとしたら―――そんな焦りから早く先を行きたい気持ちを必死に堪え、落ち着いた声音を取り繕う。
 アランの声掛けにこくりと頷く二人を従え、さらに奥へと進んで行った。
 
 
 
 
 
 そして、たどり着いた目的地で目にした光景にアラン一同は目を疑い、驚愕の声を上げることになるのだった。
 
 
 
「……なぜ、ここに」
 
 
 
 現れたのは、地下の空間とは思えないほど縦横ともに広い部屋。
 
 壁紙を王宮のそれと同様のもので豪華な空間を作り出したかと思えば、その空間に存在するのはたったひとつ。
 
 
 真ん中にポツンと置かれた違和感なほど豪華なベッド。
 
 
 
 そこに寝かされていたのは―――王だった。
 
 
 
 
 
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